ミリアム・ホプキンス、マール・オベロン、ジョエル・マックリーが扮する男女3名が関係する私立学校での話。学校を出た仲のいい二人の女性が女子教育のための学校を設立。その地で知り合った若い医者が絡むが、ある問題児の嘘であらぬ噂をたてられて学校閉鎖に追い込まれるという話で、実際に女子学校でオーナーがレズビアンだと噂された為に学校が閉鎖に追い込まれたという話をもとに書かれたリリアン・ヘルマンの戯曲が原作である。しかし、制作当時のアメリカでもレズビアンがテーマにした映画は許可にならず、核心部分をぼかした形のものになってしまった。映画自体は見応えがあって、評判も良かったが、ウィリアム・ワイラー監督は不満があったらしかった。そして規制が緩和された1961年にセルフ・リメイクをして「噂の二人」というタイトルで世に問うたのである。執念のリメイクと云われる所以である。
戦後のオードリー・ヘップバーンとジャーリー・マクレインが主演した方はかなり前に観ていて、悲劇に近い終わり方だったが、こちらは正反対の希望ある終わり方なのである。完全な繰り返しではなく、別の話になっている。しかし、子供は天使のような存在では必ずしもないという部分は同じだ。悪魔の申し子のような少女で、自己中心で悪いのは全て他というような子供だ。何かどこかの国の大統領のような性格なのである。最後は嘘が露見して代償を払わされるのだが、戦後版の方がいやらしさは上だった。無表情な顔にしてあって、そこらあたりも監督の執念の程がわかる。
もとの古い映画は前から機会があれば観たいと思っていたが、やっと念願が叶った形だ。映画はやはり時代の産物なのだという思いを新たにした。