これもロバート・ワイズ監督の初期の作品。ロバート・ティアニー扮する主人公の何と凶暴なことか。自分をコケにした者には容赦がない。女であろうと平気で殺す。しかもかなりの自信家でもある。観ていて、どこかの国の大統領になるというオッサンに近いものを感じてしまう。
ここでもワイズは冷徹な描き方だ。いや、主人公にはカメラが憎しみを持っているように感じるような描き方といったらよかろうか。これだけ主人公に共感できない映画は他に例を知らない。「俺たちに明日はない」はまだ主人公に情をかけやすかったが、これは違う。とことんワルである。原題の殺すために生まれたとは、言い当てて妙である。