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Channel: 趣味の部屋
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捕らわれの町(ロバート・ワイズ;アメリカ:アスペック・プロ1952年)

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 あらゆるジャンルに秀作を遺したロバート・ワイズ監督の比較的初期の作品。所謂犯罪映画の一つ。いきなり猛スピードの車が出てきて、中には夫婦とおぼしき男女が乗っている。とある町の警察署に駆け込み保護を求めて、念のためいきさつをテープに録音する。その語りを回顧する形で物語は始まる。彼は別の地方都市の新聞社の編集局長で、ネタをもたらす友人が不審な死を遂げる。それで友人の調査していたことを追及すると警察をも巻き込んで街を犯罪者が支配している構図が浮かび上がる。しかし、誰も手を貸さない。議会の公聴会があるというので、資料をもって行こうするが....。こんなところが粗筋だ。
 
 孤立無援という話の構造は同年に制作されたフレッド・ジンネマン監督の「真昼の決闘」に似ているが、西部劇と違って現代社会の話であり、かなり迫真の雰囲気が出る。ロバート・ワイズ監督はどちらかというと登場人物を突き放してドキュメンタリーみたいに撮っている。またテンポも早く、編集も「市民ケーン」の編集を担った監督らしく、うまい。たとえば変死する人物の死ぬ直前の顔とクラブのバンドのトランペットのベルに替わるところや、二番目の被害者の死んだ姿を画面に出さないところは、恐怖を煽る。そうかと思えば若い男が組織に都合の悪い写真を撮って殴る倒されるシーンのヴァイオレンスは凄まじい。映画は議会の公聴会に入る夫婦の姿で終わる。しかし監視の目は議会の中にもあることが出てきて、これも犯罪組織が根深く社会に食い込んでいることを示す。最後は本物の議会議員が出て犯罪撲滅推進を訴えるところが出る。そこで主人公たちは無事にやることをやったことが示されるが、この議員の登場は今観ると蛇足に思える。字幕処理で十分ではないかと思ったが、これが啓蒙映画であった証拠でもある。
 
 ロバート・ワイズ監督はミュージカルでもSFでも基本は社会派であろうと思う。有名な「サウンド・オブ・ミュージック」は反戦であり、反ファシズムのメッセージが強いし、「ウェスト・サイド物語」もアメリカの格差社会を抉っている。監督の関心は社会の様子ということだと思う。

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