ロバート・ワイズ監督の50年代前半の初期の作品の一つ。ナチスの収容所でかろうじて生き延び、亡くなった仲間の女性の中に叔母が渡米して資産家として暮らしていて、戦争前に息子を預けたいた者がいた。生きる方便としてその女性になりすまして渡米する。彼女は戦争で全て失っていたからだ。目的の家に行くと....。
犯罪映画だが、ヒッチコックの作品のようにミステリアスで真実が隠されていてラストになって明かされるのがポイント。話は暗い収容所から始まるから、反ナチの要素も十分にあるが、そういうことはさらりと流している。むしろアメリカ社会での人間の罪深さに焦点をあてているふうもある。ヒロインの相手役は後年テレビ映画「原子力潜水艦シービュー号」で艦長役で有名なリチャード・ベースハースト。まだ艦長のような風格はなく、冷たいアメリカ青年とといった雰囲気だ。