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歌劇『ナブッコ』全曲 デ・シモーネ演出、ムーティ指揮、ミラノ・スカラ座(1986) 

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【収録情報】
●ヴェルディ:歌劇『ナブッコ』全曲

 ナブッコ:レナート・ブルゾン
 アビガイッレ:ゲーナ・ディミトローヴァ
 ザッカリア:パータ・ブルチュラーゼ
 イズマエーレ:ブルーノ・ベッカリア
 フェネーナ:ラクエル・ピエロッティ
 ベルの大司教:マリオ・ルーペリ
 アブダルロ:エルネスト・ガヴァッツィ
 アンナ:フランチェスカ・ガルビ
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
 リッカルド・ムーティ(指揮)

 ロベルト・デ・シモーネ(演出)
 マウロ・カロージ(装置)
 オデッテ・ニコレッティ(衣装)
 ヴァンニオ・ヴァンニ(照明)

>かつて大きな話題となった1988年スカラ座引っ越し公演の2年前に本拠地ミラノで収録された映像作品。演出や主要キャストは来日時と同じです。
 18年間音楽監督を務めたアバドからスカラ座の音楽監督を引き継いだムーティが、最初の演目に選んだのがこの『ナブッコ』。
 血気盛んで愛国的な内容は、当時のムーティの芸風にもぴったりで、ここでも序曲からオケが勢いのある演奏を展開。ムーティの回転(?)も見ものです。
 ロベルト・デ・シモーネの演出はわかりやすくインパクトも大きなもので、マウロ・カロージの迫力ある舞台装置デザインがよく活かされています。
 キャストではナブッコ役のレナート・ブルゾンが、どこかに父性も窺わせる奥の深い歌唱を聴かせてさすが。強烈なアビガイッレ役はゲーナ・ディミトローヴァが期待通りの力強い声で歌い上げます。その他、豊麗な声のパータ・ブルチュラーゼによるザッカリア役なども優れており、作品を味わうのに申し分のないキャスティングと言えると思います。
 有名な「行け、我が思いよ、黄金の翼に乗って」を筆頭に注目度の高いスカラ座のコーラスも、ここではムーティのドラマティックな要求に万全の歌で応えています。(HMV)

 この映像は30年以上も経過したもので、ムーティもまだ若い。アバドの後を受けて最初に取り上げた演目。かつてBMGビクターからLDが出ていたが、国内盤DVDは出ず、入手が容易ではなかった、かろうじて外国盤で手に入れることができたもの。上記の発売元のコメントにある通り1988年には日本公演で大いに評判になった。確か作曲家の神津善行が美空ひばりと共に鑑賞したことをテレビで発言していた。死の直前の美空ひばりはいたく感激したとのことだ。

 さて、ムーティの気性からしてうってつけの演目。熱い演奏を展開するのだが、歌わせるところはよく聴かせる。有名な「行け、我が思いよ、黄金の翼に乗って」という合唱曲はしみじみとした感じも出ていた。バビロンの捕囚の話で自分の国を持とうするところは初演当時祖国統一に燃える聴衆の心を掴んだのはよく知られている。上述の合唱曲はこのオペラのトレードマークともなり、誰もが口ずさんだという。

 ずっと探していたのがやっと巡り合った演奏。待った甲斐があったという思いが強い。

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