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プロコフィエフ : 歌劇 「セミヨン・コトコ」

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>「セミヨン・コトコ」は1939年、プロコフィエフのソ連帰国後の作で、初のソヴィエト・オペラ。当時プロコフィエフはソ連政府に請われて帰国しながら、期待と裏腹の微妙な立場となり、起死回生を狙い必死でした。
当時話題となっていたカターエフの小説「私は労働者の息子」を題材に、華やかな舞踏会や上流階級の優雅な生活といったオペラの定石を排し、労働者やパルチザンの汗臭い生活を描きます。イデオロギー色全開で、純真な人々と憎き敵との衝突が展開の軸となっていますが、政治的思惑から演目からはずされ今日に至っています。
曲の素晴らしさを理解しようとせず、失敗作として採りあげられないことにゲルギエフは義憤を覚え、再評価に力を注いているとのこと。たしかに「戦争ソナタ」で知られるピアノ・ソナタ第6番から8番と同時期の作で、プロコフィエフの技法が頂点に達していた円熟期の確かな筆致は駄作であるはずなく、プロコフィエフならではの実験性と才気煥発ぶりを再発見できます。
ゲルギエフ入魂の演奏は息をのむ充実感。歌手陣もロシア映画のような役者ぶりを見せ、プロパガンダ作品とわかりながら感動で涙を禁じえない世界を作り上げています
  
 プロコフィエフの珍しいオペラがゲルギエフの指揮で、しかも日本語字幕付とあれば、やはり気になる。蓋をあけてみると、政治プロパガンダのオペラ。しかし、音楽的には面白いところもあって聴きごたえはある。テューバのソロに載せてバスの歌唱があったり、小太鼓が小気味よく鳴ったりする。上の発売元コメントにもある通り、封印すべきものではない。

 ただ、このオペラの舞台が今の政治情勢を省みると微妙なものを感じる。つまり1918年のウクライナの農村が舞台なのだ。今のロシアとウクライナとの関係を考えると上っ面の革命思想の浅はかさを逆に感じてしまうのは自分だけだろうか。

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