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Channel: 趣味の部屋
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競輪上人行状記(西村昭五郎)(日活1963年)

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 先日、亡くなった名優・小沢昭一が主演した作品である。西村昭五郎監督のデビュー作でもある。
 
 かつて旧・文芸地下のロビーに本作のポスターが貼られてあって、その存在をまず知った。坊主が競輪についての講釈をしてダフ屋行為をする話であるようで、企画は面白そうと思ったものの、その時はあまり執着はなく、観ることはなかった。しかし、妙に題名とポスターだけは記憶に残っていた。
 
 その後、名画座で上映されることは殆どなかったように思うし、フィルムセンターでも所蔵はまだでなかなか縁がなかった作品であった。しかし主演の小沢昭一が亡くなるにおよび、その出演作の特集の中に組まれることも多いし、先日DVDにもなったので、今では容易に鑑賞できる環境にある。
 
 西村昭五郎監督と言えば、日活がロマン・ポルノ路線に舵を切った時に、中心になって活動した監督の一人である。しかし、ポルノ時代の前に一般映画を数本手がけている。そして、これは今村昌平監督が脚本に参加していて、出演者も小沢の他、今村組の常連俳優たちが多く出演している。どちらかというと今村色の強いもので、「重喜劇」の部類に入る作品である。何か猥雑な人間関係が割と赤裸々に描かれていて、スラプスティックな喜劇とは異なる。その猥雑さが後年のポルノ作品にも生かされたのではないかと思わないでもない。ただ、僧になるまでの話が割と長く、そこいらを整理するともっと良いものになったような気がする。

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