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Channel: 趣味の部屋
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近衛の幻の「運命」

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ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67
近衛秀麿指揮 近衛交響楽団

 本の付録のフォノシート5枚に収録された録音とのことである。だから、モノラルのようであるし、音も62年の発売にしてはどこか心もとない感じがするが、心配されたスクラッチノイズはあまり聴こえてこず、CDに復刻されたものを鑑賞するには殆ど支障がないといっていい。元のオリジナルテープもなく、状態のいいフォノシートからのダイレクトの復刻という。どうもいつどこで収録されたかもデータがないという。フォノシートと云っても若い人はどんなものかは知らないだろう。ビニールのたいがいは赤色のペラペラの盤だった。語学やちょっとした教材の音源なんかが多かったが、こうした本格的な演奏のものもあったとは驚きである。

 近衛さんがこうした企画にも参画したのは、少しでも音楽を広めたいという思いからではなかろうか。そして彼の仕事がこうして再び陽の目を見るのは喜ばしいことである。

 この演奏は先日書いた読売日本交響楽団とのものと同様、指揮者の手が入った近衛版である。演奏の近衛交響楽団は後にABC交響楽団と改称した団体だが、財政的な問題があったのか、消えてしまった団体。しかし、ここでの演奏はしっかりとしたものと確認できる。探せばABC交響楽団の名称での演奏も棚にあるのかもしれないが、音楽に興味を持つ前に無くなってしまっていた。

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