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1961年ライヴ録音正規音源全曲盤「指輪」①

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>1961年のバイロイトでは、ヴォルフガング・ワーグナーの演出による『ニーベルングの指環』が話題を集めていました。戦後バイロイトの『指環』上演といえば、1951年から1958年まで兄ヴィーラント・ワーグナーの演出が一貫して用いられており、クナッパーツブッシュ、カイルベルト、クラウス、カラヤンの指揮によって錚々たる演奏がおこなわれていました。
今回登場する『ニーベルングの指環』は、1959年の『指環』無しの年を経て、1960年に華々しく導入された新演出の指揮をルドルフ・ケンペが受け持った上演の翌年のもので、1963年までの計4年間にわたって継続されることとなった組み合わせによるものです。
当時のケンペは、コヴェントガーデン王立歌劇場で大きな成功を収めており、特に1957年の『ニーベルングの指環』は見事なできばえとして高い評価を受けていました。
今回の『指環』は1961年のモノラル録音ですが、これまで『ワルキューレ』のみCD発売されてその鮮烈な音質ゆえに全曲盤の登場が待たれていたものでもあります。聴きやすくはあるものの少し物足りない面もあった1960年盤や、出演者のプライヴェート・アーカイヴからのCD化だった1962年盤とは大きく異なるその音質は、歌手たちが生き生きとしたケンペならではの上演を隅々までつぶさに味わうことが可能です。オーケストラの扱いが巧みなのも特筆もので、ライトモティーフなど性格的な動機を雄弁に響かせる仕上げのうまさは、すでにさまざまなオペラに通じていたケンペの実力を如実に示すものとなっています。
ヴォータン役は、数学者・化学者でもあったアメリカのバス・バリトン歌手、ジェローム・ハインズ[1921-2003]が歌い、さすらい人役はこの上演の4カ月後に33歳の若さで急死したカナダのバス・バリトン歌手ジェイムズ・ミリガン[1928-1961]が担当。この2役は前年はヘルマン・ウーデ[1914-1965]でした。
ジークフリート役は前年と同じくドイツのヘルデンテノールのハンス・ホップ[1916-1993]が歌い、ブリュンヒルデ役も前年と同じく、ワルキューレがアストリット・ヴァルナイ[1918-2006]、ジークフリートと神々の黄昏がビルギット・ニルソン[1918-2005]の担当。その他、ジークムント役はオーストリアのテノール、フリッツ・ウール[1928-2001]、ジークリンデ役はフランスのレジーヌ・クレスパン[1927-2007]など実力のある歌手が多く起用されています。(HMV)
Disc1-2
● ワーグナー:『ラインの黄金』全曲          July 26,1961
ヴォータン:ジェローム・ハインズ(バス・バリトン)
ドンナー:トーマス・スチュワート(バス・バリトン)
フロー:ダヴィード・タウ(テノール)
ローゲ:ゲルハルト・シュトルツェ(テノール)
フリッカ:レジーナ・レズニック(アルト)
フライヤ:ヴィルマ・シュミット(ソプラノ)
アルベリヒ:オタカール・クラウス(バス)
ミーメ:ヘロルト・クラウス(テノール)
ファゾルト:デイヴィッド・ワード(バス)
ファフナー:ペーター・ロート=エーラング(バス)
エルダ:マルガ・ヘフゲン(アルト)
ヴォークリンデ:インゲボルク・フェルデラー(ソプラノ)
ヴェルグンデ:エリーザベト・シュタイナー(メゾ・ソプラノ)
フロースヒルデ:エリーザベト・シェルテル(アルト)

Disc3-5
● ワーグナー:『ワルキューレ』全曲     July 27,1961

ジークムント:フリッツ・ウール(テノール)
フンディング:ゴットロープ・フリック(バス)
ヴォータン:ジェローム・ハインズ(バス・バリトン)
ジークリンデ:レジーヌ・クレスパン(ソプラノ)
ブリュンヒルデ:アストリッド・ヴァルナイ(ソプラノ)
フリッカ:レジーナ・レズニック(アルト)
ゲルヒルデ:ゲルトラウト・ホップ(ソプラノ)
オルトリンデ:ヴィルマ・シュミット(ソプラノ)
ワルトラウテ:エリーザベト・シェルテル(アルト)
シュヴェルトライテ:リロ・ブロークハウス(アルト)
ヘルムヴィーゲ:インゲボルク・フェルデラー(ソプラノ)
ジークルーネ:グレイス・ホフマン(メゾ・ソプラノ)
グリムゲルデ:エリーザベト・シュタイナー(アルト)
ロスヴァイセ:ルート・ヘッセ(メゾ・ソプラノ)

ルドルフ・ケンペ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団

 ケンペの1962年の公演の方はMYTOというところから出ていたが、1961年のものが放送局の音源を使って初めてリリースされたのが、これである。

 この演目は4日も劇場に通わないと全貌はわからない。なかなか一挙に聴くのはたいへんである。今回も分けて鑑賞中なのである。それでも最初の2演目はやっと聴けた。スポーツ中継なんかがあるとはかどる。というのはテレビの音を抑えて、音楽を聴くことにしているからだ。民放の中継はうるさいので、いつの間にかこうした習慣ができた。

 さて先日聴いたカラヤンのセッション録音を聴いたばかりなのに、もうこうして同じ作品の違う演奏を聴くのだから、自分でも呆れている。しかもこちらはモノラルで平板な音ではあるが、カラヤンのおとなしめの歌手陣とは対照的な力強さは感じる。カラヤンでも出演したクレスパンも出演。やはりこの人はこちらの方が似合う。ライナーノート開くと出演者の顔写真が載っているが、殆どが鬼籍入りしている。やはり50余年の歳月を感じさせる。ケンペのテンポはやや速めのようだ。しかしそれでも軽くならないのは流石である。先日、クナの同一演目異演の録音を集めたBOXが出ていて、誰が買うのかと思っていたが、自分もケンペによる「指輪」はこれで3つ目になる。この翌年の62年のものとコヴェントガーデン王立歌劇場での1957年のものだ。全てモノラルでかなり重病である。




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