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N響の生みの親・近衛秀麿の感動的ラスト公演

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【収録情報】
1. レーガー:祖国への序曲 Op.140
2. J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV.1068
3. バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 Sz.112
近衛秀麿指揮 NHK交響楽団 3:潮田益子(Vn)
録音時期:1967年4月26日、5月3日
録音場所:東京文化会館
録音方式:ステレオ(ライヴ)

 最近、近衛秀麿の指揮の録音をよく聴く。先日の「戦火のマエストロ」という番組を観たからではなく、観るずっと前にたまたま発注していたのがこれであった。

 この人は今の東京大学の学生オケを創設、NHK交響楽団の前身の新交響楽団の立ち上げにも参画した、日本の楽壇の祖のような存在だが、方針の行き違いから早い段階で決別してしまっていた。そして、やっと立ち上げたオケとの再会を果たした記録がこれであり、最後の共演になったものだ。そして二つのチクルスから取った演奏でレーガーとバッハが4月の公演、バルトークが5月の公演から取られている。またバッハは近衛が手を痴れたもので、オリジナルにはないフルートやクラリネットが入っている。解説によるとトランペット奏者に無理をさせないためらしい。その他はこの人にはちょっと珍しい曲をやっているのが惹かれたところだ。

 レーガーは今は余り人気のない作曲家だが、この曲は最晩年の作品で愛国的動機から作曲されたものらしい。ドイツ軍へ捧げるつもりだったようだ。当時は第一次大戦の最中で、国歌とか愛唱歌が変奏されて織り込まれているし、たいへん派手な曲である。1916年に急死しているので、戦争の結末を知らないままだった。一方バルトークはそれ自体は珍しくないが、近衛さんが振っているのが珍しいと思った。オケは時折怪しげなところはあるものの、熱演していて好感が持てた。


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