フィルムセンター所蔵作品は、京橋の同センターに行かないと観られなかったが、今や市中の名画座や4本セットで地方の催しに貸し出したりしているので、地方でも鑑賞できるようになった。
今年は今井正監督の4本の特集にあたり、次の4本が組まれていた。
「青い山脈」(前後篇)(1949東宝・藤本プロ)
「また逢う日まで」(1950東宝)
「真昼の暗黒」(1956現代プロ)
「純愛物語」(1957東映東京)
最近はDVDやBDで映画は容易に観られるし、最近の映画館ではデジタル方式の上映も多くなったが、これは昔ながらの35mmによるフィルム上映だ。アナログレコードのような感じではある。ただ、久しぶりに再会したプリントもあって、上映頻度が高いとキズなどが出来ていたりしている。最後の「純愛物語」だけがカラーでスコープ仕様。幸い褪色はあまり気にならなかった。東映マーク(犬吠埼の波ではなかった)の後、「総天然色」「東映スコープ」という文字が夕焼け空を背景に出てくるのが時代を感じさせる。
出演俳優の多くは故人になっている。この4本の中に、最近亡くなった原節子と風見章子が出ていた。今や大ベテランの俳優の若い頃の姿も見られる。田中邦衛、井川比佐志といったところ、他に高津住男や蜷川幸雄なども若手俳優で脇役として登場しているのを見ると時代をやはり感じる。