オットー・プレミンジャーがブロードウェイものを映画化したもの。基本はビゼーの有名な歌劇「カルメン」を下敷きにしたものである。舞台をスペインからアメリカ南部に移して、登場人物は通行人も含めて全て黒人というユニークな作品である。闘牛士がボクサーに代わり、密輸業者は出てこない。音楽は殆どビゼーのオペラのものを使っているが、歌詞はオスカー・ハーッマンスタインⅡ世が新たに作詞したもので、芝居に即したものになっている。
ホセにあたる伍長はハリー・ベラフォンテが扮しているがどうも彼が唄うところは他のオペラ歌手の吹替えである。ヒロインのドロシー・ダンドリッジの歌の吹替えはオペラ歌手のマリリン・ホーンとある。うまくアメリカに馴染みこませているが、「ウィエスト・サイド物語」ほど感銘はない。風俗はアメリカなのに何故白人やその他の人種は登場しないのか、ちょっと不思議な世界になっている。