ヴォータン … ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
ドンナー … ロバート・カーンズ
ローゲ … ゲルハルト・シュトルツェ
アルベリヒ … ゾルタン・ケレメン
ドンナー … ロバート・カーンズ
ローゲ … ゲルハルト・シュトルツェ
アルベリヒ … ゾルタン・ケレメン
ミーメ … エルヴィン・ヴォールファールト
ファゾルト…マルッティ・タルヴェラ
ファフナー…カール・リーダーブッシュ
フリッカ … ジョセフィーヌ・ヴィージー
フリッカ … ジョセフィーヌ・ヴィージー
フライヤ…ジモーネ・マンゲルスドルフ
エルダ…オラリア・ドミンゲス
ヴォークリンデ…ヘレン・ドナート
ヴェルグンデ…エッダ・モーザー
フロスヒルデ…アンナ・レイノルズ
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1967.12 イエス・キリスト教会、ベルリン
デッカのショルティ盤と並ぶ「指輪」のセッション録音。初出は中学生になった頃で、どこかで書かれているが、LPセットが50,000円で発売になっていたという。そんな高価なものは手を出せるはずもなく、長らくカタログを眺めるだけだった。それが今では物によるが、CD14枚で5,100円余りで購入できるというから驚く。時を経て、歳を重ねてやっと聴く気になった。経済的な意味も大きいが、カラヤンに対してどこか反発みたいなものがあって、避けていたのだが、無視できなくなったのである。少しずついろいろな分野を見直したくなったのだ。既にオペラではイタリアものなんかは早くから持ってはいたし、怪しげなライヴ録音でベートーヴェンの「フィデリオ」なんかも手許にはあったが、ワーグナーはオペラ全曲としてはこれが初になる。
最初の演目「ラインの黄金」の配役を掲げたが、バイロイトの重量級の歌手はあまりいない。ヴォータンをディースカウがやっているのはちょっと驚く。やはり行儀の良いヴォータンである。自分のイメージではちょっと強引でヤクザな感じを持っていたが、「品性方正」がやはり過ぎる感じがしてしまう。ローゲのシュトルツェはうってつけ、巨人ファゾルトをやったタルヴェラも映像ものではお馴染み。しかしまだ当時は若手だったのではないか。それから意外にアメリカの歌手を起用している。ちょっとライトな感じだが、カラヤンは録音の中心はオーケストラのベルリン・フィルを置いているような感じがする。オケの音色を邪魔をしない配置のように思った。
もう一つのショルティ盤は今も全曲は聴いたことがない。映画「地獄の黙示録」にワルキューレの騎行の部分が使われていたのを耳にしたくらいだ。ショルティがカラヤン以上に苦手なのと、カルショウの擬音を駆使した音作りに疑問があって、今も手がだせない。これも当初は45,000円くらいのLPのセットで出ていたように記憶する。当時の一端を知る者には今の情勢は感慨深いものがある。