1931年2月14日に本国アメリカで公開された古典である。本邦初公開は同年10月18日。
我々の世代はクリストファー・リーこそがドラキュラ俳優の代表格とみているが、戦前がベラ・ルゴシというハンガリー出身の俳優の代表格だった。リーは凄惨さはあって、怪物の印象が強いが、ルゴシの方は恰幅があって、貴族の風格があった。犬歯が牙のように大きいかと思ったら、そうではないようだ。その代わり目の演技が凄い。
ヴァン・ヘルシング博士との対決が終結部分にあって、身を乗り出すほど面白いが、やや唐突にあっけなく終わってしまうので、ここらが少し不満はあった。まだ演技がサイレント的な感じだが、これは堂々のトーキー。同じセットを使用して別のスタッフ・キャストでスペイン語版も製作、ヒロインのミナはこちらの方がセクシーで、全体くだけた感じがする。当時は同じ話をいろいろな言語で製作したのはよくあったことらしい。