①池野成:ラプソディア・コンチェルタンテ~ヴァイオリンと管弦楽のための~
②今井重幸:ゴジラのモティーフによる変容「ゴジラのフラメンコ」
③石井眞木:アフロ・コンチェルト 作品50 ヴァージョンB
オーケストラ・ニッポニカ 阿部加奈子(指揮) (①-②) 高木和弘(ヴァイオリン) (①)
野平一郎(指揮) (③) 菅原淳(パーカッション) (③)
これは伊福部昭に師事した3人の作曲家の作品を集めたアルバムである。②が一番、伊福部のオマージュの傾向が強いが、このアルバムの目的は①にあった。池野成の純音楽作品は極めて少ないようで、これが最後の作品のようである。ヴァイオリン協奏曲とは呼ばずにこのような名称にしたのは、少しフォルムが異なると作曲者が判断したようだが、素人の身にはよくわからない。聴いていると池野成が付けた映画音楽のような独特な響きが聴ける。つまりホルンとトロンボーンを重ねた独特な響きだ。ここでは映画「雁の寺」(川島雄三監督・1962年)のタイトルバックの音楽に似ていた。同窓の松村禎三がもっと純音楽作品を書くべきだったとのコメントを残しているが、まさしくそう思う。
最後の石井作品は既にビクターから出ていた2人の奏者のためのヴァージョンAは所持していたが、本来一人の奏者のためのこのヴァージョンは初めてだ。作曲者の父君が有名な舞踏家、石井漠であることが影響しているのか、どこか舞踏的な感じもする。アフリカのリズムみたいな要素が何度も繰り返し出てくるのだが、正直まだ馴染めない作品ではあった。