これもまた池野成の音楽ではあるが、今度は映画のサウンドトラックではなく、2006年11月23日に作曲者を偲んで、開催されたコンサートのライヴ録音が中心で、映画「電送人間」の音楽のみがサウンドトラックから収録されている。
CD1
①映画「妖怪大戦争」の音楽(編曲:藤田崇文)
②映画的交響組曲第1番~「傷だらけの山河」「白い巨塔」「赤い水」より~(編曲:今井重幸)
永野裕之指揮 池野成メモリアル・オーケストラ
③映画「電送人間」(福田純・東宝1960年作品)~サウンド・トラック32曲
CD2
①ティンパナータ
有賀誠門(ティンパニ)、東京音楽大学トロンボーン・アンサンブル、斎藤香(フルート)、松原有里、加治祐子、長岡正光(ホルン)、寺山香澄(テューバ)
②ディvルティメント 渡辺由美子&Discussion of Percussion"Q21"
③古代的断章 吉川武典指揮 東邦音楽大学トロンボーン・アンサンブル&パーカッション・アンサンブル
④エヴォケイション
高梨晃(マリンバ)、東京音楽大学トロンボーン・アンサンブル&有賀誠門パーカッション・アンサンブル
(1)③以外:2006.11.23 第一生命ホール、東京(ライヴ)
前の記事にも記したように、伊福部昭門下の池野成は、その殆どは映画音楽が占めるのに比べ、純音楽は極めて少ない。これはそうした作品も含めた追悼コンサートの実況録音だ。アンサンブルといっても弦楽四重奏やソロ曲というものではなく、管楽器や打楽器中心のもので、オーケストラのセクションのためのものといった趣だ。管楽器もトロンボーンが中心になっているのが特徴で、それは映画音楽の重厚な響きもそのアンサンブルからなっていることを思うと、この人の響きの好みが窺い知ることができる。純音楽が少ないのは納得にいったものを厳選した結果と言われている。それはフランスのデッカスなどの姿勢にも似ている。2枚目の打楽器アンサンブルが活躍する4曲はリズミックで何か動物的なものを呼び覚ましてくれるような感じだ。