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戦時下のスクリーン~発掘された国策映画

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戦時下のスクリーン 発掘された國策映画(DVD)
 珍しい戦前の教育的な記録映画(所謂、劇映画ではない映画)をDVD2枚に17本を集めて収録したもの。年代は1929年~43年。一つの長さが7分~22分とまちまちだが、劇映画とはまた別の角度から戦前の日本の姿が浮かび上がる。ただ、ドキュメンタリーと呼ぶにはやや躊躇を覚える。ちょっとした演出や芝居も含まれているからだ。
 
 最初のものは1929年のもので、これだけがサイレント。天孫降臨から現代(1929年)までの歴史をざっとみて、日本独自の精神性の高さを説いたものだ。神武天皇が蛮族を退治するところや蒙古来襲のシーンが意外にも金をかけたスペクタクルシーンになっている。プロデューサーは当時日活京都撮影所と関係があったとかで、そのスタッフ俳優を使っているのかもしれない。
 
 このアルバムの主眼は1943年の学徒出陣式のニュースフィルムだ。フィルムセンターで観た「日本ニュース」のものと若干が異なるみたいだが、学生たちの行進や東條英機の演説などがそのまま入っていた。
 
 製作会社はいずれも知らないところであり、画質・音質も良くない。ナレーションも難しい言葉の羅列で、理解しがたいものがある。だが、総じて精神訓話的である。また「愛国行進曲」は歌そのものを教え込もうという企画で、今で言うカラオケのスタイルが見られるのは面白いと思った。
 
 スパイに注意という啓蒙映画では、秘密を思わず洩らしてしまう当時の日本人の欠陥が案外的確に表現されていた。焦点は銃後のことだが、後年戦場で兵士たちが手帳に情報を残したり、捕虜になったら情報を喋っていたということを思い合わせると情報戦には日本は遅れていたのかなと思った。
 
 もう一つ意外だったのは長引く日中戦争で、中国空軍が東京を空襲したらといったものもあって驚いた。これは中国ではなく、アメリカによってなされるのだが、あまりこうしたことに関心が払われてなかったのかなと思ったりしたものだ。
 
 

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