ホリプロが山口百恵主演で撮った文芸映画の第2作。今度は川端康成が可愛がっていた三島由紀夫の同名小説の4度目の映画化作品になる。山口百恵の映画の殆どはリメイクもので、映画的には新味に欠ける傾向はあった。企画が安易で、封切当時はあまり触手は動かなかった。最近、CSあたりで西河克己監督の旧作がよく放映され、その手堅い演出に注目しつつあるなか、西河監督作品として触れるべきものとして百恵映画の一部も触れてみようと思った訳である。
やはり新味には欠けるものの、演出ぶりは堅実である。脇役も芸達者が揃っている。ここでは花沢徳衛や田中春男といった往年の名作にも多く登場した名優たちが登場する。そして、ヒロインの父親役の中村竹弥の威厳ある演技も印象が強い。灯台長夫妻は有島一郎と津島恵子でみな適役である。
ただし、このシリーズの難点は音楽である。饒舌な上に、画面にそぐわないものが流れて、映画を安っぽくしているような気がする。