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Channel: 趣味の部屋
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クルト・ワイル:「ヴィーナスの接吻」

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 1955年にテレビ放送用に撮られた映像である。半分テレビドラマのようでもあるのだが、クルト・ワイルのミュージカルということで手にしてみた。字幕はないが、比較的平易な英語なのでおおよその様子はわかる。ヴィーナスの像を入れたのだが、しがない理髪師の青年がその手に指輪を嵌めたら、本物の女性になって一波乱するというもの。
 
 出ている人たちも全て未知の人ばかり。話は他愛のないもので荒唐無稽ですらある。ただ、ヴィーナスというのは、裸の美人というふうにしかイメージがわかないが、欧米では人を惑わす異教の象徴みたいな扱いになるようだ。このミュージカルからして、世の男性を翻弄する。ただ、アメリカ娘みたいなのはご愛嬌だ。これを見ていてふとワーグナーの歌劇「タンホイザー」を思い出した。ヴィーヌス(オペラではヴェーヌス)が登場して、主人公を惑わす。こちらは完全に敵役で邪教の親玉としての登場である。
 
 しかし、よくこういう映像が残っていたものである。流石はアメリカだ。経年劣化で画質は今ひとつで音もモノラルだが、ジャズっぽい音楽が楽しい。クルト・ワイルの一面に触れられるのは貴重だ。

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