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Channel: 趣味の部屋
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白い崖(東映東京1960年)

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 今井正監督のフィルモグラフィーの中で、あまり目立たない作品ではある。名作「キクとイサム」と「あれが港の灯だ」の間の作品だが、この二つに挟まれて影が薄い。菊島隆三が外国のスリラー小説を翻案したものらしい。一応犯罪映画でそれなりに見せるのではあるが、何故今井監督は撮る気になったのだろうか、とふと思った。
 
 冒頭いきなり主人公の死刑執行の場面から始まり、その顛末が回想形式で展開する。主人公はしがない秘書課のサラリーマンでとても野心家である。貧しい家庭で育った男が上昇志向一辺倒で足元の穴に躓いてしまうというものだが、ここら辺りに意義を見出したのかもしれない。
 
 ただ、描写が通り一遍で今井作品としては物足らない。納得させられるものを持つことが多い、この監督にしては平凡なのである。テレビの2時間サスペンスとあまり変わりがない。

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