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Channel: 趣味の部屋
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惑星ソラリス(アンドレイ・タルコフスキー)(1972年)

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 タルコフスキー監督のこの作品は一応SF映画の範疇に入れられているが、かなり哲学的な仕上がりになっている。キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」同様にとっつきにくい難解な映画の部類になっている。タルコフスキーはそのキューブリック作品を批判したそうだ。あれでもまだショー的要素があると映ったようだとは解説にあった。
 
 探査する惑星ソラリスが知性を有する海をもっていて、その軌道のステーションに詰める人間がノイローゼになるという設定がまずユニークだ。報告しても受ける地球側の本部は信じない。幻を見ているとか、考えられないことと変人扱いをしてしまう。体験した者たちは一様に傷つき苦しむ。潜在意識を具体化して人間たちを翻弄する惑星ソラリスは何かを象徴しているような感じだ。
 
 それは何か。第三者は自分たちの常識に束縛されているし、体験者はかつての経験での苦いものを思い起こさせてしまうようだ。人間が至極小さな存在に思えてくる。
 
 なお、前半に未来都市として東京が出てくる。1972年当時、ロシア人からすると東京は無機質で異質なものに映っていたのであろうか。地名とか走行する車の表示なんかが読めてしまうので、何となく居心地が悪い。

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