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コヴェントガーデンでのケンペによる「指輪」

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1950年代、様々な歌劇場で毎年のように上演されていた『指環』の全曲演奏。このケンペ&コヴェントガーデンの1957年ライヴは、一連のクナ&バイロイトとともに最高の名演として高く評価されているものです。まず歌手たちの顔ぶれをご覧下さい!
 主役にはホッター、ニルソン、ヴィントガッセン、ヴィナイ・・・・など当時最高のワーグナー歌手を配し、ベーメ、ウーデ、クラウス、ミリンコヴィチなどの実力派がしっかりと脇を固めます。当時30歳のサザーランドのヴォークリンデも非常に魅力的です。
 そして、何と言っても素晴らしいのがケンペの指揮でしょう。1953年にコヴェント・ガーデンに登場、その後20年に渡り数々のオペラ上演を行いロンドンの聴衆、歌手、楽団員から絶大なる信頼を受けたケンペ、(とは言え、音楽監督の座は辞退)前年(1956年)は病気のために一時休養を取ったものの、この年、1957年はシーズン開始から精力的に活動し、『蝶々夫人』『エレクトラ』そして『指環』を立て続けに振ったのでした。もちろんこの『指環』は聴衆からも批評家からも大絶賛、溢れるような音の洪水と高らかな歌声に全ての人が歓喜したという伝説の公演記録です。後にケンペは1960年にバイロイトに登場、そこでの一連の『指環』でも素晴らしい演奏をおこなっていたのは言うまでもありません(廃盤)。
 なお、この復刻は、ヘアウッド卿(エリザベス女王のいとこで、イギリスを代表するオペラ専門家)の所蔵する高音質、高品質の原盤を使用したものです。(ユニバーサルIMS)

・ワーグナー:楽劇『ニーベルングの指環』全曲
・楽劇『ラインの黄金』(1957年9月25日)
 ヴォークリンデ・・・・ジョーン・サザーランド
 ヴェルグンデ・・・・ウネ・ハーレ
 フローシルデ・・・マージョリー・トーマス
 アルベリヒ・・・・オタカール・クラウス
 フリッカ・・・・ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ
 ヴォータン・・・ハンス・ホッター
 フライア・・・・エリザベート・リンダーマイアー
 ファーゾルト・・・・・クルト・ベーメ
 ファーフナー・・・・・フレデリック・ダルベルク
 フロー・・・・エドガー・エヴァンス
 ドンナー・・・・ローベルト・アルマン
 ローゲ・・・・エーリッヒ・ヴィッテ
 ミーメ・・・・ペーター・クライン
 エルダ・・・・・マリア・フォン・イロスヴァイ

・楽劇『ヴァルキューレ』(1957年9月27日)
 ジークムント・・・ラモン・ヴィナイ
 ジークリンデ・・・・ジルヴィア・フィッシャー
 フンディング・・・・フレデリック・ダルベルク
 ヴォータン・・・ハンス・ホッター
 ブリュンヒルデ・・・・ビルギット・ニルソン
 フリッカ・・・・・ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ

・楽劇『ジークフリート』(1957年10月1日)
 ミーメ・・・・ペーター・クライン
 ジークフリート・・・ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 さすらい人・・・・ハンス・ホッター
 アルベリヒ・・・オタカール・クラウス
 ファーフナー・・・・フレデリック・ダルベルク
 森の小鳥・・・ジャネット・サンクレール
 ブリュンヒルデ・・・・ビルギット・ニルソン

・楽劇『神々の黄昏』(1957年10月4日)
 第1のノルン・・・マリア・フォン・イロスヴァイ
 第2のノルン・・・コンスタンチェ・シャックロック
 第3のノルン・・・エイミー・シュアルド
 ブリュンヒルデ・・・ビルギット・ニルソン
 ジークフリート・・・ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 グンター・・・ヘルマン・ウーデ
 ハーゲン・・・クルト・ベーメ
 グートルーネ・・・エリザベート・リンダーマイアー
 ヴァルトラウテ・・・マリア・フォン・イロスヴァイ
 アルベリヒ・・・オタカール・クラウス
 ヴォークリンデ・・・ジョーン・サザーランド
 ヴェルグンデ・・・ウネ・ハーレ
 フローシルデ・・・マージョリー・トーマス

 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮:ルドルフ・ケンペ

 録音時期:1957年9,10月(モノラル)
 録音場所:コヴェントガーデン王立歌劇場(ライヴ)
 
 以上は、通販のページをコピーペーストしたものだが、バイロイトならぬロンドンのコヴェントガーデンでバイロイトに並ぶワーグナー歌手を揃えて、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」が全曲を上演されていることに驚く。だいたいブリュンヒルデなどは50年代はアストリット・ヴァルナイがやっていると思ったら、もうニルソンがちゃんと歌っている。ハンス・ホッターやラモン・ヴィナイそれにヘルマン・ウーデやヴォルフガング・ヴィットガッセンなどはバイロイトの常連歌手である。それに若き日のジョーン・サザーランドがラインの乙女ヴォークリンデをやっているのも面白い。
 
 さて、ドイツ東部で主に活動していたケンペが西に出てきて、活躍してようやくその仕事がうまくいってきた頃であろうか。イギリスではたいへん人気が高く、オーケストラ奏者からの信認も得てきた指揮者の一端に触れられるものである。発売者のコメントにもある通り、音源がいい状態なので、モノラルながら鑑賞条件は良好である。こうした往年の名演が手近に聴けるのは誠にありがたいことである。
 

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