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「あけぼの」ラストラン

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 このブルートレインは乗ったことがないが、またブルートレインが一つ退場する。まことに寂しい限りである。

ムスルグスキー:歌劇「ホヴァーンシチナ」(バイエルン国立歌劇)

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・ムソルグスキー:歌劇『ホヴァーンシチナ』全曲

 パータ・ブルチュラーゼ(Bs:イヴァン・ホヴァーンスキー)
 クラウス・フローリアン・フォークト(T:アンドレイ・ホヴァーンスキー)
 ジョン・ダスザック(T:ワシーリー・ゴリーツィン)
 ヴァレリー・アレクセイエフ(Bs:シャクロヴィートゥイ)
 アナトーリ・コチェルガ(Bs:ドシフェイ)
 ドリス・ゾッフェル(Ms:マルファ)
 カミッラ・ニールンド(S:エンマ)
 バイエルン国立歌劇場合唱団
 バイエルン国立管弦楽団
 ケント・ナガノ(指揮)

 演出、装置:ディミトリ・チェルニャコフ

 収録時期:2007年7月10,14日
 収録場所:ミュンヘン、ナツィオナールテアーター(ライヴ)
 
 最近は珍しい演目も上演されてソフト化もされる。また、名門もあらゆる国のオペラを積極的にやるようになったような気がする。
 
 この未完のムスルグスキーの歌劇は前奏曲が「モスクワ河の夜明け」というタイトルで時折演奏されるのを聴くだけで、オペラ自体は知らなかった。ところがこうした形で出てくるのはありがたい。もっともこのオペラはいろいろな版があって、それぞれがまた違った感じのようである。今映像化になっているのは、ショスタコーヴィチが編曲編集した版ばかりのようだ。そして、ケント・ナガノが指揮することの公演は最後はスタrヴィンスキーがまとめ上げたものが使われている。他にリムスキー=コルサコフが編曲した版もある。
 
 舞台は読み替えがしてあり、雰囲気はソ連時代のような設定である。初心者としては台本に沿ったものが見たいのだが、仕方がない。残念ながら日本語字幕はなく、英語字幕で鑑賞している。
 

佐平次捕物控 紫頭巾(マキノ正博)(CAC・宝塚映画1949年)

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怪傑紫頭巾

 これは、1975年に行われた「阪妻映画祭」で上映された折に観た1本だった。大映の「王将」との2本立てだった。
何でも二大スターである阪東妻三郎と大河内伝次郎が共演した唯一の作品でもあるという。
 
 残念ながら、前後篇を1本にまとめて話の筋がわからなくなった「総集編」という形でしか残っていないようだ。また「怪傑紫頭巾」と改題もされている。1953年に妻三郎が死去した折に、東宝が今の形にして追悼番組にしたようである。ファンからすれば、オリジナルの形で遺して欲しいと思うのだが、劇場の回転率からこういう措置になったのであろう。
 
 概要は佐渡島の金山奉行が部下に横領の罪をなすりつけ、時の権力者と結託した。それを謎の人物、紫頭巾が大目付に協力して成敗するというものである。二大スターの脇を沢村国太郎と加東大介が兄弟出演している。マキノ正博監督を応援する意味もあったのかもしれない。市川春代、宮城千賀子、逢初夢子などが顔を揃えている。
 
 原作は壽々喜多呂九平。企画は妻三郎が原作者の窮状をみかね、何とかならないかということから始まったらしい。そこは日本映画の父、牧野省三の縁に繋がる仲間の助け合いの要素があったようだ。今観ると何だと思われるかもしれないが、昔懐かしい時代劇のフォームを見るには適した作品と思う。姿形のいいこと、今の俳優には望めなくなった何かがある気がする。

ジュリーニのライヴ集成(放送音源)

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Disc1
①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64  ピンカス・ズッカーマン(Vn)
②ドビュッシー:『海』~3つの交響的スケッチ
管弦楽:ケルン放送交響楽団
録音時期:1971年1月15日
録音場所:ケルン、ヴァルラフプラッツ・フンクハウス、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc2
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68
Disc3
①ハイドン:交響曲第94番ト長調 Hob.I:94『驚愕』
②ラヴェル:『マ・メール・ロワ』組曲
管弦楽:バイエルン放送交響楽団
録音時期:1979年1月26日
録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc4
①ブゾーニ:『ファウスト博士』のための2つの習作 op.51(サラバンドとコルテージュ)
 録音時期:1971年1月11日
 録音場所:ケルン
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
②フランク:交響詩『プシシェとエロス』
 録音時期:1971年1月15日
 録音場所:ケルン、ヴァルラフプラッツ・フンクハウス、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
③ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 op.88
 録音時期:1958年11月3日
 録音場所:ケルン
 録音方式:モノラル(ライヴ)
管弦楽:ケルン放送交響楽団
Disc5-6
・ロッシーニ:歌劇『セヴィリャの理髪師』全曲
ルイージ・アルヴァ(T アルマヴィーヴァ伯爵)
メルキオッレ・ルイーゼ(Bs バルトロ)
マリア・カラス(S ロジーナ)
ティト・ゴッピ(Br フィガロ)
ニコラ・ロッシ=レメーニ(Bs バジーリオ)
ピエールイージ・ラティヌッチ(Bs フィオレッロ)
アンナ・マリア・カナリ(S ベルタ)
ジュゼッペ・ネッシ(Bs 士官)
管弦楽&合唱:ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団
録音時期:1956年2月16日
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:モノラル(ライヴ)
 
 通販サイトを見ると、ジュリーニのものがまとまってBOXになったものが各社から発売されるのが目立つ。よく考えてみると今年はこのマエストロの生誕100周年に当たるのだ。
 
 これはライヴ録音を集めたBOXで放送音源を基にしたものであろう。70年代はステレオで二つにまたがっているものの、一夜の演奏会の演目がそのまま収録されている。一方、50年代のものはモノラルで、最後のスカラ座でのものが一番経年劣化が目立つ。しかし、鑑賞には問題がなく、聴く者にはありがたいアルバムである。
 
 この名指揮者のいろいろな側面に触れられるのがまずありがたい。最後の「セヴィリアの理髪師」は当時の一流の歌手たちが共演していて、そちらも聴きものである。ジュリーニは演出家たちとソリが合わず、晩年はコンサート指揮者としての比重が増したのだが、まだ若い頃のオペラ指揮者としての一端が味わえるのはありがたい。

平野好美キャメラマン~「西鶴一代女」「下郎の首」

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 日頃、映画キャメラマンに焦点を当てるというのは、あまりないと思う。宮川一夫といった名キャメラマンくらいしかフィルムセンターで特集を組まれることはまずないのではないか。
 
 その宮川氏が絶賛していた映画キャメラマンに平野好美という人がいる。戦後それも東宝争議後はほぼ新東宝の撮影所で活動していた人だ。中には溝口健二監督と田中絹代の畢生の代表作「西鶴一代女」の撮影を担当している。後は伊藤大輔監督の「下郎の首」もこの人が担当だった。日本映画データベースによると1929年あたりからキャリアが始まり、1962年で途切れている。戦前は中小のプロダクションを経て東宝に合流、そして争議で新東宝に移ったというキャリアだ。
 
 新東宝は初期は文芸ものなどもあったが、後半になるとエログロ路線に転換、そういう中にあって担当を淡々とこなしてきたという感じだ。1962年というと新東宝が倒産して、撮影所はTBSの傘下国際放映となる。ここは貸しスタジオとテレビ映画などを撮影していた。平野好美はなんと「忍者部隊月光」のいくつかのエピソードを担当しているのである。この子供向けのドラマはほぼ新東宝からの残党によるスタッフによって撮影されている。これには少々驚いた。
 
 前にこのキャメラマンのプロフィールを見たら、生死不明と記してあった。それが没年不詳に変わっている。どこでいつ亡くなったかも不明なのは、何とも悲しいことである。

マリス・ヤンソンス&バイエルン放送響 ベートーヴェン:交響曲全集+現代の作曲家たち

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【曲目】
<CD1>
1-4.ベートーヴェン: 交響曲第1番ハ長調 Op.21
5.ヨハネス・マリア・シュタウト(1974-):「マナイ」(2011)
6-9.ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
10.望月京(1969-):「ニライ-ベートーヴェンの交響曲第2番&第6番へのインテルメッツォ」

<CD2>
1-4.ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55
5.ロディオン・シチェドリン(1932-):ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書-管弦楽のための交響的断章(2008)

<CD3>
1-4.ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
5-8.ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67
9-10.ラミンタ・シャルクシュニーテ(1975-):「炎」(2010)

<CD4>
1-5.ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68
6.ギア・カンチェリ(1935-):混声合唱と管弦楽のための「Dixi」(2009)

<CD5>
1-4.ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92
5.イェルク・ヴィトマン(1973-):管弦楽のための演奏会?序曲「コンブリオ」(2008)
6-9.ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調
Op.93

<CD6>
1-4.交響曲第9番ニ短調「合唱」Op.125

【演奏】
<CD6>
クリスティアーネ・カルク(ソプラノ)
藤村実穂子(アルト)
ミヒャエル・シャーデ(テノール)
ミヒャエル・ヴォッレ(バス)
バイエルン放送合唱団(ペーター・ダイクストラ…合唱指揮)
<CD1-6>
バイエルン放送交響楽団/マリス・ヤンソンス(指揮)

【録音】
<CD1>
2012年11月27日 サントリー・ホール…1-4, 6-9
2012年2月19日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…5
2012年11月8.9日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…10
<CD2>
2012年10月18.19日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…1-4
2008年12月18.19日 ミュンヘン フィルハーモニー・ガスタイク…5
<CD3>
2012年11月26日 サントリー・ホール…1-4
2012年11月27日 サントリー・ホール…5-8
2012年5月17.18日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…9-10
<CD4>
2012年11月8.9日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…1-5
2009年10月29.30日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…6
<CD5>
2012年11月30日 サントリー・ホール…1-4
2008年9月25.26日 ミュンヘン フィルハーモニー・ガスタイク…5
2012年12月1日 サントリー・ホール…6-9
<CD6>
2012年12月1日 サントリー・ホール
 
 マリス・ヤンソンスが手兵バイエルン放送交響楽団を率いて来日、ベートーヴェン・チクルスをやったという情報は入っていた。そしてその演奏が映像ソフトやCDになっていることも聞きつけてはいた。まあ、ベートーヴェンの交響曲だけだったら、もう他にもあって屋上に屋を架すような状況で興味は薄かった。ところが店頭で、目を凝らしてみると、上記のようなタイトルである。現代の作曲家たちがベートーヴェンの交響曲もしくはベートーヴェンそのものに触発されて書いた新作も併録されいるものを見つけた。
 
 ベートーヴェンは第6番以外は全てサントリー・ホールのライヴ、一方、現代曲は全て本国本拠でのライヴ録音と対照的な状態になっている。日本では序曲などを演奏したのかは、確認していない。少なくとも映像ものを見ると全て交響曲のみのプログラム。アンコールとして普段見慣れない曲はあるが、これらの現代曲ではなかった。
 
 一枚ずつ最初から丹念に聴いてみる。だいたいこういうBOXものはDISC1からではなく、ランダムに取り出すのだが、これは順番通りにしてみるつもりだ。だいたい交響曲はテンポが速く、もっと歌って欲しいと思う箇所もある。今回ヤンソンスによるベートーヴェンは初めてで他の機会の演奏は聴いたことがない。奇数番号のものはそれなりにメリハリがいいのだが、偶数番号はちょっと素っ気ない感じがした。一方、現代曲の方はベートーヴェンよりも大編成のものが多い。シチェドリンの作品のように保守的なものもあれば、若い作曲家たちはやはり前衛的な作風だ。女性作曲家二人の作品も収録、その一人は望月京(みやこ)という人だ。
 
 ヤンソンスはベートーヴェンに関連したものを現役の作曲家に委嘱して演奏している。そうしたいわば挑戦的な全集BOXなのかもしれない。

アメリカ時代のドヴォルザーク

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【収録情報】
CD1
ドヴォルザーク:
・交響曲第9番ホ短調Op.95『新世界より』
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 イルジー・ビエロフラーヴェク(指揮)

 録音時期:1989年9月
 録音場所:プラハ、ルドルフィヌム
 録音方式:デジタル(セッション)

・テ・デウムOp.103
 ガブリエラ・ベニャチコヴァー(ソプラノ)
 ヤロスラフ・ソウチェク(バリトン)
 チェコ・フィルハーモニー合唱団(合唱指揮:ルボミール・マートル)
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴァーツラフ・ノイマン(指揮)

 録音時期:1982年4月
 録音場所:プラハ、ルドルフィヌム
 録音方式:デジタル(セッション)

CD2
・弦楽四重奏曲第12番ヘ長調『アメリカ』Op.96
 パノハ四重奏団

 録音:1982年11月
 録音場所:プラハ、ルドルフィヌム
 録音方式:デジタル(セッション)

・ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ ト長調Op.100
 ヨゼフ・スーク(ヴァイオリン)
 ヨゼフ・ハーラ(ピアノ)

 録音時期:1995年4月
 録音場所:プラハ、リヒテンシュタイン宮殿、マルチヌー・ホール
 録音方式:デジタル(セッション)

・弦楽五重奏曲第3番変ホ長調Op.97
 ヨゼフ・スーク(ヴィオラ)
 スメタナ四重奏団

 録音時期:1973年6月
 録音場所:プラハ、ドモヴィナ・スタジオ
 録音方式:ステレオ(セッション)

CD3
・森の静けさOp.68-5
・ロンド ト短調Op.94
 ミロシュ・サードロ(チェロ)
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴァーツラフ・ノイマン(指揮)

 録音時期:1976年10月
 録音場所:プラハ、ルドルフィヌム
 録音方式:ステレオ(セッション)

・ユモレスク第7番変ト長調Op.101-7
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴァーツラフ・ノイマン(指揮)

 録音時期:1983年3月
 録音場所:プラハ、ルドルフィヌム
 録音方式:ステレオ(セッション)

・組曲イ長調Op.98b
 プラハ・フィルハーモニア
 ヤクブ・フルシャ(指揮)

 録音時期:2006年3月
 録音場所:プラハ、ドモヴィナ・スタジオ
 録音方式:デジタル(セッション)

・チェロ協奏曲ロ短調Op.104
 ヨゼフ・フッフロ(チェロ)
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴァーツラフ・ノイマン(指揮)

 録音時期:1975年10月、1976年2月
 録音場所:プラハ、ルドルフィヌム
 録音方式:ステレオ(セッション)
 
 1892年から95年にかけて、ドヴォルザークは乞われてニューヨークのナショナル音楽院に赴任したのは有名な話だが、そのアメリカ合衆国で過ごした時代に光をあてたBOXである。厳密に言えば、CD1の「テ・デウム」は自国で作曲したが、赴任した年がコロンブスのアメリカ大陸発見400周年にあたるので、アメリカのために書かれた作品だ。しかし、赴任した直後の歓迎演奏会で同作品は初演されていて、これがアメリカ時代の幕開けになった作品ではある。その後、望郷の念にかられながら、過ごした3年のアメリカ生活の集大成がこれで知ることができる。
 
 アメリカ音楽は当時まだヨーロッパの模倣のような状態だった。ペインとかマグダウェルといった作曲家は存在したが、彼らの作品はリストやブラームスの影響が大きいものを感じる。しかし、黒人たちの奏でる音楽や先住民の音楽に独特なものを感じ取り、これらの作品にも色濃く反映させている。お馴染みの「新世界から」は何かアイルランドあたりの船乗りの歌みたいなものを感じるがどうだろう。それに母国の要素が合わさって、この時代のドヴォルザークの作品は一種独特の味わいがあるように思う。
 

TBSによる東京交響楽団ライヴ録音から

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【収録情報】
・ファリャ:バレエ組曲『三角帽子』より3つの舞曲
・ヒナステラ:バレエ組曲『エスタンシア』より『マランボ』
・ハチャトゥリアン:バレエ組曲『ガイーヌ』より(子守歌/剣の舞)
 東京交響楽団
 アーサー・フィードラー(指揮)
 録音時期:1961年11月8日、20日
 録音場所:東京、厚生年金会館ホール

・ハチャトゥリアン:バレエ組曲『ガイーヌ』より(剣の舞/子守歌/バラの少女たちの踊り/レスギンカ)
 東京交響楽団
 ヴァーツラフ・スメターチェク(指揮)
 録音時期:1961年2月14日
 録音場所:東京、文京公会堂

・プロコフィエフ:交響曲第7番嬰ハ短調 op.131
 東京交響楽団
 ニコライ・マルコ(指揮)
 録音時期:1959年12月11日
 録音場所:東京、目黒公会堂

 録音方式:モノラル(ライヴ)
 SACD Hybrid
 CD MONO/ SACD MONO
 
 クラシックはNHKの専売かと思ったら、さにあらずといったことを如実に示してくれるシリーズ。黎明期の民放もクラシックに関わっていた。これらはTBSが遺しておいてくれた貴重な音源だ。
 
 当初はニコライ・マルコがプロコフィエフの第7番を振るということで着目した盤だが、他にアーサー・ファードラーやヴァーツラフ・スメターチェクの指揮したものが入っていて驚いた。くしくも「ガイーヌ」の有名な子守歌と剣の舞は二人の指揮の比較ができるようになっている。フィードラーの方がオーソドックスに聴こえたし、スメターチェクは手を入れて変更しているようにも聴こえた。
 
 さて、そのマルコだが、ショスタコーヴィチのデビュー作というか卒業成果課題作として提出された交響曲第1番を初演した人だ。レニングラード・フィルを1928年まで常任として指揮し、同時に音楽院の教授として後進の指導をした人だ。しかし、その経歴を見ると行政の締め付けに嫌気をさして、海外に出て欧米で指揮していた。この来日は唯一のもので当時はシドニー交響楽団の音楽監督をしていたらしい。この演奏の2年後にシドニーに没している。
 
 モノラルながら割と鮮明に聴こえるし、当時の東京交響楽団からいい響きを引き出している。このプロコフィエフの第7番は明るい作品というイメージだった。他の演奏ではそう聴こえた。しかし、マルコの解釈は何かほの暗いものを感じる。冒頭のテーマも決して晴れやかでなく、何か悲しみのようなものがあるのだ。別の解釈を示してくれたことに感謝したい。

訃報:優ミッキー・ルーニー氏

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 享年93歳だった。失礼ながら、今日までご存命だったとはと驚いた。もっとも闘病中ということで、芸能活動はしていなかったらしい。
 
 子役時代からの人気者で、ディズニーの「ドナルド・ダック」の短編にも登場するほどだった。ご本人を初めて確認したのは、「トコリの橋」という朝鮮戦争時代のアメリカの水兵役だった。主人公のウィリアム・ホールデンとともに戦死してしまうものだった。
 
 だが、もっと個性的なのは「ティファニーで朝食を」でユニオシという名の日本人の大家役。典型的なアメリカ人が想像する日本人の扮装で怪演している。口うるさい役で、オードリー・ヘップバーンを喰おうかという勢いだった。我々が見るとちょっと小馬鹿にされたようで必ずしも愉快ではない。
 
 他にテレビ映画「コンバット!」にもゲスト出演している。「銀の食器」とかいった副題だった。休暇中のカービー上等兵が出会う一風変わっ兵隊役だった。銀の食器のセットを持ち歩く男で、本国の母親にやるのだという。しかし、あえなく戦死。そんな食器よりも命が大切というのがテーマだったように思う。サンダースやヘンリーが一切登場しないエピソードで何故か覚えていた。
 
 ご冥福を祈ります。

タイム・トンネル(16)ロビンフッドの復讐

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 有名なマグナカルタ発布に関するエピソード。改革派の貴族のリーダー、ハンティングトン伯爵は通商ロビンフッドの名前で活躍したという物語で、ジョン王(歴史的にジョン馬鹿王とも呼ばれている)が敵役で登場する。
 
 全部で30話ある中で、後半に入る16話だ。前半が歴史的な話が中心で堅い内容だったが、ここらから子供にもわかるような話になっていく転換期の作品のようだ。ロビンフッドを絡ませるなどはそのいい例だろう。後は幽霊が出たり、宇宙人が登場したりとやや荒唐無稽な内容になっていくような印象が強い。
 

タイム・トンネル(17)生死を賭けたゲーム(日本未放映)

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 1945年初めの南硫黄島が舞台。これも日本兵が登場して、やや敵役的な存在なので、NHKは放映を見送ったエピソードである。したがって、日本語吹替音声は存在しない。
 
 よく観ると、ここに登場する日本のエリート士官は、死に急ぐ悲劇的な人物に描かれている。決して悪役ではない。一方で現在のコントロール室には彼の父親が出てきて、特攻隊で死んだと思っていた息子の姿を見て、愕然とする。肉親の情と命令通り死んでいないという複雑な表情を浮かべる。よくある戦争のエピソードとは異なり、話自体よく出来ていると思った。後半のエピソードでは群を抜いていると思う。

タイム・トンネル(18)星からの侵略者

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 このエピソードを初めて観た時、久しぶりに未来へ転送されたかと思ったものだった。そこはエイリアンの宇宙船の中で遥かに人類よりも進歩している様子の部屋だったからだ。しかし、実は過去で1885年のアメリカのアリゾナという設定だ。SFと西部劇が合体したちょっと変ったテイストのする話で、今も強烈に覚えている作品の一つである。そういえば2011年の映画に「カウボーイ&エイリイアン」というのがあったが、それを先取りしたものかもしれない。
 
 今回も初放映時に吹替え音声のあった部分で、その音声が失われている部分があった。たいへん残念なことである。なお、宇宙船の映像は同じアーウィン・アレンが制作した「宇宙家族ロビンソン」からの転用である。

タイム・トンネル(19)ネロの亡霊

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 これは第一次大戦のエピソード。そこへかつてのローマ皇帝で暴君だったネロの亡霊が絡む。やや荒唐無稽な傾向はあるが、話としては面白い。最後に後のイタリアの独裁者ムッソリーニが伍長として登場する。亡霊はこの伍長に乗り移るというオチだった。それが意外と説得力があって面白かった。初見の時はまだ小学生だったが、イタリアが連合国側ということをこのドラマで初めて知ったのを覚えている。
 
 なお、このエピソードもフォックス映画の旧作から転用されているシーンが多々ある。まず、行軍の様子は1957年の「武器よさらば」だと思われる。また一瞬トンネルの映像装置に映るローマ時代のシーンも旧作だが、題名は判明しない。

ニコライ・マルコのアルバム

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Symphonies 1 & 7 / The Love of Three Oranges
(曲目)
①チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」
②プロコフィエフ:組曲「三つのオレンジの恋」
③プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調作品25「古典的」
④プロコフィエフ:交響曲第7番嬰ハ短調作品131
ニコライ・マルコ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
1955年2月4,7,9,11日 キングスウェイ・ホール、ロンドンでのセッション録音。
 
 先日、TBSが遺してくれていたライヴ録音で気になったので、探したらこういうステレオのセッション録音を見つけた。前にも書いた通り、マルコはショスタコーヴィチの出世作、交響曲第1番を初演、またレニングラード・フィルではムラヴィンスキーの前任者だった。母国では指揮の先生としても有名だったが、当局との折り合いが悪く、国外に逃れた一人だった。スターリンに粛清されなくて、本当に良かったと思う。最後はオーストラリアで指揮をしていて、亡くなったというからこれには驚いた。そして、一度だけ来日してもくれている。
 
 さて、これはこの指揮者の商業録音の一つ。前回と異なりステレオで収録されていて、細かいところまで聴けるのがありがたい。④は東京でのライヴと基本的には変らない。オケの技量はこちらの方が数段上でもある。
 

ブロムシュテット~サンフランシスコ時代

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DISC1
バルトーク:
・交響詩『コシュート』
・管弦楽のための協奏曲
DISC2
ベートーヴェン:
・交響曲第1番ハ長調 op.21
・交響曲第3番変ホ長調 op.55『英雄』
DISC3
ベルワルド:
・交響曲第1番ト短調『まじめな交響曲』
・交響曲第4番変ホ長調『素朴な交響曲』
DISC4
ブラームス:
ドイツ・レクィエム

 エリザベス・ノルベルイ=シュルツ(ソプラノ)
 ヴォルフガング・ホルツマイアー(バリトン)
 サンフランシスコ・シンフォニー・コーラス
DISC5
ブラームス:
・運命の歌 Op.54
 ・アルト・ラプソディ Op.53
・埋葬の歌 Op.13
・悲歌 Op.82
・運命の女神たち Op.89
 ヤルド・ファン・ネス(メゾ・ソプラノ)
 サンフランシスコ・シンフォニー・コーラス
DISC6
ブルックナー:
交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(ハース版/1886年ニューヨーク版との融合による)
DISC7
グリーグ:
劇音楽『ペール・ギュント』 op.23(抜粋)

 ペール・ギュント、泥棒:ウルバン・マルムベルイ(バリトン)
 ソルヴェイグ:マリ・アンネ・ヘガンデル(ソプラノ)
 第1の山羊追いの女:ウェンディ・ホフマン(ソプラノ)
 第2の山羊追いの女:メリリン・ヴォーン(メゾ・ソプラノ)
 アニトラ、第3の山羊追いの女:ウェンディ・ホワイト(メゾ・ソプラノ)
 盗品買い:リチャード・ヘイル(バス・バリトン)
 山の魔王:デイヴィッド・ヘス(語り)
 第1の子供のトロル:マーガレット・リジ(語り)
 宮仕えのトロル、第2の子供のトロル:カーレ・ミクスヴォル(語り)
 若い娘:マリア・メイヤー(語り)
 第1の魔女:クリスティーナ・ラップ(語り)
 第2の魔女:ベイグ:グレゴリー・ニューボ(語り)
 オーゼ:マリ・アンネ・ヘガンデル(語り)
 サンフランシスコ・シンフォニー・コーラス
DISC8
ヒンデミット:
・ウェーバーの主題による交響的変容
・ヴィオラと弦楽のための葬送音楽
・交響曲『画家マチス』
・弦楽と金管のための演奏会音楽
DISC9
マーラー:
交響曲第2番ハ短調『復活』

 ルート・ツィーザク(ソプラノ)
 シャルロット・ヘレカント(アルト)
 サンフランシスコ・シンフォニー・コーラス
DISC10
メンデルスゾーン:
・交響曲第3番イ短調 op.56『スコットランド』
・交響曲第4番イ長調 op.90『イタリア』
DISC11
ニールセン:
・交響曲第2番ロ短調 op.16『4つの気質』
・交響曲第3番ニ短調 op.27『ひろがりの交響曲』
DISC12
オルフ:
カルミナ・ブラーナ

 リン・ドーソン(ソプラノ)
 ジョン・ダニエッキ(テノール)
 ケヴィン・マクミラン(バリトン)
 サンフランシスコ少年合唱団&少女合唱団
 サンフランシスコ・シンフォニー・コーラス
DISC13
シューベルト:
・イタリア風序曲第2番ハ長調 D.591
・交響曲第9番ハ長調 D.944『グレート』
DISC14
シベリウス:
・交響曲1番ホ短調 op.39
・交響曲第7番ハ長調 op.105
・交響詩『タピオラ』 op.112
DISC15
R.シュトラウス:
・交響詩『ドン・ファン』 op.64
・アルプス交響曲 op.64
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 サンフランシスコ交響楽団
 
 ブロムシュテットがサンフランシスコ交響楽団の常任指揮者時代にデッカに録音した選集BOX。一人の作曲者に集中せず、一通りのレパートリーを集めたところが面白いと思った。ベートーヴェンからオルフまで揃っているし、中にはたいへんマニアックな作品もあったりしてバラエティに富んでいる。そのレアなものでは、ベルワルドやブラームスの初期の合唱作品、シューベルトの珍しい序曲なんかが入っている。
 
 日本にもお馴染みの指揮者で、NHK交響楽団にも共演した指揮者だ。どこか中庸な解釈で物足らないこともあるが、ここでは変なケレンはないので、逆に安心して鑑賞できる。馴染みのないベルワルドなどもこれがスタンダードであると言っているように聴こえる。一方でブラームスは交響曲ではなく、合唱曲が中心。ドイツ・レクイエムは感動的である。初期の「埋葬の歌」は管楽器とティンパニの伴奏のみではあるが、荘重で格調が高い。

 
 
 

タイム・トンネル(20)ジェリコの城壁

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 聖書関連のエピソードである。話としては知っていても、カーク所長などが、二人の安否そっちのけで、本当だったと感動する意味合いを信者ならぬ者には理解しがたいものがあるのも事実。女性のアン博士が割と冷静でどちらかというとネガティヴな言動するのは、面白いし、自分などはそちらに共感してしまう。話のオチが神風的なのは苦笑してしまう。
 

タイム・トンネル(21)黄金のマスク

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 1519年のメキシコあたりが舞台。悪名高い征服者コルテスが登場する。一方で司令室側でアドバイザーとしてやってくる考古学者も手段を選ばない問題の人物という設定だ。しかし、これは観方を変えるとスピルバーグ監督のインディ・ジョーンズと同類ということになる。人を人と思わない傲慢なスペイン人(白人)の姿を如実に描くというのは、当時のアメリカの社会状況は反映しているのかもしれない。

タイム・トンネル(22)ビリー・ザ・キッド

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 1881年ニュー・メキシコのリンカーンという村落が舞台。ビリー・ザ・キッドとキョット・バレットが登場する西部劇のエピソード。この話は何回も映画化されているのだが、キッドの生まれがニューヨークのイーストサイドというのは、この物語で知った。カーク所長が、それは知らなかったと意外そうな顔をするがまさにそうだ。西部の悪漢と大都市ニューヨークが結びつかないのだ。

タイム・トンネル(23)海賊島

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 1805年バーバリー諸島が舞台。海賊とアメリカ海軍が戦う話だ。ヴィクター・ジョリー扮する海賊の頭目はいかにもという風体である。しかし、ここで印象深いのはタイム・トンネル・プロジェクトの嘱託医が定年で、帰られないのを覚悟でその時代に行くというくだりだ。彼は家族もなく独身だが、如何にも温厚な医者だ。陸軍を定年になったから、今度は海軍に奉仕するといって残るのだ。他の細かいことは忘れても最後のこのくだりは鮮明に覚えている。

タイム・トンネル(24)スパイと怪獣

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 過去から未来へ縦横に行き来するタイムワープならではの話である。まず1547年のグランドキャニオンに飛び、西暦10000年に行き、最後は恐竜時代だ。二人が移動する時に、普段のメンバーは司令室にはおらず、別の科学者が操作している。その科学者を技術者として潜入したスパイが殺害して、時限爆破装置を仕掛けて時空に飛ぶところから話が始まる。未来社会も必ずしも幸福な社会でないことが、印象深い。
 
 このエピソードのゲスト俳優はロバート・デュヴァル。フランシス・コッポラ監督の「ゴッド・ファーザー」や「地獄の黙示録」などで有名な俳優だが、この当時は多くのテレビ映画に出てキャリアを積んでいた。現に「コンバット!」には主にドイツ軍将校や衛生兵などに扮して出演していたのを確認している。
 
 なお、恐竜時代部分は旧作からの転用だが、二人が「ここが1968年ならどこだっていい」という部分はパイロット版の最後部分からの転用である。
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