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ルビンシテイン:交響曲第5番他

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収録情報
ルビンシテイン:
・交響曲第5番ト短調 Op.107
・歌劇『ドミートリー・ドンスコイ』序曲
・ファウスト Op.68

 ジョルジュ・エネスコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ホリア・アンドレースク(指揮)

 録音時期:1988年7月
 録音場所:ルーマニア、ブカレスト
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
 旧品番:8223320 (MARCO POLO)
 
 ついこの間NAXOSから出た新譜。しかし、録音は20年以上も前のもので、よく見るとかつてマルコポーロから出ていたもののようだ。レーベル移管ものである。
 
 アントン・ルビンシテインはロシアの音楽のインフラ整備を行った人で、その礎を築いた偉大な存在だ。サンクト・ペテルブルク音楽院を創設、ロシア音楽協会を設立して、環境整備をよくした人であった。弟ニコライとともに有能なピアニストであり、他の作曲家とも交流のあった人だった。
 
 そんな人物であるにも拘わらず、この人が作曲した作品は全く接してこなかった。このアルバムで初めてまともに鑑賞することになる。交響曲第5番はカリンニコフみたいにロシア風のメロディが豊富にあふれる曲であった。名前からして典型的なユダヤ系ではあっても、根付いた土地への愛着のなせる業であるろうか。

バーンスタインによるドヴォルザーク&スメタナ

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(収録内容)
①ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調作品70
②スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
③スメタナ:歌劇「売られた花嫁」より 3つの舞曲
④スメタナ:交響詩「モルダウ」
レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
①②1963年1月28日 フィルハーモニー・ホール(現・エイヴェリー・フィッシャー・ホール)
③1965年2月1日 マンハッタン・センター ④1964年11月23日 マンハッタン・センター
いずれもセッション録音
 
 以前から①のドヴォルザークは気になっていた。何故か日本での発売はLPもCDもないという。わずかにCD時代に入って、景品CDとして使われていたのを印刷物で目にした。そこに日本未発売と書かれていた。日本コロムビアもCBSソニーも売れないと判断したのであろうか。
 
 確かに第8番や第9番「新世界より」に比べると地味な作品だが、味わうとなかなかの名曲なのだが。バーンスタインは第9番だけは3回もセッション録音しているが、他はこの第7番のみのようだ。これが若さに任せたものではなく、意外と叙情的に聴こえたから、驚いた。もちろん爽やかだが、ドヴォルザークの持つ素朴さもあった。
 
 フィルアップは全てスメタナだ。③の3つの舞曲だけはゴルドマルクの交響曲「田舎の婚礼」と同梱されていて重複していて、購入を躊躇させた原因にもなったが、今回目をつぶった。同じオペラの序曲や「モルダウ」も聴いてみたくなったからだ。序曲や舞曲は溌溂した演奏ぶりが好感持てたが、交響詩「モルダウ」は平凡に聴こえてつまらなかった。
 
 バーンスタインはいろいろ波があるのだが、そこがまた面白いのである。

シャイアン(ジョン・フォード・1964年)

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 この映画はジョン・フォード監督晩年の作品。巷間の評判はあまり芳しくはない。少々説明的で構成に不満を覚えるものの、フォード監督の歴史観というか、そういうものを披歴してくれてたいへん興味深い作品であると思う。
 
 まず、先住民(かつてはアメリカ・インディアンと呼ばれていたが、今は使われていない)が敵役で白人がヒーローという図式は本作では完全に崩れている。先住民は白人から裏切られて失望している。差別蔑視も強く感じている。これはまず本当のことであろう。
 
 一方、白人も一枚岩かというとそうではない。まず古参の曹長はポーランドの移民で、母国でコサックに酷い目にあわされている。彼は先住民の境遇がある程度理解できている。「コサックではない、あんなふうになりたくない」と何回も言う。また最後に出てくる砦の司令官はドイツ系でプロシアでも職業軍人であった人。興奮するとドイツ語を発する。逆に命令に忠実すぎて融通がきかない。そう白人も英語を母国語とするアングロ系ばかりではなく、いろいろと混ざったりしているのである。
 
 アメリカの悩みを西部劇に体現させてくれた。したがって、ここでは颯爽としたジョン・ウェインのようなガンマンは登場しない。リチャード・ウィードマークの主人公はいつも悩みが深いように見える。どうもここらが西部劇でも地味になってしまって、逆に恥部を見せつけられたような気分になるのかもしれない。これがやがて、「ソルジャー・ブルー」といったもっとリアルで激しいものに変容していくのだと理解している。
 
 いや1964年というとイタリア製の西部劇が出てきて、きれいごとばかりの本家よりももっと迫真なものになっていた。ちょうど転換点だったのだろうと思う。

シューリヒトによるメンデルスゾーン管弦楽曲集

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(収録内容)
メンデルスゾーン
①劇付随音楽「真夏の夜の夢」
②「フィンガルの洞窟」序曲
③「美しいメルジーネの物語」序曲
④「ルイ・ブラス」序曲
カール・シューリヒト指揮
①バイエルン放送交響楽団
②南ドイツ放送交響楽団(=シュトゥットガルト放送交響楽団)
③④南西ドイツ放送交響楽団
 
 これも「コンサート・ホール」原盤のアルバムで③④はオリジナルのカップリングにこの度加えられたものという。かつて日本コロムビアから「デンオン」ブランドで出ていた。
 
 シューリヒトと言えば、ブルックナーやモーツァルトが有名だが、この人のブルックナーは好きで時折取り出すことが多い。先日あったブラームスも良かった。そこで余勢をかってこのメンデルスゾーンにもチャレンジしてみた。淡白ながら、流れるような音楽運びはやはりいい。①はクーベリックの録音もあるが、同じオーケストラながら全く違う印象を受けるのは本当に面白い。有名な「結婚行進曲」は大仰でないがいい。他の序曲もアバドやバーンスタインあたりの録音もあるが、ケレン味がないぶんスッキリ爽やかな感じである。

「シェーン」BDの発売中止

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セルブルーレイ商品『シェーン』発売中止のご案内

9月13日(金)発売予定のセルブルーレイ商品「シェーン」につきまして、
諸般の事情により、発売を中止とさせていただきます。
現在、受注中のオーダーはキャンセルとさせていただきます。
ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び致しますとともに、ご案内を申し上げます。
【対象商品】
発売日:2013年9月13日
セルブルーレイ商品『シェーン』 品番:PBH 137042
今後とも弊社をご愛顧いただけますよう、何卒宜しくお願い申し上げます
 
 まだ版権で未解決なことでもあるのだろうか。TPPとの関連があるのだろうか。一応パブリックドメインになっているはずなのだが。やはりきちっりと理由を公にしてもらいたいもの。

東京家族(製作委員会2013年)

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 山田洋次監督が小津安二郎監督の「東京物語」のオマージュとして製作した作品。小津作品の流れをほぼ踏襲しながら現代的な要素を取り入れている。
 
 最後に出てくる老夫婦がくらしているのは瀬戸内海に浮かぶ離れ小島。広島県内なのは「東京物語」と同じ。大崎上島というところで、実は長男が今赴任している島でもあってそういう興味もあって、上映時には見逃したののBDで鑑賞した。
 
 小津作品と異なるのは、最初から東京のシーンであり、老母は家に帰る前に東京で亡くなるというところ。小津作品で戦死した次男は鉄道務めの三男と合体したような人物に代わり、舞台芸術に従事、結婚を約束した女性がいる。オリジナルでは原節子が演じた未亡人は結婚前のうら若い女性に変じてある。その二人の出会いは東日本大震災復興ボランティアとして双方が参加して、意気投合したということになっている。また主人公が線香を上げに立ち寄る未亡人はやはり震災で老母を失くしているということも語られる。オリジナルでは職業があやふやだった主人公は元教師ということで、組合活動に熱心だったことが示されている。
 
 以上が気がついた相違だ。当然、小津作品とは全く別ものでどこか民青的な要素も感じられるのはこの監督ならではのところだ。そういえば、次男のフィアンセの蒼井優もどこか左翼系独立プロなんかに登場する人物の風情があった。
 
 やはり世代間の相違などを克明に描くのは同じだが、老母は次男の行く末に安堵して死ぬ。そうした何か希望のような要素があるのが小津作品とは異なる。小津の方は家族崩壊を予感させる暗さがあった。そこは二人の監督の資質の大いなる相違のように思った。

フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」(コヴェントガーデン)

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(収録内容)
トーマス・アレン(Br:ペーター)
エリザベス・コネル(MS:ゲルトルート)
アンゲリカ・キルシュラーガー(MS:ヘンゼル)
ディアナ・ダムラウ(S:グレーテル)
アニア・シリア(S:魔女)
プメザ・マトシキザ(S:眠りの精)
アニータ・ワトソン(S:朝霧の精)
サー・コリン・デイヴィス指揮 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団 ティフィン少年聖歌隊・児童合唱団
演出:モーシェ・レイザー、パトリス・コリエ
装置:クリスチャン・フヌイヤ
衣裳:アゴスティーノ・カヴァルカ
照明:クリストフ・フォレイ
2008年12月12,16日  コヴェントガーデン王立歌劇場、ロンドン(ライヴ)
 
 欧米の歌劇場ではこの作品やバレエ「くるみ割り人形」がクリスマス時期の公演でよくかかるという。そして、子供たちのオペラ入門としてはもってこいの作品にもなっている。話は誰でも知っているグリム童話である。
 
 この公演は扮装や小道具などがやや現代化されているものの、あまり邪魔にはなっていない。ただ現実的な貧困などを強調しようという意図があるようで、童話に隠れた残酷さを表現しようとしたという。だが、そこまでする必要があるのか。メルヘンの中にもそういうこと暗示する程度で良いではないかと思うのだが、どうだろうか。
 
 演奏は極めてオーソドックスで先ごろ亡くなったサー・コリン・デイヴィスらしい堅実な音楽運びである。アニア・シリアは熱演すぎたのか、カーテンコールでブーイングを受けているのは少々気の毒だった。

婚外子の扱い

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 婚外子の扱いについて、規定されたのが、明治31年(1898年)に制定されたもの。100年以上も経過したものであるのが目をひく。また、子供の立場からすれば、選べないのである。今や多様な家族のあり方が増えて、日本人の考え方も変わっているということであろう。
 
 今回は裁判官全会一致だったという。今まで通りではすまされないということを突きつけたものだと思う。

ミステリー・ゾーン(1959~61年)

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 子供の頃、アメリカのドラマはいろいろあって、どれもが面白かった。西部劇あり、ギャングものあり、戦争ものありそれにSFだ。これはSFドラマの代表作といっていい。「宇宙家族ロビンソン」や「タイムトンネル」などよりも先立つこと6~7年の作品で、毎回は語り手が登場して物語が展開する。ほぼ1話完結だったかと思う。
 
 モノクロの映像がいっそう不気味さを醸し出し、いろいろな映画作家にも影響を与えたようである。「ミステリー・ゾーン」は邦題であって、最初は他の題名が使われていたりと定着しなかったが、原題は「The Twilight Zone」で一貫していた。Twilightとは黄昏と訳すのだが、夜でもない昼でもないちょっと中途半端な時間帯で曖昧な領域という意味もあるように思う。
 
 ゲストは後で大物になった人たちが出演していたが、子供の頃はそういう俳優の顔よりも、見るもおぞましい異星人たちの姿のインパクトが強い。後で知ったが、マーティン・ランドウとかウィリアム・シャトナーなどがゲスト出演していたようだ。
 
 さて、この作品の映像ソフトはBOXものでは出ていたが、この度雑誌形式で販売されることになった。本当は少し前に別の会社から出ていたが、何らかの問題で途絶していたようだ。こちらは今になって知ったものだ。とりあえず3話ずつ収録されたDVDが雑誌につき、21巻が出るようだ。全シーズンがリリースされるかは、ホームペイジを見ても今のところわからない。

ザルツブルクの「パルシファル」(2013年)

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 ヨハン・ボータ(パルジファル)
 シュテフェン・ミリング(グルネマンツ)
 ヴォルフガング・コッホ(アンフォルタス/クリングゾル)
 ミヒャエラ・シュースター(クンドリー)
 ミルコ・ボロヴィノフ(ティトゥレル)、他
 バイエルン国立歌劇場合唱団
 ザルツブルク音楽祭および劇場児童合唱団
 シュターツカペレ・ドレスデン
 クリスティアーン・ティーレマン(指揮)

 演出:ミヒャエル・シュルツ
 装置・衣装:アレクサンダー・ポルツィン
 照明:ウルス・シェーネバウム
 振付:アネット・ゲーレ

 収録時期:2013年3月23日
 収録場所: ザルツブルク祝祭大劇場
 ザルツブルク復活祭音楽祭でのライヴ
 
 これは輸入盤ながら日本語字幕が入っていて、鑑賞するにはたいへんありがたかった。
 
 音楽祭の不祥事があって、いつもピットに入るBPOが出演を辞退したので、代わりにドレスデン国立管弦楽団が入るというたいへん珍しい公演を記録した映像である。
 
 音楽はティーレマンの程良いテンポによる指揮で飽きさせない。やはりこの人は並の指揮者ではない。またピットのオーケストラもBPOよりはオペラ演奏に慣れたSKDであることも大いに寄与しているかと思う。公演最後に団員が舞台に出てきて挨拶して大いに拍手を受けていた。
 
 肝心の芝居の方はどうか。やはり今風の演出で中世の話になっていない。宇宙服のような衣裳やキャバレーの女性のような衣裳を身にまとっている。また、パントマイム専門の役者が多く出演、同じ役を歌手と彼らが担っているようで、これが余計に舞台を複雑にしているみたいである。

2020年オリンピック東京開催

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 目が覚めて、そういえばもう決定されているだろうと思って、ネットのニュースを開いたら、東京ということであった。
 
 当初は東京とマドリードが接戦かなと予想していたら、意外な経緯だった。最初はイスタンブールとマドリードが同数の26で東京が40と抜きんでていた。この時点で東京は過半数は取れていないが、他にかなりの差を付けている。そして、どちらを落とすかで再下位決定で、なんとマドリードとなり最初の脱落となった。これは意外だった。よほど経済不安が響いたのだろうか。そして決戦はイスタンブールとだが、最終投票はこれまた大差だった。戦争の危険と原発の心配との天秤がかけられたのだろうか。
 
 昨夜のテレビ朝日の番組「池上彰の学べるニュースSP」では原発問題は委員の間であまり関心事ではないようで首相がプレゼンテーションでは触れない選択肢もあるとレポーターは伝えていた。しかし、実際は政府が問題の処理に乗り出し、データを付けて詳細に説明したとの報道があり、不安払拭に務めたとあった。それは当然であり、是非そういうことは世界にもまた国民にも開示して欲しいものだ。
 
 まずは東京決定には、関係者の方々にはご苦労様でした、と声をかけたい。そして、これが励みになっていい循環になれば願わずにはいれらない。

マイヤベーア:歌劇「悪魔のロベール」(コヴェントガーデン)

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ロラン・ペリの魔術によってカラフルによみがえる、グランド・オペラの傑作『悪魔のロベール』

マイアベーアのパリにおける成功を決定付けることになった作品『悪魔のロベール』。19世紀ヨーロッパの舞台を支配した、このグランド・オペラが、鬼才ロラン・ペリのカラフルなステージによって新たな息吹を吹き込まれました。英国ロイヤル・オペラからの注目作です。
 ノルマンディ公ロベールは、王女ベルトと悪魔ベルトランの間に生れた子だった。ノルマンディでの残虐行為のゆえにかの地を追放され、パレルモに至ったロベールは、ここでシチリアの王女イザベルに出会い恋に落ちる。シチリア王に歯向かったロベールを救ったのは、ベルトラン。彼は騎士だと偽ってロベールに付き従いつつ、息子を悪魔に引き渡そうとしている。そして、母の死をしらせにやってきた妹のアリスが、悪魔の誘惑からロベールを救おうとし・・・
 注目の若手ブライアン・ハイメルが好演しているほか、パトリツィア・チオーフィが抜群の存在感を見せ付けています。(COLUMBIA)

【収録情報】
・マイアベーア:歌劇『悪魔のロベール』全曲

 ロベール:ブライアン・ハイメル(テノール)
 イザベル:パトリツィア・チオーフィ(ソプラノ)
 ベルトラン:ジョン・レリエ(バス)
 アリス:マリーナ・ポプラフスカヤ(ソプラノ)
 ランボー:ジャン=フランソワ・ボラ(テノール)
 アルベルティ:ニコラ・クルジャル(バリトン)
 コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
 ダニエル・オーレン(指揮)

 演出:ロラン・ペリ
 収録時期:2012年12月6日
 収録場所:ロンドン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ライヴ)
 
 マイヤベーヤというと、ナチスが3Mの一人に挙げて演奏禁止にしたユダヤ系の作曲家である。そして、従来よく聴くのは、歌劇「預言者」の中の戴冠式行進曲くらいであった。したがって殆ど未知の作曲家といっていい。多分。コヴェントガーデンのアンサンブルなので、作品をちゃんと再現してくれるだろうという期待で手にした盤である。
 
 主人公の父親は悪魔のベルトランで人間と悪魔のハーフという設定で、悪魔ということで故国を追われているという設定。悪魔の誘いをどうはねのけるかというのが焦点の話である。
 
 今回この舞台を見ると、極端な現代化されたものでないのが、まず良かった。時代設定は16世紀だが、もう少し300年くらい時代が下ったような扮装になっていた。しかし、日本人にはあまり馴染みのない話なので、そこらはあまり気にならない。
 
 このディスクは海外盤ながら日本語字幕で鑑賞できるのはありがたい。

サムソンとデリラ(セシル・B.デミル)(1949)

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 セシル・B.デミル監督はこうした旧約聖書ものが多いという印象だ。古代のお話を娯楽作品に仕立てあげるのだが、その好例は「十戒」だが、これはその作品に先立つ1949年の作品。伝説の怪力無双の男サムソンと、彼を誘惑のワナに陥れる美女デリラの物語である。
 
 この話はこの映画で知った。もう何十年も前にNHKの総合テレビで放映されて、サムソンの弱点とかが描かれていたのを思い出す。本作はカラー作品だが、その時はカラーテレビで観たのだろうか。そこらは曖昧である。ただテレビの小さな画面からも迫力は感じられた。そして、この話をオペラにした作品があることは後で知ったのである。サン=サーンスの代表的なオペラだ。ただ舞台だから、映画ほどの迫力はない。こういう大仕掛けは映画に限る。
 
 なお、ヒロインのデリラに扮したヘディ・ラマーは、戦前のチェコ映画「春の調べ」(1932)で、全裸で野を走る女性に扮して熱演したヘディ・キースラーである。

三枝成彰:歌劇「KAMIKAZEー神風ー」

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オペラ『KAMIKAZE〜神風〜』 三枝健起演出、大友直人&新日本フィル、ジョン・健・ヌッツォ、小川里美、他(2013 ステレオ)
・三枝成彰:オペラ『KAMIKAZE-神風-』全三幕四場

 原案:堀 紘一
 脚本:福島敏朗
 作曲:三枝成彰
 指揮:大友直人
 演出:三枝健起
 美術:千住博
 照明:沢田祐二
 アリア歌詞:大貫妙子
 史実監修:大貫健一郎
 プロダクションマネージャー:小栗哲家

 キャスト:ジョン・健・ヌッツォ(T:神崎光司少尉)
       小川里美(S:土田知子)
       大山大輔(Br:木村寛少尉)
       小林沙羅(S:木村の妻・愛子)
       仲本博貴(Br:野島久一伍長)
       渡辺大(T:山口耕太少尉)
       坂本朱(MS:富田トメ)
 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
 合唱:六本木男声合唱団倶楽部

 収録時期:2013年1月31日~2月3日
 収録場所:東京文化会館(初演ライヴ)
 

第二次世界大戦で亡くなった全世界の人々に捧げるオペラ
 日本を代表するオペラ作曲家、三枝成彰氏が長年構想を温めていた本作品『KAMIKAZE~神風~』は、『Jr.バタフライ』『悲嘆』に続くオペラ「昭和三部作」の締めくくりとなる壮大な作品です。このDVDは2013年1月31日~2月3日にかけて東京文化会館で行われた初演の模様をライヴ収録したものです。

【あらすじ】
1945年4月。学徒動員により、特攻隊の最前線である知覧飛行場で飛行士として従事する神崎少尉には、東京に知子という婚約者がいた。神崎に会いたい一心で命がけで知覧にたどり着いた知子は、そこではじめて神崎が特攻に志願していることを知る。神崎は知子との婚約を解消し、「自分のことは忘れ、新しい伴侶を見つけて幸せに生きてほしい」と置き手紙を残したまま特攻に飛び立とうとするが・・・
 実在した特攻隊員とその婚約者をモデルに、理不尽に翻弄された愛を描いた悲劇です。なぜ国民に死を強要する「特攻」が行われたのか。政府の命令に抗えなかった人々の思いは・・・。(SONY)
 今年初めに初演されたばかりの新作である。日本語歌唱だが、字幕がないと辛いものがある。
 
 変っているのは、冒頭の部分。男声合唱による鎮魂歌「Dona Nobis Pacem」。ラテン語に始まりしばらくは日本語歌唱だが、やがて英語、ドイツ語、ロシア語、中国語、韓国語も出てきて、先の大戦で亡くなった全世界の人々に捧げるという意味合いを出している。合唱団はいろいろな国の軍服を着ている。ここらは映像ならではのもので、作者たちの意図がよくわかる。
 
 ただ、日本語がこうした種類のものにあまりそぐわないこともわかってします。言葉の特質なのかもしれない。

トスカニーニよるヴェルディ:レクイエム他(1940)

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(収録内容)
ヴェルディ
①レクイエム ②テ・デウム
ジンカ・ミラノフ(ソプラノ)、ブルーナ・カスターニャ(メゾ・ソプラノ)、ユッシ・ビョルリンク(テノール)、ニコラ・モスコーナ(バス) ウェストミンスター合唱団
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団
1940年11月23日 カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ)
 
 トスカニーニが指揮したヴェルディのレクイエムはRCAから出ているセッション録音を含めると、5種類以上は録音が出回っているようだ。ヴェルディを敬愛するマエストロだから、当然なのかもしれない。
 
 これはアメリカ合衆国が第二次大戦に参戦する約1年前の時期に演奏されたもの。新たに復刻されたものらしく、年代にしては凄く明瞭で聴きやすい。
 
 例によってややドライな音質で「怒りの日」の大太鼓などはもっと響いたものが好みなのだが、それはないものねだりかもしれない。
 
 それにしてもこんな音楽で死者は安らかにあの世へとやらに行けるのだろうか、と思うくらい、けばけばしい音楽のように思う。先に「怒りの日」などは、かなりドラマティックであり、ソリストたちは時に権力者のようであったり、哀れな民であったりで、オペラを聴いているような錯覚である。ソリストは「アイーダ」の主要4役とほぼ同じような書き方がしてあるとは専門家に聞いたことがある。
 
 この曲の初体験は東京都交響楽団の特別演奏会であった。自分としては珍しく生体験から入ったもので、聴いてすぐに好きになった曲であった。

事件(NHK1978年)

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事件
 
 「野火」や「レイテ戦記」で知られる大岡昇平の小説のドラマ化。放映当時、同時期に松竹で野村芳太郎監督が映画化していて、映画とテレビで競作になったことで話題になったものである。被害者の妹で被疑者の恋人である女性をどちらも大竹しのぶが扮していたのも、話題だった。
 
 NHKドラマの方は、映画よりも弁護士の人となりが詳しく描かれていた。敏腕ではあるが、より人間的な親しみを感じたのはこちらの方だった。映画が裁判の行方や事件の真相の究明に主眼を置いていたのとは対照に、こちらは弁護士の考え方を克明に追うというスタンスだったように思う。それは丹波哲郎と若山富三郎の俳優の資質の違いもあると思う。

TBS収録のクラシックからショスタコーヴィチ:交響曲第12番

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ショスタコーヴィチ:交響曲第12番≪1917年≫(日本初演)
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調作品112「1917年」
上田仁指揮 東京交響楽団
1962.4.12 日比谷公会堂でのライヴ
 
 つい先日、日本経済新聞の文化欄に「OTTAVA」というTBSの音楽部が収録したクラシックの録音が同社の倉庫に眠っていて、それをCDに世に問うたという記事があった。企画した方の手記だった。
 
 その中にはバックハウス、ハイフェッツの貴重なものもあり、上記のような日本のオーケストラ史の一端に触れるものもある。これはこの曲の日本初演の実況でもある。こういうものをTBSが収録していたということが、まず驚きだった。
 
 東京交響楽団は元来は東宝交響楽団の名称で設立された楽団だ。名前の通り、東宝映画の劇伴を演奏するためのオーケストラだった。早坂文雄が黒澤明監督作品に初めて参加した「酔いどれ天使」にはしっかりとクレジットされている。一方で既に上田仁が指揮者として盛んに現代曲や日本人の作品を取り上げていた。それが1962年まで続行されていたことを確認できた。一方で東宝から援助を断たれたオーケストラは東京交響楽団として、TBSや毎日放送の専属として活動、これはその時のものだ。
 
 演奏自体は、必ずしもベストではなく、弾ききれてない部分もあるが、ひどい演奏ではない。むしろ熱気を感じられて、それが何か感動するのである。こういう録音が発掘されて、聴けることを感謝したいと思う。

Sergiu Celibidache - The Berlin Recordings 1945-1957

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『セルジウ・チェリビダッケ/ベルリン・レコーディングス1945-57』

【曲目】
<CD1> 68'59"
・メンデルスゾーン: 交響曲第4番イ長調op. 9「0イタリア」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1953年11月9日/ベルリン=ツェーレンドルフ、ティールアレー・ゲマインデハウス(セッション・モノラル)
・メンデルスゾーン: 序曲「美しいメルジーネの物語」op. 32
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年8月27日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・モーツァルト: ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K. 21「9トルコ風」
リリア・ダルボーレ(ヴァイオリン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年3月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)

<CD2> 76'09"
・ショパン: ピアノ協奏曲第2番ヘ短調op. 21
ラウル・コチャルスキ(ピアノ) ベルリン放送交響楽団
収録: 1948年9月25日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・ベルリオーズ: 序曲「海賊」op. 21
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1947年8月31日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・ビゼー: 交響曲第1番ハ長調
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1953年11月9日/ベルリン=ツェーレンドルフ、ティールアレー・ゲマインデハウス(セッション・モノラル)
・ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」op. 9
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1947年4月19日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD3> 72'01"
・ブラームス: 交響曲第4番ホ短調op. 98
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1945年11月21日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・R.シュトラウス: 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」op. 28
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1947年8月31日/ベルリン、放送局スタジオ(ライヴ・モノラル)
・ヴォルフ: 5つの歌曲
夜のあいだに/考えてもみよ、ああ心よ!/祈り/アナクレオンの墓/ヴァイラの歌
マルガレーテ・クローゼ(メゾソプラノ) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年1月20日/ベルリン、放送局スタジオ(ライヴ・モノラル)

<CD4> 74'34"
・チャイコフスキー: 交響曲第2番ハ短調 Op. 1「7小ロシア」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年2月21日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・チャイコフスキー: 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年3月25日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・リムスキー=コルサコフ: 序曲「ロシアの復活祭」op. 36
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年7月1日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD5> 76'14"
・ドヴォルザーク: チェロ協奏曲ロ短調op. 104
ティボール・ド・マチュラ(チェロ) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1945年11月18日/ベルリン(セッション・モノラル)
・グラズノフ: 序曲「謝肉祭」op. 45 ※冒頭欠落
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年/ベルリン(セッション・モノラル)
・キュイ: 組曲第3番op. 4「3俗謡風に」
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年/ベルリン(セッション・モノラル)

<CD6> 68'29"
・ドビュッシー: 海~3つの交響的スケッチ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1947年8月31日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・ドビュッシー: 遊戯 1948
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1948年3月20日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ドビュッシー: 「夜想曲」~祭り
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年11月10日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・サン=サーンス: 「サムソンとダリラ」~第2 幕ダリラのアリア「あなたの声に心は開く」
マルガレーテ・クローゼ(メゾソプラノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年1月20日/ベルリン、放送局スタジオ(ライヴ・モノラル)
・グリエール: コロラトゥーラ・ソプラノと管弦楽のための協奏曲op. 82
エルナ・ベルガー(ソプラノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年7月7日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD7> 75'32"
・ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番変ホ長調op. 70
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1947年8月31日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・ストラヴィンスキー: バレエ「カルタ遊び」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年3月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ルディ・シュテファン(1887-1915): 管弦楽のための音楽
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1949年5月9日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ブゾーニ: 悲しい子守歌op. 42
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年7月24日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD8> 65'14"
・プロコフィエフ: 交響曲第1番ニ長調op. 2「5古典」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年7月6日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・プロコフィエフ: バレエ「ロメオとジュリエット」組曲第2番op. 64b
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年9月1日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・ルーセル: 小組曲op. 39
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年7月24日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD9> 68'38"
・ミヨー: フランス組曲op. 248
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1951年3月31日/ベルリン=ツェーレンドルフ、ティールアレー・ゲマインデハウス(セッション・モノラル)
・ミヨー: 交響的組曲第2番op. 57~第1、第4、第5曲
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1949年9月10日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ギュンター・ラファエル(1903-60): 交響曲第4番ハ長調op. 62
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年12月8日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・カルロス・チャベス: 交響曲第1番「アンティゴナ」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年12月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)

<CD10> 74'49"
・バーバー: カプリコーン・コンチェルトop. 21
ハンス=ペーター・シュミッツ(フルート)
ヘルムート・シュレフォクト(オーボエ)
カール・ルフト(トランペット)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年4月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・コープランド: バレエ「アパラチアの春」組曲
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年4月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ピストン: 交響曲第2番
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年4月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・マクダウェル: ロマンスop. 35
ハンス・ボッタームント(チェロ) ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年9月26日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD11> 75'35"
・ブリテン: シンフォニア・ダ・レクィエムop. 20
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1945年11月10日/ベルリン、放送局スタジオ(ライヴ・モノラル)
・パーセル: 「アーサー王」組曲 1945
ベルリン放送交響楽団
収録: 1945年8月16日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)
・ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲ニ長調RV210
ヘルムート・ヘラー(ヴァイオリン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1953年11月9日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・デイヴィッド・ダイアモンド: 弦楽オーケストラのためのラウンズ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年4月6日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ティーセン: ある革命劇への前奏曲op. 33
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年12月8日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<CD12> 70'36"
・ハイドン: 交響曲第94番ト長調Hob. I-9「4驚愕」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年9月28日/ベルリン、放送局スタジオ(ライヴ・モノラル)
・ハイドン: 交響曲第104番ニ長調Hob. I-10「4ロンドン」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1950年2月20日/ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会(セッション・モノラル)
・ベートーヴェン: 「レオノーレ」序曲第3番op. 72a
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録: 1946年11月10日/ベルリン、放送局スタジオ(セッション・モノラル)

<ボーナス・ディスク> 28'46"
・ベートーヴェン: 交響曲第7番イ長調op.92~第1楽章/第2楽章/第3楽章(フラグメント)
ベルリン・ドイツ交響楽団
録音: 1957年10月7日ベルリン、ティタニア=パラスト(ライヴ・モノラル)


【演奏】
セルジウ・チェリビダッケ(指揮)
 
かつてないボリュームとクオリティ!すべてにRBB(ベルリン=ブランデルブルク放送)収録のオリジナル・マスターを使用「ベルリン時代1945-1957のチェリビダッケ」

 
 この種のBOXは他にフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュのものがあるし、セルジュウ・チェリビダッケは第2弾になる。
 
 通販にある曲目と録音データをそのまま転載させてもらったが、驚くことにドイツが戦争に敗れて無条件降伏した直後のものが散見されることだ。瓦礫の中での演奏だが、これらは所謂コンサートのライヴではなく、ラジオ放送用のセッション録音。一種使命のようなものを関係者はもって臨んだのであろうか。心の再建というものかもしれない。
 
 さて、演奏はベルリン・フィルとベルリン・ドイツ交響楽団(当時はRIAS交響楽団)が担当している。戦争裁判の影響でフルトヴェングラーは出演が不可能だったし、後任の常任指揮者がアメリカ兵によって射殺されるといった悲劇もあり、主にチェリビダッケが活躍していたことは知られている。ベルリンの2つのオーケストラをそれこそ獅子奮迅の体で指揮しているのが、このBOXで一端を触れられる。
 
 1954年にフルトヴェングラーが亡くなり、BPOの音楽監督の後継と思われていたのに、結果は彼を指名しなかった。練習での態度が厳しすぎたのか、BPOは彼を嫌った形になった。
 
 演奏は全体的に遅いテンポで展開されていて、最初にあるメンデルスゾーンの第4番「イタリア」などはもっと躍動感があったらと思うようなところもある。それでも珍しい演目も聴くことができる貴重な録音であると考える。

石田太郎

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 俳優・石田太郎の訃報を知る。テレビ・ドラマの収録時に倒れてそのまま帰らぬ人となったとは、将に舞台で倒れたも同じである。
 
 記事にもある通り、小池朝雄の死去によって、「刑事コロンボ」でピーター・フォークの吹替えを担当していた。この人を最初に知ったのはNHK大河「龍馬がゆく」(1968)であった。確か後藤象二郎役だったかと思う。二股膏薬のような怪しげ人物像が強い印象を残したのを覚えている。
 
 DVD付雑誌でこの人の経歴があったが、僧侶の資格もあるようなことが記されていて、いろいろな面を人は持っているものだなと思った。また演技達者が逝ってしまった。ご冥福を。

クナによる「ばらの騎士」(1955年)

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 これは、1955年11月16日のライヴ。戦災で破壊されたウィーン国立歌劇場の再開時の公演である。当時再開を祝し、所縁の大指揮者がいろいろな演目を担当したが、クナッパーツブッシュは「ばらの騎士」を担当した。
 
 今はカルロス・クライバーあたりが定番であろうが、これはもう一時代前のものだが、ワーグナー指揮者で有名なクナッパツーブッシュが指揮しているのが惹かれた。残念ながら、歌手については全く知識がなく、未知の人ばかり。しかし、このオペラハウスにはやはり所縁の人たちであろうということはわかる。再開を喜んで喜々として、公演に臨んでいることが伝わる。
 
 なお、表の表示は「Wiener Philharmonoker」とオーケストラの表示はあるが、裏には「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」と記載されている。こちらの方が正解だろうと思う。実質同じとは言え、ここのピットに入る時はウィーン・フィルではないことが多いからだ。ここらはイタリアのレーベルらしい、おおらかなところかなと思う。
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