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アメリカのスパイ行為

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 アメリカ合衆国が各国大使館の盗聴をしていたことが、イギリスの雑誌で明らかになった。敵性国家だけでなく、同盟関係のあるフランス、日本、韓国にも及びEUの施設も対象だったという。
 
 ケリー国務長官はよくあることとうそぶいていたが、すんなり認めてしまうことに逆に驚いてしまった。しかし、何を考えているのだろうか、知りたいものである。

ノセダ/イタリアの間奏曲~無言歌集

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『イタリアの間奏曲 ~ 無言歌集』
【曲目】
チレア:歌劇《アドリアーナ・ルクヴルール》より 第2幕間奏曲
プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》より 第3幕間奏曲
カタラーニ:歌劇《ローレライ》より 水の精の踊り
プッチーニ:歌劇《修道女アンジェリカ》より 間奏曲
ジョルダーノ:歌劇《シベリア》より 第2幕への前奏曲
ポンキエルリ:歌劇《ジョコンダ》より 時の踊り
マスカーニ:歌劇《友人フリッツ》より 間奏曲
ヴェルディ:歌劇《椿姫》より 第3幕への前奏曲
プッチーニ:歌劇《エドガール》より 第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲
カタラーニ:歌劇《ワリー》より 第3幕間奏曲、第4幕間奏曲
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇《4人の田舎者》より 間奏曲、歌劇《マドンナの宝石》より 間奏曲
レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》より 間奏曲
ジョルダーノ:歌劇《フェードラ》より 第2幕間奏曲
【演奏】
ジャナンドレア・ノセダ(指揮)
BBCフィルハーモニック
【録音】
2008年8月5-6日, 2009年11月12日, 2010年3月22-23日
マンチェスター新放送センター・スタジオ7(イギリス)
 
 俊英ジャナンドレア・ノセダによるイタリア歌劇の間奏曲を中心に集めたもの。中には劇中のバレエ音楽も含まれている。とにかくオペラでの序曲以外のインストゥルメンタルな楽曲が集まったアルバムである。
 
 ノセダは埋もれたイタリア音楽の紹介を自らに課しているというだけあって、一部を除くとややマイナーな存在なものが多い。イタリア人らしくカンタービレを利かせた演奏かと思ったら、意外とアッサリとやや速めのテンポで音楽を展開していく。そこが小生にはやや物足らないが、これだけを集めてくれるのはやはり嬉しい。
 
 

白昼の通り魔(創造社1966年)

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 本作の初見は、前項の「天草四郎時貞」同様に、旧・池袋文芸地下である。ようやく映画が撮れるようになった時期の代表作と言えるのではなかろうか。
 
 佐藤慶扮する犯罪者の男は、明らかに性格異常の変質者だ。しかし、犯罪を扱ってはいるが、犯人逮捕に眼目は置かれていない。むしろ被害にあった女性が如何に難局を通り抜けるかにあるようだ。そして、人のあり様を彼女と関わり合いになった人物たちを通して、描くといったら良いだろうか。教師、有力者の息子などが絡む。ヒロインに関係した者は全て死ぬところが強烈な印象を残す。この変質者も死刑判決を受け、村の有線放送で刑が執行されたことが発表される。これも異様な風景だ。
 
 「天草四郎時貞」では観念的になりすぎていたが、そういう欠陥は回避されたように思う。しかし、決して容易な感じはしない。したがって、一般受けする映画とは真逆の作品と言っていい。

フルトヴェングラー晩年のシュトゥットガルト・ライヴ

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(収録曲目)
①フルトヴェングラー:交響曲第2番ホ短調
②ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調作品21
(付録)ハンス・ミューラー=クライとの対談
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 シュトゥットガルト放送交響楽団
1954.3.30 シュトゥットガルトでのライヴ
 
 レコード会社が解散したりして、一時期入手困難だったシュトゥットガルト放送交響楽団との顔合わせの演奏。少し珍しい組み合わせと思ったら、これが唯一の録音なのだそうである。また、当時のこのオーケストラの音楽監督と対談は貴重で、この巨匠の肉声が聴けるが、残念ながらドイツ語を解さない者には、「猫に小判」状態である。ただ、フルトヴェングラーの喋り方がやや苦しそうに聴こえる。体調が万全ではなかったのかなと思ったりする。また、巨匠が亡くなった年のもので、こちらがそう思うだけなのだろうか。
 
 この2曲の演奏会はベートーヴェンが前プロで自作をメインに据えているという構成だったのではなかろうか。この自作の第2番は他に数種録音があって、手許にはDGへのセッション録音がある。他の指揮者ではヨッフム、朝比奈隆とバレンボイムのものがあって、結構あるのだが、如何せん長大すぎて聴くのに骨が折れる作品なのだ。どことなく、ブルックナーを手本としているようなところがあるように思う。
 
 録音はやはり放送局からの正規ものらしく、状態はいい。モノラルながら少し広がり感があるようにも聴こえるが、加工が施されているのだろうか。

フルトヴェングラー:交響曲第3番(サヴァリッシュ)

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Sym.3: Sawallisch / Bavarian State.o
(収録曲)
フルトヴェングラー:交響曲第3番嬰ハ短調
ヴォルガング・サヴァリッシュ指揮 バイエルン国立管弦楽団
1980.1.7 国立歌劇場、ミュンヘン(ライヴ)
 
 先日亡くなったサヴァリッシュにこういう曲の録音があるとは思わなかった。サヴァリッシュを検索していたら、ヒットしたものである。あくまで正攻法に曲をまとめ上げている。マゼールやゲオルゲ・アレクサンダー・アルブレヒトの録音も手許にあるが、このサヴァリッシュ盤が一番スッキリとしたものになっているような印象がある。
 
 前の第2番にも書いたが、これもどこかブルックナーに通じていて、第9番の構成に近いのは偶然だろうか。友人には、軽快な新しいシンフォニーを書いていると手紙に書いているという。しかし、聴いてとても軽快な音楽などではなく、深刻ぶった大仰な構えの曲である。世の中の苦衷を一身に背負ったような感じがする。戦争中はたいへんな経験もしてきたわけだからわからなくはないが。

エルガー自作自演集1914~25年

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『エドワード・エルガー(1857-1934)自作自演1914-1925年全録音集』
【曲目】
CD1
カリッシマ(1914年1月21日)
真紅の扇 Op.81(1920年2月24日)
艦隊の攻撃(1917年7月27日)
カリヨン Op.75(1915年1月29日)
交響的前奏曲《ポローニア》Op.76(1919年5月22日)
付随音楽《スターライト・エクスプレス》Op.78(1916年2月18日)
CD2
序曲《コケイン》Op.40(1917年2月28日)
序曲《南国にて》Op.50(1923年10月26日/1921年12月30日)
ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 Op.61(1916年12月16日)
チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85(I,IImt:1919年12月22日/IIImt:1920年11月16日)
愛の挨拶 Op.12(1914年6月26日)
夜の歌 Op.15-No.1(1919年5月22日)
《オラフ王の伝説》からの情景 Op.30(1921年12月7日)
《ゲロンティウスの夢》Op.38より 前奏曲と天使の別れ(1917年2月28日)
《生命の光》Op.29より 瞑想曲(1925年4月)
CD3
《海の絵》Op.37(1922年11月10日/1923年1月8日)
エニグマ変奏曲 Op.36(1920年2月24日/1920年11月16日/1921年5月11日)
威風堂々第1番&威風堂々第4番(1914年6月26日)
バヴァリア3つのの踊り Op.27(1914年6月26日/1917年2月28日)
バッハ/エルガー編:幻想曲とフーガ BWV537(1921年12月7日/1923年10月26日)
ヘンデル/エルガー編:シャンドス・アンセム 第2番~序曲ニ短調(1923年10月26日)
CD4
《子供の魔法の杖》組曲 第1番 Op.1a(1919年5月22日)
《子供の魔法の杖》組曲 第2番 Op.1b(1917年2月28日)
《子供の魔法の杖》組曲 第1番 Op.1a-未発表テイク(1919年5月22日)
《子供の魔法の杖》組曲 第2番 Op.1b-未発表テイク(1919年5月22日)
交響曲 第2番 変ホ長調 Op.63(1924年3月5,20日/1925年4月16日)

【演奏】
エドワード・エルガー(指揮)
交響楽団、ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
マリー・ホール(ヴァイオリン協奏曲:Vn)
ベアトリス・ハリソン(チェロ協奏曲:Vc)
レイラ・メガーヌ(海の絵:A)
【録音】
1914年-1925年
Lani Spahrによる新リマスター(2011)(未発表音源を含む)
 
(発売元コメント)
 サー・エドワード・エルガー(1857-1934)は「パーセル以後イギリスは音楽において低迷を続けている」との汚名を払拭するべく大英帝国からの期待を一身に受けたのかどうか、録音機器開発初期からHMV(イギリスEMI)に多くの自作を録音する機会に恵まれました。この時期、小編成のアンサンブルならともかくエルガーの主要な管弦楽曲をこれほどさかんに録音出来たのはエルガーが当時のイギリスの代表的作曲家として期待されていたこと、そしてもちろんイギリスEMIの録音技術の高さを物語るものといえましょう。録音は全てEMI収蔵音源で最古の録音が第1次大戦の約5ヶ月前ですが保存状態は極めてよく、リマスターの効果(2011年新リマスター)もあり、ノイズも最小限で純粋に鑑賞に耐えうる内容です。
 
 歴史的録音も極まれりといった感じのBOXである。すでに、電気式録音の時代の自作自演盤は本家のEMIからBOXとなって出ているが、それに先立つアコースティック録音の時代にもこうした自作自演盤が存在するとは驚きである。
 
 確かに聴くと聴きやすい状態になっていて、鑑賞に差し障りはない。だが、オーケストラの実態のわからない単に「交響楽団」とクレジットされている団体はお世辞にもうまいとはいえない。弦楽器は当時のスタジオの制約からプルトの数を減らしているようだ。アマチュアに毛が生えたような感じではある。奏者にも戸惑いもあったのかもしれない。1914年の録音というとニキシュがBPOを振ったベートーヴェンの第5番を少しだけ耳にしたが、とても鑑賞に耐えられる代物ではなかった。音も遠く、あの世から聴こえる音楽という感じがしたが、こちらはそうでもなく生々しく聴こえる。
 
 表カバーの写真はCD1の1曲目を収録した後にポーズを取ったメンバーたちだという。普通の楽器を弾いているのがわかる。また、チェロ協奏曲は初演者のベアトリス・ハリソンが弾いているのも貴重だと思う。

戦時下のスクリーン~発掘された国策映画

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戦時下のスクリーン 発掘された國策映画(DVD)
 珍しい戦前の教育的な記録映画(所謂、劇映画ではない映画)をDVD2枚に17本を集めて収録したもの。年代は1929年~43年。一つの長さが7分~22分とまちまちだが、劇映画とはまた別の角度から戦前の日本の姿が浮かび上がる。ただ、ドキュメンタリーと呼ぶにはやや躊躇を覚える。ちょっとした演出や芝居も含まれているからだ。
 
 最初のものは1929年のもので、これだけがサイレント。天孫降臨から現代(1929年)までの歴史をざっとみて、日本独自の精神性の高さを説いたものだ。神武天皇が蛮族を退治するところや蒙古来襲のシーンが意外にも金をかけたスペクタクルシーンになっている。プロデューサーは当時日活京都撮影所と関係があったとかで、そのスタッフ俳優を使っているのかもしれない。
 
 このアルバムの主眼は1943年の学徒出陣式のニュースフィルムだ。フィルムセンターで観た「日本ニュース」のものと若干が異なるみたいだが、学生たちの行進や東條英機の演説などがそのまま入っていた。
 
 製作会社はいずれも知らないところであり、画質・音質も良くない。ナレーションも難しい言葉の羅列で、理解しがたいものがある。だが、総じて精神訓話的である。また「愛国行進曲」は歌そのものを教え込もうという企画で、今で言うカラオケのスタイルが見られるのは面白いと思った。
 
 スパイに注意という啓蒙映画では、秘密を思わず洩らしてしまう当時の日本人の欠陥が案外的確に表現されていた。焦点は銃後のことだが、後年戦場で兵士たちが手帳に情報を残したり、捕虜になったら情報を喋っていたということを思い合わせると情報戦には日本は遅れていたのかなと思った。
 
 もう一つ意外だったのは長引く日中戦争で、中国空軍が東京を空襲したらといったものもあって驚いた。これは中国ではなく、アメリカによってなされるのだが、あまりこうしたことに関心が払われてなかったのかなと思ったりしたものだ。
 
 

バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」&セレナード

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 これは有名な自作自演盤に先立つ古い録音のものである。「不安の時代」でソロを担当しているのはルーカス・フォス。DGにもやはりこの人がソロを担っていたが、こちらは1950年のモノラル録音。まだNYPの音楽監督になる前のもの。振ったのがNYPなので、コロムビアへの録音になったもののようだ。まだ古いセントルイス交響楽団と録音したRCA盤もあるらしい。
 
 一方のセレナードはアイザック・スターンがソロを担当。一般に有名なのはジノ・フランチェスカッティがソロをしたものだが、こちらが目を惹くのはオーケストラが「Symphpny of the Air」だろう。トスカニーニ専用のオーケストラだった旧NBC交響楽団だ。NBCの傘下を離れて、こうしてライバル会社のCBSにも録音できるようになったのか。
 
 このアルバムは店頭では見かけてそのうちにと思っていたら、入手がかなり困難になっていたものだ。幸い本国のAmazonにはマーケットプレイスでの扱いがあった。探せばあるものだが、代金の内訳を見たらその大半は運賃だった!
 

バーンスタインによるブルックナー:交響曲第9番

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 入手困難になると余計気になる性分のようだ。まだカタログで現役だった頃は、ブルックナーをバーンスタインの指揮で?といった感覚だった。ただ、シューリヒト盤だったか、ムラヴィンスキー盤やバーンスタイン盤と比較してみて欲しいと解説に書かれたあったのを見て、妙に気にはなっていた。
 
 バーンスタインはブルックナーにはあまり共感していなかったのか、正式なセッション録音はこの第9番しかない。DGに移籍した後も、VPOとこの曲のみを録音している。DG盤は何となく老境に達した時代なので、若い時代のNYPの方を先にしたかった。他にはNYPを振ったライヴの第6番が存在するが、こちらはややオケが崩壊しかかっていて、極めてスリリングな演奏ではあった。
 
 これも本国Amazonのマーケットプレイスで見つけたが、コメントには不発とか、フルトヴェングラーでラヴェルやバルトークを聴くようなものとあった。しかし、それも一興ではなかろうか。

満州行進曲(1932年)

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 戦前の歌で「満州行進曲」というのがある。堀内敬三作曲で、徳山や葭町二三吉がそれぞれ違う歌詞で唄っていたが、この曲をインストゥルメンタルながら、アメリカで編曲され演奏された録音があるとは思わなかった。
 
 軍歌にしては少々柔らかい感じだし、そこは堀内敬三の作風が勝っているのかもしれない。メロディはやや単調で起伏に乏しい。流行るほど唄われたかどうかはわからない。ビクターレコードが昭和の歌ということで復刻されたLPには徳山歌唱版が入っていて、それで覚えていた。

当世銀座節(1928)

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 先日、NHK第一の「午後のマリアージュ」という番組での「オレソング」というコーナーで、この「当世銀座節」が」かかっていた。我が家にある復刻CDには3分くらいしかないのに、なんと6分も流れていた。よく聴くと上下とがあって、多分25cmSP裏表に収まっていたのではないか。後半の「下」の方はラジオで初めて聴いた。
 
 内容は当時の風俗に通じていないと判らない言葉が多い。下の部で「東京とは恐いところ、獅子と虎とが酌に出る」という言葉があるが、前者は今でも銀座にあるビヤホール「ライオン」のこと。「虎」とは「タイガー」というカフェがあって、永井荷風の「断腸亭日乗」なんかによく登場する。
 
 音楽は当時流行っていたフォックストロットにアレンジされている。西條八十は銀座に行く連中を大いにからかった内容である。「銀座、銀座と通うやつぁ馬鹿よ」とのっけから挑発に出る。ラジオでこれを紹介したなぎら健壱によると、晩年に至るまで西條は銀座に立ち寄り難かったとか。
 
 佐藤千夜子の歌唱は声は立派だが、唄っている歌詞が聞き取りにくい。東北訛りがあったらしく、それも手伝っているだろうが、音楽学校出の歌手らしい発音でもあるのかもしれない。バックのオーケストラはレーベルには「日本ビクター管弦楽団」とかいういかめしい名前だが、どうも同社の「ジャズ・バンド」のメンバーが主のような感じがする。編成もピアノと数種の打楽器、ベースラインはテューバのようだ。それにヴァイオリン1、トランペット1、トロンボーン1の音は明確に聴こえる。

戦時下の行進曲など

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 住んでいる地域で、旧海軍関連の追悼式で楽器を持って演奏する機会を得た。その中で「軍艦行進曲」とか「海ゆかば」なども演奏する予定だ。何十年と演奏をしてきたが、これらの曲は演奏することはなかった。多分、政治的なことが絡んで演奏を憚ってきたのだろうか。それでも中学時代に「君が代行進曲」は演奏しているから、その辺のことは不明だ。
 
 数年前、高木東六を顕彰して、その作品を演奏、歌劇「春蘭」という作品のあることを知ったのだが、1942年の「空の神兵」は演奏しなかった。何故かと聞いたら、政治的クレームを回避したとのことだ。
 
 こうした楽曲を人前で演奏するのは、軍国主義の復活になるのだろうか。そういうことに目くじら立てる人たちもいるにはいるが、純粋に音楽作品と接すると中にはたいへんよく出来ている作品もあるものだ。
 
 「軍艦行進曲」はパチンコ屋の音楽ではない。日本の代表的な行進曲だ。トリオは雅楽版の「海ゆかば」の旋律が用いられ、構成のしっかりした曲だ。一般に「海ゆかば」と言えば後年に慶応義塾塾歌の作曲家信時潔が作った荘重な楽曲の方が有名だ。「海ゆかば」は二つあるのである。
 
 もう一つは「陸軍分列行進曲」。これはフランス人ルルーが作曲したもの。トリオはルルーが作った「抜刀隊の歌」が用いられている。これも聴き応え充分な音楽だ。
 
 しかし何故忌避されるのか。やはり戦争の記憶を呼び起こすからだろう。自虐史観が原因という人がいるが、そうではないと思う。
 
 「陸軍分列行進曲」は学徒出陣の折に演奏されていた。そのニュース映像は戦争を知らない自分でも何度も目にしている。作曲家の團伊玖磨はかつてNHK教育で日本の音楽史を扱った番組で講師を務めていた時に、この音楽を取り上げて、自ら吹奏楽団を指揮していた、死臭のする音楽で演奏するのは気が引けると語っていた。彼は学徒出陣壮行会で合唱団の一員であの場にいたそうである。
 
 もう一つ「海ゆかば」(信時版)は戦時中に玉砕放送がある時には、その前に流れていたと、母親から聞かされていた。あの音楽が流れると兵士として送り出した家族は覚悟したのであろう。
 
 そうした悲しい記憶と結び付くとなかなか演奏は難しかったのかもしれない。しかし、そういう経験者も少なくなり、事情を知らない者の方が増えてきたのも事実。そんな音楽は忘れ去られたまま封印状態になるのか、復活するのか。
 
 先の高木の「空の神兵」は軍歌にしては洗練されていて洒落た音楽に仕上がっている。軍幹部はそれが気に入らず文句を言い続けていたらしいが、高木も最後はピアノの蓋を激しく閉めて、「どうしろというのですか」と居直ったという。私としてはそういうところも顕彰して欲しかったと残念に思った方だ。

エルガー:自作自演集~電気吹き込み時代1926~33年

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【収録情報】
CD1

・交響曲第1番変イ長調作品55
 ロンドン交響楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1930年11月

・ファルスタッフ-交響的習作ハ短調作品68
 ロンドン交響楽団
 録音:アビ-・ロード第1スタジオ、ロンドン、1931年11月、1932年2月

CD2
・交響曲第2番変ホ長調作品63
・交響曲第2番~第3楽章のファースト・テイク
・交響曲第2番~セカンド・テイクのためのリハーサル
 ロンドン交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1927年4月、7月

CD3
・ジェロンティアスの夢作品38(抜粋)
 マーガレット・バルフォア(メゾ・ソプラノ:天使)
 スチュアート・ウィルソン(テナー:ジェロンティアス/ジェロンティアスの魂)
 ハーバート・ハイナー(バス:僧侶/苦悶の天使)
 ロイヤル合唱協会
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
 録音:ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン、1927年2月(ライヴ)

・市民のファンファーレ
・ジェロンティアスの夢 作品38(抜粋)
 マーガレット・バルフォア(メゾ・ソプラノ:天使)
 チューダー・デイヴィース(テナー:ジェロンティアス/ジェロンティアスの魂)
 ホレイス・スティーヴンス(バス:苦悶の天使)、他
 ロンドン交響楽団
 録音:ヒアフォード・カテドラル、1927年9月(ライヴ)

・ミュージック・メイカーズ作品69(抜粋)
 合唱団、ロンドン交響楽団
 録音:ヒアフォード・カテドラル、1927年9月(ライヴ)

CD4
・創作主題による変奏曲『エニグマ(謎)』作品36
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1926年4月、8月

・ヴァイオリン協奏曲ロ短調作品61
 イェフディ・メニューイン(ヴァイオリン)
 ロンドン交響楽団
 録音:アビー・ロード第1スタジオ、ロンドン、1932年7月

CD5
・子供の魔法の杖:児童劇のための音楽
 1.第1組曲作品1a
 2.第2組曲作品1b
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1928年12月

・ナースリー組曲
 ロンドン交響楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1931年5月、6月

・セヴァーン川組曲作品87
 録音:アビー・ロード第1スタジオ、ロンドン、1932年4月
 ロンドン交響楽団

CD6
・希望と栄光の島*
・It comes from the misty ages(『聖ジョージの旗』作品33:エピローグ)
・英国国歌(編:エルガー)
・Croft: O God, our help in ages past
 マーガレット・バルフォア(コントラルト)*
 フィルハーモニック合唱団
 ロンドン交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1928年2月

・メディテーション~『生命の光』
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1926年8月

・3つの性格的小品 作品10
 新交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:クイーンズ・ホール、1929年11月&アビー・ロード第1スタジオ、1933年2月

・朝の歌 作品15の1
・夕べの歌 作品15の2
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団、ロンドン交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1926年4月、1927年4月

・3つのバイエルンの踊り作品27
 ロンドン交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、1927年7月&アビー・ロード第1スタジオ、1932年2月

・インドの王冠:組曲作品66
 ロンドン交響楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1930年9月、11月

・ファンタジアとフーガ ハ短調作品86(バッハ:BWV537、エルガー編曲)
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1926年4月

CD7
・フロワサール:演奏会用序曲
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:アビー・ロード第1スタジオ、ロンドン、1933年2月

・コケイン(ロンドンの下町)序曲
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1926年4月

・南国で:演奏会用序曲作品50
 ロンドン交響楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1930年9月

・間奏曲~ファルスタッフ:交響的習作ハ短調作品68
 新交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1929年11月

・チェロ協奏曲ホ短調作品85
 ベアトリス・ハリスン(チェロ)
 新交響楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1928年3月、6月

CD8
・ミニュエット~伊達男ブランメル
・ローズマリー
・愛のあいさつ
・ミニュエット作品21
・抒情的なセレナード
・五月の歌
・カリッシマ
 新交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1929年11月

・ミニュエット~伊達男ブランメル
 ロンドン交響楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1928年12月

・5つのピアノ即興曲
 エドワード・エルガー(ピアノ)
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1929年11月

・威風堂々:軍隊行進曲作品39(全5曲)
 ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団、ロンドン交響楽団
 録音:クイーンズ・ホール、ロンドン、1926年4月、1927年7月

・希望と栄光の島(エルガーによるイントロダクション付き)
 ロンドン交響楽団
 録音:アビー・ロード第1スタジオ、ロンドン、1931年11月

CD9
・『神の国』への前奏曲
・威風堂々:軍隊行進曲作品39:第1番、第2番、第4番
・コケイン(ロンドンの下町):演奏会用序曲作品40
 BBC交響楽団
 録音:アビー・ロード第1スタジオ、1933年4月&キングズウェイ・ホール、1932年10月

・セレナード ホ短調作品20
・エレジー作品58
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1933年8月

 以上、エドワード・エルガー(指揮)

【補遺】
・カラクタクス 作品35(2曲)
 ロンドン交響楽団、ローレンス・コリングウッド(指揮)
 録音:アビー・ロード第1スタジオ、ロンドン、1934年1月

・ミーナ
 ニュー・ライト交響楽団、J.エインスリー・マレイ(指揮)
・ミーナ
 ライト交響楽団、ハイドン・ウッド(指揮)
 録音:アビー・ロード第2&第1スタジオ、ロンドン、1934年2月、1935年1月

・戴冠式行進曲作品65
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、 ランドン・ロナルド(指揮)
 録音:キングズウェイ・ホール、ロンドン、1935年3月
1993年に出た3巻のBOXセット。
 
 飽きもせずというか、懲りないというか、再びエルガーの自作自演集である。先日、アメリカのMusic & Artsから出た1914年から25年までアコースティック録音集から少し時代下り、電気吹き込みの時代に突入してからのアルバムである。
 
 1993年にこれらが3枚ずつのCDセットになって、リリースされた。当時はそれぞれが高くて、こうした「黴の生えたような」古い録音にそれだけの大枚をはたくことに抵抗があった。そうこうしているうちに、これらが入手不可となった。一部はNAXOSのヒシトリカルで復刻になっていて、聴く限りは鑑賞に差し支えはないどころか、エルガー自身の解釈が聴けて大いに興味ある録音だったことがわかった。
 
 そして、EMIの経営が苦しくなったのか、過去の録音を安く出す傾向にあった、この自演集も例外ではなかった。3つのセットを合わせて、場所によっては\2,000-を切る価格で売られているのは、少々複雑な思いはするが、買ってみる動機付けにはなった。
 
 天才少年ヴァイオリニストがソロを務めたヴァイオリン協奏曲はLPでもよく店頭で見たし、NAXOSからも出ているが、これも当然含まれている。LPにはアビー・ロード・スタジオの玄関先でエルガーとの2ショットの写真があしらわれていた。そのスタジオも売却が取り沙汰されたのだから、時代は流れるである。上の曲目にある通り、大作もSP盤として発売されていたとはと驚く。エルガーはレコード産業に理解があったそうだし、また自国の音楽を世界に知らしめたという恩に報いる面もあったのだろうか。ここは丹念に聴いてみたい。エルガーの指揮ぶりの他、彼のピアノも聴ける。

メニューイン少年とエルガー

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 この二人が録音で共演したのは、1932年7月14日及び15日のこと。80年以上も前のことだ。オーケストラはロンドン交響楽団だった。下の写真はアビー・ロード・スタジオの玄関先での有名な写真で、これがLPのジャケットにあしらわれていた記憶する。
 
 エルガーが亡くなったのは1934年のことだから、電気式の録音は可能だった。そして大作も含めて少なからぬ録音が遺されていたのは、愛好家にはありがたいものと思っている。

ストコフスキーのフィラデルフィア・ライヴ(1960年)

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(収録内容)
①ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
②ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」第2幕及び第3幕の愛の音楽(編曲:ストコフスキー)
レオポルド・ストコフスキー指揮 フィラデルフィア管弦楽団
Academy of Music,Philadelphia February 23,1960(Live)
 
 まず、こうした録音があること自体が驚きであり、しかもステレオ収録というのはなお驚きである。個人コレクターの音源らしい。
 
 ストコフスキーが約20年の空白を経て、フィラデルフィア管弦楽団の指揮台に登ったのは1960年で、この年の2月にCBSへセッション録音も果たしている。これは同時期の記録である。CBSへの録音内容とは全く別の曲目というのが注目である。
 
 最初のブラームスの第1番は冒頭から速いテンポで突き進む。電車の快速運転みたいなものだ。軽快が過ぎて重々しさに欠ける傾向にはあるが、これもこの人の解釈であろう。考えてみると、この曲をこの人の指揮で聴くのは初めてである。他の録音や演奏会でこのように速いかは知らない。フィナーレのトロンボーンのコラールはオルガンみたいできれいだ。そう、この人はオルガン奏者でもあったことを思い出した。
 
 もう一つのワーグナーは、「トリスタンとイゾルデ」の愛の場面の音楽を管弦楽だけで演奏するようにスコトフスキー自身がアレンジしたもの。第2幕は主人公二人のデュエットの部分そして最後は定番の「愛の死」の部分から成る。声楽がない分、シンフォニックな響きであるのが特徴。官能的な感じはよく出ていて、やはりオーケストラの魔術師と感心する。
 
 どちらもライヴながら完璧な演奏をするフィラデルフィア管弦楽団の実力に改めて舌を巻くアルバムだと思う。
 
 

フロトー:歌劇「マルタ」(バイエルン国立歌劇場)

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『マルタ』全曲 ヘーガー&バイエルン国立歌劇場、ローテンベルガー、ゲッダ、プライ、ファスベンダー、他(1968 ステレオ)(2CD)
【収録情報】
 レディ・ハリエット:アンネリーゼ・ローテンベルガー(ソプラノ)
 ナンシー:ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 ライオネル:ニコライ・ゲッダ(テノール)
 プランケット:ヘルマン・プライ(バリトン)
 トリスタン・ミルクフォード卿:ディーター・ヴェラー(バリトン)
 リッチモンドの判事:ハンス・ゲオルク・クノウリッヒ(バス)、他
 バイエルン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 ロベルト・ヘーガー(指揮)

 録音時期:1968年3月
 録音場所:ミュンヘン、ビュルガーブロイ
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 
 この歌劇の存在を知ったのは、小学校6年の頃、器楽クラブでその序曲を演奏した時だ。全部というわけでなくところどころカットされたものではあったが、拍子が変化していって、9/8という拍子など小学生にはびっくりするものだったのを覚えている。その最中、NHK-FMでこの歌劇全曲を放送するというので、ラジオのスイッチをひねって聴いたのが、この録音であった。序曲はもちろん、序曲の中の旋律がどんなところに出てくるのかが、わかった。
 
 この録音は日本でもLPで発売されたこともあるし、CDも国内盤があったと思うが、すぐに姿を消してしまった。その代わり、ルチア・ポップがヒロインを歌ったコロムビア盤が今もカタログにはあるかと思う。
 
 さて、この作品は有名な民謡「庭の千草」も挿入されているだけでなく、第1幕の前半に出てくる合唱曲は替え歌で日本でも知られているものだ。「まじめで働き者の娘さん」という曲で、日本では明治の末頃から人口に膾炙していて、「爺さん酔っぱらって酒のんでころんだ」という歌詞で歌われていた。これは1948年の黒澤明監督の映画「酔いどれ天使」で志村喬扮する真田医師が歌っていたものだ。
 
 歌劇の内容は、イギリスはロンドンが舞台で女王の女官のいたずた心が起こす騒動と恋愛の顛末を描く他愛ない喜劇である。しかし、シリアスでない分楽しい舞台にはなっている。雰囲気が「ファルスタッフ」や「ウィンザーの陽気な女房たち」に似ているような感じもする。

アレキサンダー大王(ロバート・ロッセン)(1956)

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 「オール・ザ・キングスメン」や「ハスラー」で有名なロバート・ロッセン監督の歴史劇の大作である。主人公をリチャード・バートンが扮し、父親にフレデリック・マーチ、母親にダニエル・ダリュー。他にクレア・ブリーム、ピーター・カッシング、スタンリー・ベイカーなどが出演している。
 
 世界史の教科書には最初に必ず出てくる人物だが、ここでは淡々とその生涯が描かれているように見える。少し表面的な印象もなくはない。ただ文明の先進をいっていたアテネに対するコンプレックスはよく現れていた。父もまた本人もである。神々しい英雄ではなく、たいへん人間臭い大王であることが、映画の救いになっているように見えた。
 
 ロバート・ロッセン監督がかかる史劇を手がけているとは意外であった。現代の社会を抉った作品を撮ったというのがこの監督の印象だった。監督の資質に合っていないのではないかとふと感じた。

佐村河内守:交響曲第1番「HIROSHIMA」&レクイエム(映像)

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(収録内容)
①交響曲第1番「HIROSHIMA」
 大谷直人指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
 2013年2月25日 東京芸術劇場でのライヴ
②ピアノとためのレクイエム
 田部京子(ピアノ)
 2013年5月10日 上野学園・石橋メモリアルホール
 
 先に同じ指揮者で演奏が東京交響楽団による録音のCDが発売されている。これが出荷数で累計17万枚を記録して、先日日本経済新聞の文化欄にも取り上げられていた。これは2月に行われた日本フィルの演奏会の模様を映像にしたもので、末尾にピアノのためのレクイエムが付いているのがポイント。
 
 作曲の佐村河内氏については上記のCDが出るまで、全く知らなかった。ただゲームソフトの音楽や映画音楽を手掛けていたというから、その方面では知る人が少なからずいたのだろう。日経の記事にも書かれていたし、この映像のテロップにも書かれていたが、氏は前衛的な現代音楽を嫌い、音楽大学にも行っていない。独学で作曲を修めている。響きは至極保守的でロマン派後期の規模の大きい音楽という感じだ。3管編成でホルンは8本も使っているのが、映像からはわかる。マーラーあたりの編成に近い。
 
 結局、現代音楽とは何かということだ。前衛的で雲をつかむようなトーンクラスターの連続や不協和音の羅列では聴く者の意欲を削ぐことが多い。氏の音楽はその対極にある。かつては現代作曲家も映画音楽を手掛けて大衆に親しみのある音楽を提供してきた。伊福部昭、芥川也寸志、團伊玖磨、黛敏郎等々。しかし、今は分業化が進み、高踏的なものしか書かない人もいるという。この交響曲がコンクールの予選が却下されたというのはどういうことか。審査員の耳は節穴か、それを問われている。
 
 終演後、舞台に上がった氏は杖をつきながらの歩行で痛々しいが、演奏してくれて感謝しているといった風が感じ取れる。演奏会に取り上げられること自体がたいへんなことである。
 
 付録のピアノ曲は東日本大震災関連の曲だという。犠牲者を弔うという意味合いもあるようだ。交響曲とは違いたいへん静謐な音楽だが、保守的な曲想は変らない。
 
 氏は聴覚を失う前に数曲の交響曲があったというが、それらを全て破棄したという。聴覚を失った時点を再出発として新たに書いたのがこの「HIROSHIMA」だ。第1番とあるのは第2番も書くという意志の表明でもあろう。

日本の被爆慰霊祭を独善的でうんざりと斬り捨てたイスラエル高官

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 正面切ってこういうことを表明した外国の高官の話。
 
 もちろん、このようなことは日本が容認できるものではないが、少し冷静に考えてみると、表明したシーマン氏と同様の考えを持っている者は海外にたくさんいるような気もする。何が「独善的でうんざり」なのだろうか。その後、「侵略した報い」とあるのは、「被害者面ばかりすんじゃない」という反感を持っているように思う。
 
 戦争はかつて戦場での軍隊同士の戦いだったが、第一次大戦からは国同士のあらゆる分野の総合戦に変っていった。経済力や銃後の市民の姿勢など全てだ。したがって、女子供も軍需工場に動員されて兵器製造に携われば、敵はそれをも叩く。その家族もそれを支えているということになる。ドイツを爆撃する際に空襲するパイロットがそのようなことを語っていたのをニュース映画でも観たことがある。
 
 広島や長崎の市民に対する原爆投下は玉音放送で言う「新たなる残虐なる兵器」による攻撃だ。ここはまず間違いがない。しかし、日本も中国の諸都市に無差別爆撃は行っている。ドイツもロンドン空襲があるし、イギリスやアメリカはベルリン、ドレスデン、ハンブルクそれに東京、大阪などを空襲して、非戦闘員を殺傷している。
 
 侵略の報いというのは、部分的にあるにしても、それが全ての理由ではない。投下した方のアメリカは冷徹な戦略の下に実行しているのに違いない。また、この原爆は他の爆弾と異なって、戦争が終結しても延々とその影響が尾を引くという点だ。このイスラエルの高官も含めて中東あたりの人たちは爆弾のスケールの大きいものとしか認識がないのではなかろうか。

バーンスタインの1953年アメリカ・デッカ録音集

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(収録曲)
①ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」   1953.6.22
②シューマン:交響曲第2番ハ長調作品61            1953.6.24/26
③ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98            1953.6.29
④ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界から」 1953.7.28
⑤チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」    1953.6.29/30
いずれもカーネギー・ホールでのセッション録音
レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・スタジアム交響楽団(=ニューヨーク・フィル)
 
 有名な交響曲ばかり5つも並ぶ重たい内容ながら、若々しい演奏を展開、いくぶん速めのテンポで颯爽とやっているので、爽やかな感じがした。
 
 アメリカ・デッカは以前は日本同様に「London」という名称だったように記憶している。商標権の関係で既に「DECCA」は他にあって使えなかったということらしい。その後「MCA」となったりして、今は映画で有名なユニヴァーサルの傘下ではなかろうか。
 
 一方演奏している楽団だが、これはニューヨーク・フィルが専属の関係で本名称を名乗れなかったためのものだという。他にもエヴェレスト・レーベルでストコフスキーなどとこの名称で登場している。したがって、実態不明のオケではなく、ちゃんと技量のある団体で、この速めのテンポでも難なくこなしている。
 
 バーンスタインは4年後NYPの音楽監督となり、大ブレイクするわけだが、これはその直前の貴重な記録であると思う。
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