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M.ギーレン&BPOによるマーラー:第7番「夜の歌」

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【曲目】
マーラー: 交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
【演奏】
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ミヒャエル・ギーレン(指揮)
【録音】
1994年9月21日 フィルハーモニー・ザール、ベルリン [ベルリン芸術週間ライヴ]
 
 タワー・レコードの独自企画の一つ。世界先行発売でかつ初リリースという。本来はクラウス・テンシュテットが指揮する予定だったが、急病のために代役としてギーレンが登場したもの。演奏に対しては賛否両論があったという。
 
 カラヤンが亡くなって5年経過した当時のBPOで、まだその痕跡が十分に残っていたと言われる時代である。しかし、このオーケストラはマーラーの演奏にそう慣れている訳ではない。カラヤンも晩年にいくつか取り上げてはいるが、バーンスタインが第9番を振りに客演した時は、不慣れであったために分奏を要求したとか聞いている。
 
 さて、ギーレンによる指揮のこの第7番だが、たいへんゆっくりしたテンポで始まり、そのテンポが好悪の分かれるところかなとも思った。また金管などが時折音を外しているのも聴き取れる。まあこれなどはよくあることだが、BPOのメンバーがこの曲に共感していたのかな、と素朴に思った。
 

ヴェルディ:歌劇「マクベス」(パルマ・レージョ)

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レオ・ヌッチ(Br マクベス)
シルヴィー・ヴァレル(S マクベス夫人)
エンリーコ・イオーリ(Bs バンコ)
ロベルト・イウリアーノ(T マクドゥフ)
ニコラ・パスコーリ(T マルコム)
エンリーコ・トゥルコ(Bs 医師)
ティツィアーナ・トラモンティ(Ms マクベス夫人の侍女)
ダヴィデ・ロンツォーニ(Bs 使者)
リッカルド・ディ・ステーファノ(Bs 従者)
ノリス・ボルゴジェッリ(Bs 刺客)
ブルーノ・バルトレッティ(指)
パルマ・レージョ劇場管弦楽団、合唱団 ローマ・カンパーニャ・バレエ団
リリアーナ・カヴァーニ(演出) ダンテ・フェレッティ(舞台)
アルベルト・ヴェルソ(衣装) セルジョ・ロッシ(照明)
アメーデオ・アモーディオ(振付)

収録: 2006年10月6、8、11、13、15、17日、パルマ
 
 今年はヴェルディの生誕200周年でその一環でリリースされた映像ソフト。輸入盤ながら、日本語字幕があるのはありがたい。
 
 話はシェークスピアの同名戯曲である。オペラでは殺されるダンカン王は黙役で早々に殺されてしまう。今回は何故か冒頭はロンドンあたりの空襲警報らしきものが鳴り、嫌な予感はあったが、本筋の芝居の方は現代化はされていない。METだったか、南米あたりのクーデター劇にしてしまったのを観たことはあるが、まずは安心した。その代わり舞台上に1940年代の風俗をした男女の見物人がいる。シェークスピア劇場ということであろうか。
 
 タイトルロールには今では大御所的存在のレオ・ヌッチが扮している。艶のある声と苦悶に満ちた表情は、この人ならではではなかろうか。お恥ずかしいことながら、彼以外の歌手は未知の人たちだ。指揮者はこれまたベテランのバルトレッティ。安心して鑑賞できる。

カルロス・クライバーの初期録音

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オッフェンバック:
[CD1]
(1) 喜歌劇「魔法の横笛」
ムシュー: カール・ディークマン(Ten)
マダム: ガブリエル・トレスコフ(Sop)
女中: エヴァ・カスパー(Sop)
兵士: アルフォンス・ホルテ(Ten)

(2) 喜歌劇「ランタン灯りでの結婚式」
ピエール: アルフォンス・ホルテ(Ten)
ドニ: エヴァ・カスパー(Sop)
ファンシェット: ディータ・ゾンマー(Sop)
カトリーヌ: エリカ・ヴィエン(Ms)

[CD2]
喜歌劇「チュリパタン島」
カカトワ22 世: ザンダース・シアー(Br)
アレクシー: エヴァ・カスパー(Sop)
ロンボイダール: フリッツ・オレンドルフ(Br)
テオドリーヌ: アンニ・ケルナー(Ms)
エルモーザアルフォンス・ホルテ(Ten)

カルロス・クライバー(指揮)
デュッセルドルフ・ライン・ドイツ歌劇場管弦楽団

【録音】
1962年12月1日 デュッセルドルフ・ライン・ドイツ歌劇場 (ライヴ)
(発売元コメント)
 
クライバー・ファン狂喜。奇跡!謎の音源の完全版&未知音源の出現。
幻のデュッセルドルフ時代の演奏がついに日の目を見る

★これは驚愕のリリース。クライバーの音源のうち、存在は知られながら入手不可能だったオッフェンバックのオペレッタが、ついに日の目を見ました。1962年12月1日にデュッセルドルフ・ライン・ドイツ歌劇場で行われた公演のライヴで、「魔法の横笛」「ランタン灯りでの結婚式」「チュリパタン島」。
★「魔法の横笛」と「ランタン灯りでの結婚式」は2001年にゴールデン・メロドラムからCDリリースされたことがありますが、後者の冒頭数小節が欠けていました。また、「チュリパタン島」は録音に失敗したゆえ収録されていませんでしたが、何とすべてが完全な形で残っていました。
★アレクサンダー・ヴェルナーの解説によると、コンサートは1963年7月14日にテレビ放送されますが、1980年代初頭に素材が廃棄されたため、オリジナル・マスターは失われたとされていました。しかし2人の音楽愛好家が放送をエアチェックしており、うち1つがゴールデン・メロドラムの音源となりますが、2曲目以降テープレコーダーの不調で上述のような結果となっていました。今回、もうひとりの愛好家を探し出したところ、存在しないと思われた「チュリパタン島」を含む唯一の完全な音源が残っていました。両素材を注意深く検討し、良い所どりの編集を施した音源が復元されました。
★デュッセルドルフ時代のクライバーの記録は極めて貴重なうえ、同オペラのデビュー初日といういとも貴き逸品です。非常な活気と霊感あふれた演奏と、すでにクライバーならではの個性全開で、最初の音からクライバー・ワールドへ引き込まれます。「シャンゼリゼのモーツァルト」と称されたオッフェンバックの機知と流麗さはまさにクライバー向き。広く知られたレパートリーでないものの、クライバーの演奏で聴くと音楽的魅力と水準の高さに感動します。
★「ランタン灯りでの結婚式」は1857年の作。フランスの農村を舞台に、イケメンの農夫をめぐる二人の未亡人が滑稽に描かれます。「チュリパタン島」は1868年の作。痰壺発明前476年(?)の架空の国を舞台に、女の男性化、男の女性化を風刺的に描いた斬新な作品。いずれも当時大ヒットしたのがうなずける魅力にあふれています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料
 
 カルロス・クライバーはその限られたレパートリーを磨き上げるというイメージが強いが、最初からそういうわけではなかった。当初はオペレッタから始めたとは聞いていたが、その頃のものが録音として存在していたというのが、まず驚きである。
 
 その存在はマニアの間ではかなり知られていたようだが、このCDアルバムの出現で私は初めて知った。ライヴ録音で音質はあまり期待できないと思っていたら、意外や聴きやすい状態であった。ただし3曲目の「チュリバタン島」は多少音の揺らぎがあって、他の2つよりも劣化している。
 
 こういうものは舞台そのものをみないと楽しくない。観客も結構笑っていて、映像があったらなとないものなだりをしたくなる。音楽もそんな難しそうな感じではない。これがこのオペラ劇場デビュー初日ということで必死に指揮をしたのではなかろうかと想像している。
 
 1日の内に3つのオペレッタをやったことになっているが、一つが1幕もので、30分前後という極めて短い演目ばかりである。歌手も2つを掛け持ちしている人もいる。多分オリジナルはフランス語であろうが、ここではドイツ語による上演であった。

山田一雄のオリジナル吹奏楽曲集

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【収録曲】
CD1
J.A.コーディル:吹奏楽のための民話
J.オリヴァドーティ:序曲「ポンセ・デ・レオン」
H.ワルターズ:序曲「西部の人々」
C.カーター:序奏とカプリス
J.モリセイ:皇帝への頌歌
C.E.ハレル:黄金の像
J.エドモンドソン:荘厳な序曲
H.ワルターズ:ジャマイカ民謡組曲
J.オリヴァドーティ:序曲「イシターの凱旋」
H.ワルターズ:リートニア序曲
R.ティルマン:チェルシー組曲
C.ジョバンニーニ:コラールとカプリチオ
C.カーター:ラプソディック・エピソード(狂詩的挿話)
CD2
N.ピッチンニ(E.オスターリング編曲):「良い娘」序曲
H.ワルターズ:フーテナニー
J.オリヴァドーティ:序曲「バラの謝肉祭」
A.リード:音楽祭のプレリュード
C.フランカイザー:ヒッコリーの丘
F.エリクソン:吹奏楽のためのトッカータ
J.モリセイ:組曲「百年祭」
C.ジョバンニーニ:序曲 変ロ長調
W.シューマン:吹奏楽のための序曲「チェスター」

【演奏】
山田一雄(指揮)、東京吹奏楽団
【録音】
1978年
(発売元コメント)
 70年代、オリジナル吹奏楽集として発売された、なつかしき吹奏楽曲の数々。
 1960年代~70年代に吹奏楽のコンクールやコンサートなどで取り上げられたオリジナル吹奏楽作品の人気曲がずらりと並んだ2枚組。全日本吹奏楽コンクールの課題曲にも選ばれたA.リードの「音楽祭のプレリュード」をはじめ、60~70年代の吹奏楽人気曲を山田一雄が録音したファン必聴のアルバムです。東京吹奏楽団は1963年発足の日本初プロ吹奏楽団で、山田一雄は第4回と第15回の2回、定期演奏会に客演しました。
発売・販売元 提供資料(2011/01/06)
 
 山田一雄がこのような録音をしていたとは、知らなかった。全くの不明である。そして、全部ではないにしても中学生のころから、吹奏楽に関与していた人たちには懐かしい作品がいくつかあるのではないか。
 
 東京吹奏楽団は、今では東京佼成ウィンド・オーケストラとかシェイナ・ウィンド・オーケストラの影に隠れてしまったような感じはするが、今でも健在なようである。プロの演奏で聴くとこういう音楽だったのだということを改めて気付かされるアルバムではある。模範演奏ではなく鑑賞用として聴きたい。

ヴェルディ:歌劇「十字軍のロンバルディア人」(スカラ座)

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 映像の最後に1984という数字が出てくるので、1984年の公演のようである。もう何十年も前の映像だから、画質は必ずしも最上ではない。しかし、この映像はイタリア・オペラの重鎮だったジャナンドレア・カヴァッツェーニがスカラ座のアンサンブルの指揮をしているところがたいへん貴重だ。歌手ではオロンテ役のホセ・カレーラスが扮している。
 
 「ナブッコ」の成功を受けて作られたものというが、残念ながらあまり上演される機会はないのではなかろうか。殊に日本では今一つ知られていないヴェルディの作品ではなかろうか。しかし、初期のヴェルディならでは音楽の推進力はあるあし、宗教的内容ながら、話の展開もスペクタクルで面白い。生誕200周年を期に見直されるのではなかろうか。

Mengelberg /Dutch Composers

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Works: Mengelberg / Concertgebouw.o
(収録内容)
①ペイペル:チェロ協奏曲(1936)  マリックス・レーヴェンゾーン(チェロ)
②メンゲルベルク:オランダ国歌による序奏
③ヴァレリウス:オランダの古い賛美歌(編曲:ワーヘナール)
④ドッペル:ゴシック風シャコンヌ
⑤レントゲン:古いオランダ舞曲から
⑥アンドリーセン:愛こそ至高なり    ジョー・ヴェンセント(ソプラノ)
⑦ルドルフ・メンゲルベルク:聖母賛歌 ジョー・ヴェンセント(ソプラノ)
⑧ワーヘナール:「シラノ・ド・ベルク」序曲
⑨ルドルフ・メンゲルベルク(編):オランダ国歌
ヴェイレム・メンガルベルク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
②ニューヨーク・フィルハーモニック
 
 メンゲルベルクが自国の作曲家を取り上げた記録である。タイトルや人名はオランダ語で記されているので、どのように発音し、何と訳したら良いのかわからないものも多い。いろいろ調べて一応、上述のように記したが、自信はない。怪しげなものである。
 
 さて、この巨匠は自国の作曲家も大切にしていたというが、その証拠みたいなアルバムではある。中には自作も含まれていたりする。これは1924年の録音でこれだけはNYPの演奏。まだ電気吹込以前のものだが、その割には聴きやすい音ではあった。また①の協奏曲は後に改訂されているらしいが、初版の状態で聴ける貴重な音源らしい。ソリストはACOの首席でこれが退団直前のものという。おまけとしてメンゲルベルクの別れの挨拶が入っている。彼の肉声が聴けるとは驚いた。想像よりも甲高い声であった。歌うと美声だったという。
 
 今では滅多に聴けないものばかりであり、古いからどうかと思ったが、ちょっと収穫ではあった。

サンミュージック相沢会長

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 蓋棺録というコーナーがある週刊誌にあったけれども、人の評価は亡くなってから初めて定まるものだと、改めてこのニュースで思った。かつて世話をしたタレントや元タレントたちが集って故人を偲ぶというのは、将にこの方の人徳であったと思う。
 
 

メンゲルベルクによるオランダの交響曲・管弦楽曲

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①フォールモーレン:シンフォニア
②ドッペル:交響曲第7番「ゾイデル海」
③ドッペル:ゴシック風シャコンヌ
ヴィレム・メンゲルベルク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
 
 これもお国もののアルバム。作曲家の名前は調べた結果、上のようには書いたものの、自信はない。
 
 40年代の録音でスクラッチノイズなどがあって、やや鑑賞には厳しい条件があるが、これらの曲はこうしたオランダの指揮者などでないと聴けないものである。二人ともACOの自主制作のBOXで見かけたような気はするが、他ではお目にかかれない。
 
 音楽自体はあまりインパクトがないように思えた。それだから、あまり普及しなかったのかもしれない。

鉄道会社の経営努力

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 鉄道経営もずいぶんと変わった。かつては乗せてやるという感じで、ふんぞり返る駅員なんかが多かった。文句を言うと一喝して睨み返す者もいた。東京なんかでは高圧的な態度に不愉快な思いもしたことがある。そういう駅員たちは再教育されたか、淘汰されたのであろう。
 
 また車輌も乗り心地よりも数をこなすという感じではあった。全国どこへ行っても同じような車輌だったのが、今はどうか。いろいろと工夫されている。この記事のように車輌をリニューアルして客が増えたというのは将に経営努力の賜物であろう。
 
 何でも民営化すれば良いわけではないが、国鉄時代よりは遥かに改善されたのは、接客や諸所の工夫であろうと思う。

ゴジラづくしの写真展

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 「ゴジラ」が公開されたのは1954年の11月。来年で還暦を迎える。それに先立つ岐阜での企画のようである。関わったスティルカメラマンの遺品が中心になっているようだ。
 
 「ゴジラ」の第1作はモノクロスタンダードのクラシックな映画ではある。そこに映し出される風俗は50年代そのものだし、まだ戦争の記憶も生々しいことが見てとれた。電車内の男女の会話で「また集団疎開なんて嫌」という女性の発言は実感があった。
 
 最初は人類の敵だったのが、いつの間にか味方になったり、流行を取り入れたりと作品の推移を振りかえるのも一興だと思う。

ベルリオーズ:レクイエム by Sir Colin Davis

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(演奏)
サー・コリン・デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団・合唱団 ロンドン・フィルハーモニー合唱団
バリー・バンクス(テノール)
録音時期:2012年6月25,26日
録音場所:ロンドン、セント・ポール大聖堂
録音方式:ステレオ(DSD/ライヴ)
SACD Hybrid
 
 つい先ごろ亡くなったコリン・デイヴィスによるベルリオーズのレクイエム。LSOとはフィリップスにも入れていて、そいちらも手許にはある。しかし、これは昨年の録音でライヴということで興味を持った。
 
 発注した時はまだ訃報が届く前であった。商品が届く前にそれが伝わり驚いたものだった。いろいろ事情があって封を切るのが延び延びになって、最近聴いた。追悼の意味合いになってしまうとは夢にも思わなかった。ベルリオーズを得意として、自他ともに認めるベルリオーズのエキスパートであった。
 
 聴いてみて、こういう大掛かりな編成で大仰なイメージを持つ作品のはずが、何か悟ったような清純なものに聴こえるのは気のせいか。それともサー・コリン・デイヴィスの境地なのか。私は後者であると信じている。
 

雪崩(東映東京1956年)

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雪崩
 
 山本薩夫監督が東宝争議後、メジャーの会社で撮ったのは「こんな女に誰がした」(1949年)以来のことである。一貫して独立プロの苦しい資金繰りで映画製作をしていたが、これは珍しく東映で撮った作品である。
 
 世評、山本作品としては失敗作の部類との烙印が押されたものだが、実際は如何に、である。主人公の医師は地主階級で理想を胸に、農地解放にいち早く取り組もうとする。しかし、反社会的と見なされ応召されてしまう。そのはけ口を女中に求めて妊娠させてしまう。戦後、娼婦になったその女と再会。世の中は基地招致で町が二分されていることを背景に、その女は主人公の元を去って行く。
 
 あらすじはこんな感じだが、やはり何とも中途半端な作劇になってしまい、世評通りではあった。独立プロ作品同様の生硬さもある。敵役が類型的であるし、さらに主人公の煮え切らない態度も共感しにくい。一方で民生風の青年たちもとって付けたような感じである。
 
 米軍基地設置に反対するというメッセージだけが言いたかったことなのか。それもやはりとって付けたような感じではある。ただ、山本監督は北海道を舞台にした映画をよく撮っているなと思った。戦前の「田園交響楽」や「リボンを結ぶ夫人」そして本作があって、10年後には「氷点」がある。似たような風景が出てくる。

ブリテン:歌劇「ヴェニスに死す」(フェニーチェ劇場)(2008年)

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『ヴェニスに死す』全曲 ピッツィ演出、バルトレッティ&フェニーチェ歌劇場、ミラー、S.ヘンドリックス、他(2008 ステレオ)
【収録情報】
・ブリテン:歌劇『ヴェニスに死す』全曲

 グスタフ・フォン・アッシェンバッハ:マーリン・ミラー(テノール)
 旅人、ほか:スコット・ヘンドリックス(バリトン)
 タジオ:アレクサンドル・リガ
 ヤシュウ:ダニロ・パルミレリ
 苺売り、新聞売り:サブリナ・ヴィアネッロ(ソプラノ)
 物乞い女:ジュリー・メロー(メゾ・ソプラノ)
 荷物運び/ガラス造り:マルコ・ヴォレリ(バリトン)
 
ブルーノ・バルトレッティ指揮 ヴェネツィア・フェニーチェ歌劇場管弦楽団・合唱団
 
演出・装置・衣装:ピエール・ルイージ・ピッツィ 振付:ゲオルゲ・イアンク

収録時期:2008年6月
収録場所:ヴェネツィア、フェニーチェ歌劇場(ライヴ)
 
(発売元コメント)
 生誕100年を記念して、ブリテンの傑作『ヴェニスに死す』をブルーレイで。このトーマス・マン原作の『ヴェニスに死す』は、どうしても映画の強烈なイメージに支配されがちですが、このブリテンのオペラは、また違った視点からこの作品を俯瞰しています。深い知識と儚い美、無邪気さと罪悪感。これらを対照的に扱うことで、老いに差し掛かった小説家の切ない心境を描き出そうと試みられ、若き美の象徴であるタジオは、歌ではなく踊りのみで表現されます。
 この演奏は物語の舞台であるヴェニス、フェニーチェ劇場で収録されたもので、アッシェンバッハが「夢を抱いてやってきた」風光明媚な街は、わざと頽廃的で暗い街に変更され、妖しく怠惰な人々ばかりが現れます。ブリテンは多くの出演者を用いることはせず、主役のアッシェンバッハと、タジオ以外は、ほとんどの役を一人のバリトンに背負わせたのです。
 ここでアッシェンバッハを歌うのはアメリカのテノール、マーリン・ミラー。ブリテンを得意とする彼らしく、イメージ通りの歌唱が光っています。そしてバリトンは、こちらもアメリカのスコット・ヘンドリックス。まさに七変化と言える多彩な歌を聴かせます。タジオ役のリガのセクシーな肉体もたまりません。指揮は収録当時82歳のバルトレッティ。すっきりと纏めた音楽の中に一振りの腐臭が漂います。(DYNAMIC)
 この原作は読んだこともあるし、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画作品も何回か観ている。映画では、マンがモデルとした主人公を本来の作曲家マーラーのような人物にしている。しかし、ブリテンは流石にそうせず、創作に行き詰まった小説家ということにしている。
 
 映画でもコミュニケーションが取るのが難しそうなポーランド貴族の一家の人物は台詞はなかったが、オペラではバレエダンサーがやるようになっている。
 
 さて、音楽は音響的な扱いのようで、打楽器のソロがやたら目立つ。アジアのガムランのような断片も聴こえる。オーケストラの編成は小規模なようだ。管楽器はテューバ1本以外は2本ずつ(トロンボーンも)であり、弦楽器の人数も少ないようだ。ピットには合唱団も入っているのには驚いた。メロディが滔々と流れることを期待すると肩透かしを喰らう。

ワーグナー:楽劇「ジークフリート」(MET新プロダクション2011年)

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【収録情報】
・ワーグナー:『ジークフリート』全曲

 ジェイ・ハンター・モリス(ジークフリート)
 デボラ・ヴォイト(ブリュンヒルデ)
 ブリン・ターフェル(さすらい人)
 ゲルハルト・ジーゲル(ミーメ)
 エリック・オーウェン(アルベリヒ)
 ハンス=ペーター・ケーニッヒ(ファフナー)
 モイツァ・エルトマン(森の小鳥)
 パトリシア・バードン(エルダ)
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団
 ファビオ・ルイージ(指揮)

 演出:ロベール・ルパージュ

 収録時期:2011年11月5日
 収録場所:ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場
 収録方式:HD(ライヴ)

 画面:カラー、16:9 High Definition
 音声:PCM、DTS-HD Master Audio 5.1
 字幕:独・英・仏・西・中
 Region All
 
 ロベール・ルパージュによる新しいプロダクションの第3作「ジークフリート」。今回からフィビオ・ルイージに指揮は交代している。逆にジェイムズ・レヴァインは体調が思わしくないのかと心配してしまう。前回の「ワルキューレ」ではそうとうしんどそうな印象ではあった。
 
 さて、現代化したりする読み替えがない分、安心して鑑賞できる。音楽における歌唱も演奏も申し分ない。今回見てみると解りやすさを優先にしているようなところもある。まず、冒頭にミーメが生まれたばかりのジークフリートを連れて帰る所作が前奏曲演奏の最中に出てくる。瀕死の母親から取り上げる所作が入る。また、ジークフリートが鳥の言葉を聴く時に、例の巨大装置がスクリーンになって、そこへ鳥が何か囁いている姿が声に合わせてアニメーションで表現される。
 
 説明的だという批判もあるだろうが、台詞だけの表現ではなく、視覚的に表現する試みは賛意を表したい。

クリュイタンスによる「パルジファル」(スカラ座・1960年)

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【収録情報】
・ワーグナー:『パルジファル』全曲

 シャーンドル・コーンヤ(パルジファル:テノール)
 リタ・ゴール(クンドリー:ソプラノ)
 ボリス・クリストフ(グルネマンツ:バス)
 グスタフ・ナイトリンガー(アンフォルタス:バリトン)
 ゲオルク・シュテルン(クリングゾル:バス)
 シルヴィオ・マイオニカ(ティトゥレル:バス)
 モンセラート・カバリエ(花園の乙女:ソプラノ)、他
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
 アンドレ・クリュイタンス(指揮)


 録音時期:1960年5月2日
 録音場所:ミラノ、スカラ座
 録音方式:モノラル(ライヴ)
 
 いろいろと店舗内を探してみると思わぬものにでくわす。これもそんな一つ。クリュイタンスがスカラ座に客演して、ワーグナーの「パルジファル」を指揮した実況録音が存在していたとは。
 
 この指揮者はフランス音楽やロシア音楽は有名だったが、ドイツ音楽も得意にしていて、ベートーヴェンの交響曲全集なんかはステレオ初期の代表格だった。また、バイロイトにも出向きワーグナーを指揮していたのも文献的には知っていた。彼のワーグナーの一端を聴けるのはありがたい。
 
 これはどうもイタリアの放送局が実況したものが残存していたようである。幕の始めと終わりに女性アナウンサーの声が入る。イタリア語なのでよく理解できないが、出演者を読みあげているようだ。NHKなんかがラジオでオペラ中継した時に入るアナウンスみたいなものだろう。
 
 モノラルながら、鑑賞には問題ない。時折、テープ劣化による音の歪みはあるが、飛んだりするこはない。指揮者もオケもラテン系というのが面白いが、明晰なワーグナーという感じではある。ドロドロしたところがあまりない。2年後の有名なクナッパーツブッシュによるバイロイトのライヴは鉛を抱えたように重い感じがするが、こちらはスカッとした演奏だ。

第2回ブラック企業大賞

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 社会的に問題のある企業8社がノミネートされて投票募って公表するもの。今年で2回目。中には連続でノミネートされているところもあるし、受験生に関連するところや、国立大学しかも旧・帝大もあがっているのには驚いた。
 
 一番独走しているのは、社長がよく公の場に登場する有名な人で選挙出馬も噂されている。しかし、こんな指摘を受けるのは相当恨まれているのだなと思った。やや見せしめ的なところはあるが、要はその会社や学校が改めてくれるのが一番である。
 

MTTによるチャイコフスキー

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【収録曲】
チャイコフスキー:
DISC1
1. マンフレッド交響曲作品58
2. 組曲第4番ト長調作品61「モーツァルティアーナ」
DISC2
3. 組曲第2番ハ長調作品53
4. 組曲第3番ト長調作品55

【演奏】
ロンドン交響楽団(1)
フィルハーモニア管弦楽団(2,3)
ロサンゼルス・フィルハーモニック(4)
指揮:マイケル・ティルソン・トーマス

【録音】
1979年6月(1)、1980年(2,3)、ロンドン、EMIスタジオ1、1978年、ロサンゼルス(4)
 
 通販サイトを覗くと、在庫わずかの表示があり、内容を見たら興味が湧いたので、取り寄せてみた。マイケル・ティルソン・トーマスという指揮者はチャイコフスキーに対して思い入れがあるようなことが解説には書かれていた。しかも、有名な後期3大交響曲にはあまり目をくれず、第1番とか、このマンフレッド交響曲を録音している。バレエ音楽も組曲ではなく、全曲版の録音をしている。割と有名曲から距離を置いたものを取り上げているのは、そういう曲も十分に魅力があることをアピールしようとしたのかもしれない。
 
 さて、マンフレッド交響曲は割と長い曲で演奏を下手にしてしまうと冗漫な印象を与えかねない曲だと思っている。トスカニーニなどは自分流に削除を施し短縮した形で演奏している。ここでの演奏はやや線が細いような感じはある。殊に最後の第4楽章はもっと鳴らして欲しいようにも思うが、どうだろうか。
 
 マンフレッド交響曲はLPが日本で発売されたが、CDは初、他はすべて今回国内市場には初登場の録音だそうである。

ヴェルディ:歌劇「ルイーザ・ミラー」(バルマ)

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【収録情報】
・ヴェルディ:歌劇『ルイーザ・ミラー』全曲

 フィオレンツァ・チェドリンス(S ルイーザ)
 マルセロ・アルバレス(T ロドルフォ)
 レオ・ヌッチ(Br ミラー)
 ジョルジョ・スルヤン(Bs ワルテル伯爵)
 フランチェスカ・フランチ(Ms フェデリーカ)
 ラファル・シヴェク(Bs ヴルム)
 カテリーナ・ニコリック(Ms ラウラ)
 アンジェロ・ヴィッラーリ(T 農夫)
 パルマ・レッジョ劇場管弦楽団&合唱団
 ドナート・レンゼッティ(指揮)

 演出、装置、衣装、照明:デニス・クリーフ

 収録時期:2007年10月20,22日
 収録場所:パルマ(ライヴ)
 ヴェルディのオペラでもそう舞台にかかる頻度は高くないようである。話はドイツが舞台でシラーの原作。身分違いの恋愛が引き起こす悲劇である。見ていると、ルドルフォという青年がいささか軽薄でかつ直情径行なところがあって、悲劇の根源であるように思えてくる。悪役の伯爵やその執事の方が生き生きしているような芝居ではある。
 
 この公演はチェドリンスやヌッチなどが出演した豪華な配役とレンゼッティの着実な指揮ぶりで大いに満足できる舞台かと思う。しかも日本語字幕がついているのが嬉しい。ただ、やや時代が下ったような服装をしているのが、私には少し残念だった。

シルヴァーノ・ブソッティ(b.1931)

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【収録曲】
ブソッティ:
[CD1]
1. ベルククリスタル (水晶)
2. ロレンザッチョ交響曲
[CD2]
3. ラーラ・レクイエム

【演奏】
[CD1]
北ドイツ放送交響楽団
ジュゼッペ・シノーポリ (指揮)

[CD2]
デリア・サラート (ソプラノ)、キャロル・プランタムーラ (メッゾ・ソプラノ)、
ジュゼッペ・バラーティ (テノール)、クラウディオ・デズデーリ (バリトン)
ザールブリュッケン音楽院合唱団、シュトゥットガルト・スコラ・カントルム合唱団員
ザールブリュッケン放送交響楽団
ジャンピエロ・タヴェルナ (指揮)

【録音】
1977年12月 ハンブルク(1,2)、1971年5月 ザールブリュッケン(3)
 
 シノーポリが初めてDGに入れた録音ということで、某通販に出ていた。ブゾッティというイタリアの作曲家はこの度初めて知る作曲家で、中味はバリバリの現代曲である。武満徹ほど透明感はないが、トーンクラスター的な音や不協和音など多用している。
 
 難解に思ったのは、2枚目の収録されている「ラーラ・レクイエム」の方だ。ソロ、声楽アンサンブル、ギター、チェロ、管楽合奏、ピアノ、ハープと打楽器のためのということが書いてある。管楽合奏といっても吹奏楽ではなく、オーケストラの管セクションのようである。オーケストラはヴァイオリン、ヴィオラそれにコントラバスを欠いた編成で、どうもチェロもソロでの参加のようである。したがって、変ったソノリティが聴こえる。
 
 上の写真でシノーポリノの背後に写っている人物こそが、作曲家ご本人である。

朝ドラのモデルに老舗料亭の廃業

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 NHKの朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」のモデルになった料亭が廃業することになったという。接待などの自粛といった客側の費用節減のあおりもさることながら、相続税が負担にもなったという。
 
 NHKのドラマからして、外資のファンドが登場して、経営を代わろうとするエピソードが出てくる。経営危機を乗り切る話でもあった。朝から少々厳しい内容ではあったが、次どうなるのかという興味で見られていたのだろう。登場する経営陣たちにエールを送った人も多かったかもしれない。
 
 しかし、実際は厳しいということを改めて感じさせられたニュースである。時代の波に呑まれてゆく姿は新しく何かをやらないとだめだということを示しているかもしれない。老舗で今も隆々としているところは、たえず脱皮して新しくなっていゆくところが多い。
 
 建物は解体されて、アパートが建つという。地元の人たちには寂しいニュースかもしれない。
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