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サヴァリッシュによるシューマン:交響曲全集

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シューマン:交響曲全集
(収録内容)
シューマン
DISC1
①交響曲第1番変ロ長調 作品38「春」
②交響曲第4番ニ短調 作品120
DICS2
①交響曲第2番ハ長調 作品61
②序曲、スケルツォとフィナーレ作品52
DISC3
①交響曲第3番変ホ長調 作品97「ライン」
②劇付随音楽「マンフレッド」序曲
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ドレスデン国立管弦楽団
September 1-12,1972 Lukaskirche, Dresden
 
 先日亡くなったサヴァリッシュによるシューマンの4つの交響曲を収めたもの。シューマン所縁のドレスデンのオーケストラを使ってのもので、この指揮者の代表的録音されるものである。これも修復されSACDになって発売されているが、ハイブリット盤のBOX少し廉価になって、通販に出ていたので買ってみた。
 
 この作曲家の交響曲全集(分売を集めたものを含めて)は、ポール・パレー、ジョージ・セル、フランツ・コンヴィチュニー、ラファエル・クーベリック(CBS)、レナード・バーンスタイン(DG)、ジェームズ・レヴァイン、リッカルド・シャイー(マーラー編曲版)と自分でも呆れるくらい多くなっていた。その上、これとなると屋上に屋を架すようで、ずっと放置していた。その後、他の方々の批評を眼にするつれて、気になりだしたのであった。
 
 この演奏はSACDになったもので初めて接する。従来から再発売が繰り返されてきた通常CDは未聴なので比較云々はできない。聴いた限りにおいては、音の幅があって上述のいろいろな指揮者のものと比べて通りが良いように聴こえる。何でもLP時代からかなり高い評価を受けていたとのことである。
 
 

スカラ座の「魔笛」

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『魔笛』全曲 ケントリッジ演出、R.ベーア&スカラ座、シャギムラトヴァ、エスポージト、他(2011 ステレオ)
 
ザラストロ:ギュンター・グロイスベック
タミーノ:サイミール・ピルグ
夜の女王:アルビナ・シャギムラトヴァ
パミーナ:ゲニア・キューマイヤー
パパゲーナ:アイリッシュ・タイナン
パパゲーノ:アレックス・エスポージト
モノスタトス:ピーター・ブロンダー
ローラント・ベーア指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
演出:ウィリアム・ケントリッジ 装置:ウィリアム・ケントリッジ、サビーヌ・トゥーニセン
衣裳:グレダ・ゴイリス 照明:ジェニファー・ティプトン
 

収録時期:2011年3月20日
収録場所:ミラノ、スカラ座(ライヴ)
 
 イタリア・オペラの殿堂スカラ座が上演するドイツのジングシュピールなどは、余ほどの好事家が手にする歴史的録音くらいしかお目にかかれなかったが、最近はこうして最新の映像ライヴがソフトになって出てくる。時代は変ったのであろう。またオペラ・ハウスも国際化が進み、以前のような固定観念がなくなったのかもしれない。
 
 ここで出演している歌手も指揮者もこれで初めて接する人たちばかりだが、音楽自体はたいへん高い水準だたと思う。演出も素描とアニメーションを取り入れた今時の演出。思い切り現代化されたわけではなく、19世紀と20世紀の境目あたりの時代ような設定になっている。手廻しの映画カメラなんかが小道具に使われている。
 
 ただ、この装置や仕掛けがこのオペラに沿って効果を上げているかというと、やや首を傾けざるを得ない。やはり頭でっかちの演出という感じである。

リスト:バレエ音楽「うたかたの恋(マイヤーリンク)」

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編曲、オーケストレーション:ジョン・ランチベリー
演奏:バリー・ワーズワース指揮
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団・バレエ団
 
1994年収録
 
 こんな演目がろうとは知らなかった。リストのピアノ曲や歌曲を集めてランチベリーがアレンジして、バレエに仕立て上げた。それはショパンの「シルフィード」と同様の成立過程である。
 
 皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの心中事件を題材にしたもので、背景にはオーストリア=ハンガリー帝国でのハンガリー分離独立運動という政治的なものがある。1889年という時代設定で、リストの音楽が選ばれたのは、同時代で半分はハンガリーの血が流れていたということによるものらしい。ハプスブルク家の瓦解過程の象徴的な事件である。
 
 どちらかというとバレエ踊りよりも音楽への興味だったが、ショパンの「シルフィード」とは異なり、一つの曲を通して演奏するというよりも素材を組み合わせ、場面に即した音楽を演奏するように構成されている。それはそれでなかなか面白いと思った。
 

ルナ(La luna)(ベルナルド・ベルトルッチ)(1979年)

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 月という意味の単語は「Moon」以外に「Luna」というのがある。日本人はロマンティックな幻想を持つだろうが、向こうではあまりいい意味合いはないようだ。「lunatic」は狂気のといった意味の英単語だが、この「Luna」から来ている。月から狂気のエキスがあふれ出ていると思われてきた。そう言えば、恐怖ものでの「狼男」は満月の夜に変身するであった。
 
 この作品はそういう恐怖ものではなく、人間の愛について語ったヒューマンものではある。しかし、その愛情表現はいくぶん危ういところにあって、近親相姦の一歩手前までくるというものだ。ヒロインはオペラのスターで離婚歴があり、一人息子を放置してきた女だ。人間関係は相当に歪んでいる。どう愛情表現していいか、わからないのである。
狂おしい感情はまさにlunaticなのである。これらの狂おしい状況は「ラストタンゴ・イン・パリ」や「1900年」、「ラストエンペラー」に通じる。
 
 映画にはふんだんにイタリアオペラの要素がちりばめられてある。オペラの舞台作りの裏側が見られるのはオペラに関心のある人だったら、興味津々である。
 
 なお、ヒロインとその息子がかつてパンを買った農家というのが、「1900年」に登場した建物のように見えたし、ガスリンスタンド兼宿のシーンはヴィスコンティ監督の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」に似ているように思えた。

ドゥーリトルによる日本初空襲

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Doolittle's Raiders: 71 years later
 
 アメリカ軍が初めて、東京などを空襲したのはちょうど今頃の季節。71年前の1942年4月18日のこと。ジミー・ドゥーリトル率いるB25が千葉銚子沖に進出した空母から飛び立ってのことだった。何とその当時のメンバーがまだ健在で3人が一堂に会するのは最後だというCBSニュースが現地夕方の番組で流れていた。いずれも90代の高齢者だが、映像を見る限りは元気そうではあった。
 
 パールハーバー奇襲の復讐という側面もあったようで、これで山本五十六は責任を追及されたようだ。何よりも日本側は相当ショックだったようだ。日本人はよくわかってなくて、手を振った者もいたという話を聞いたことがある。
 
 ただ乗員も中国で日本軍に捕まって処刑されたり、味方の中国軍の滑走路についたのに、未知の飛行機のために誘導灯を消されて着陸時に大破したりしている。ソ連領内に不時着した者もいたそうだが、とても味方と思えない遇され方をされたとも聞く。
 
 

バーンスタインによる「春の祭典」(1958年盤)

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【曲目】
ストラヴィンスキー: バレエ音楽『春の祭典』
【演奏】
レナード・バーンスタイン(指揮)
ニューヨーク・フィルハーモニック
【録音】
1958年1月20日 ニューヨーク、ブルックリン、セント・ジョージ・ホテル (ステレオ:セッション)
 
 バーンスタインがCBSに録音した「春の祭典」は長らくロンドン交響楽団を振った新しい方しか手に入らなかった。殊に国内盤はそうで、この1958年のニューヨーク・フィル盤は忘れられたような存在になっていたみたいである。
 
 今年はは本作が初演されてから100周年に当たる年ということで、このような初期ステレオ録音も登場する機会を得たのではなかろうか。LPジャケットのデザインを復刻、レーベル表示もそのままで、私らの世代には懐かしいものである。日本コロムビアが使用しているロゴなので、同社の承認を取り付けた旨のシールまでついている。
 
 さて、演奏はたいへん若々しく刺激的な演奏である。古いからお蔵入りなんて、もったいないことをレコード会社はするものだと思う。もう50年以上も前ながら鮮明な録音だ。当時、セッション録音会場にホテルを使用していることが逆に時代を感じる。コロムビア・レコードがNYPのセッション録音する折に、よく使用したホテルで、ミトロプーロスによるプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」などの録音にも使われていたのを思い出す。

オーマンディ&フィラデルフィアによる古典派弦楽合奏曲集

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【曲目】
モーツァルト: セレナード第13番ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
J.S.バッハ: 管弦楽組曲第3番~アリア
コレッリ: 合奏協奏曲Op.6-8「クリスマス協奏曲」
メンデルスゾーン: 弦楽八重奏曲Op.20~スケルツォ
【演奏】
ユージン・オーマンディ(指揮) フィラデルフィア管弦楽団
【録音】
1959年 〔ステレオ: セッション〕
 
 これもLPのジャケットを復刻したもので、収録されているものは古典派の弦楽合奏曲を中心のもの。オーマンディは元来はヴァイオリニストであったから、弦楽についてはたいそう詳しかったろうと思う。そういう指揮者のもとで育てられた弦楽セクションの威力を実感できるアルバムではなかろうか。
 
 バッハのアリアは通称「G線上のアリア」と呼ばれている作品で、LP時代から何回も発売されてきた録音。国内盤にも名曲集の中に挿入されている録音だが、他の作品の録音はお恥ずかしいことに初めてその存在を知るものばかりであった。各楽器のパートの員数は多く聴こえる。

競輪上人行状記(西村昭五郎)(日活1963年)

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keirin-2
 
 先日、亡くなった名優・小沢昭一が主演した作品である。西村昭五郎監督のデビュー作でもある。
 
 かつて旧・文芸地下のロビーに本作のポスターが貼られてあって、その存在をまず知った。坊主が競輪についての講釈をしてダフ屋行為をする話であるようで、企画は面白そうと思ったものの、その時はあまり執着はなく、観ることはなかった。しかし、妙に題名とポスターだけは記憶に残っていた。
 
 その後、名画座で上映されることは殆どなかったように思うし、フィルムセンターでも所蔵はまだでなかなか縁がなかった作品であった。しかし主演の小沢昭一が亡くなるにおよび、その出演作の特集の中に組まれることも多いし、先日DVDにもなったので、今では容易に鑑賞できる環境にある。
 
 西村昭五郎監督と言えば、日活がロマン・ポルノ路線に舵を切った時に、中心になって活動した監督の一人である。しかし、ポルノ時代の前に一般映画を数本手がけている。そして、これは今村昌平監督が脚本に参加していて、出演者も小沢の他、今村組の常連俳優たちが多く出演している。どちらかというと今村色の強いもので、「重喜劇」の部類に入る作品である。何か猥雑な人間関係が割と赤裸々に描かれていて、スラプスティックな喜劇とは異なる。その猥雑さが後年のポルノ作品にも生かされたのではないかと思わないでもない。ただ、僧になるまでの話が割と長く、そこいらを整理するともっと良いものになったような気がする。

バーンスタイン:歴史的録音1946-1961年

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 【収録情報】
・ダイアモンド:前奏曲とフーガ第3番
 レナード・バーンスタイン(ピアノ)   1941年5月 SP録音~レコード・デビュー
・シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
 ボストン交響楽団
 録音:1946年3月22日、ボストン、シンフォニー・ホール

・ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調 Op.60『レニングラード』-リハーサル
・ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調 Op.60『レニングラード』
 ボストン交響楽団
 録音:1948年12月22日、ボストン、シンフォニー・ホール

・マーラー:交響曲第2番ハ短調『復活』-リハーサル
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第15番変ロ長調 K.450-リハーサル
 レナード・バーンスタイン(ピアノ)
 ボストン交響楽団
 録音:1949年11月21日、ボストン、シンフォニー・ホール

・メシアン:トゥーランガリラ交響曲-リハーサル
 ボストン交響楽団
 録音:1949年11月28日、ボストン、シンフォニー・ホール

・マーラー:交響曲第2番ハ短調『復活』
 アデーレ・アディソン(ソプラノ)
 ナン・メリマン(メゾ・ソプラノ)
 ボストン交響楽団
 録音:1949年11月25日、ボストン、シンフォニー・ホール

・ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調-リハーサル
 レナード・バーンスタイン(ピアノ)
 ボストン交響楽団
 録音:1949年12月5日、ボストン、シンフォニー・ホール

・コープランド:荘厳な儀式のための序言
・ショスタコーヴィチ:国連行進曲(映画音楽「呼応計画』 Op.33からの編曲)
・ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』~第4楽章の一部
 ローレンス・オリヴィエ(語り)
 レナード・バーンスタイン(ピアノ)
 イルマ・ゴンザレス(ソプラノ)
 ナン・メリマン(メゾ・ソプラノ)
 ロール・ジョバン(テノール)
 ニコラ・モスコーナ(バス)
 大学生合唱団
 ボストン交響楽団
 録音:1949年12月10日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
 レナード・バーンスタイン(ピアノ)
 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
 録音:1950年2月19日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・バーンスタイン:交響曲第2番『不安の時代』
 ルーカス・フォス(ピアノ)
 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
 録音:1950年2月26日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ストラヴィンスキー:春の祭典
 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
 録音:1951年2月18日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ヴァイル:『三文オペラ』(ブリッツスタイン英訳版)
 ロッテ・レーニャ(ジェニー)
 ジョー・サリヴァン(ポリー)
 デイヴィッド・ブルックス(マックヒース)
 マーク・ブリッツスタイン(語り)
 管弦楽団
 録音:1952年6月14日、マサチューセッツ州ウォルサム、ブランダイス大学)

・コープランド:交響曲第2番『短い交響曲』
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1957年1月27日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ハリス:アメリカの信条
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年2月7日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ピストン:管弦楽のための協奏曲
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年2月15日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ファイン:厳かな歌
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年4月19日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 Op.47-録音セッション
・コープランド:組曲『ビリー・ザ・キッド』-録音セッション
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年10月20日、ボストン、シンフォニー・ホール

・チャベス:交響曲第4番『シンフォニア・ロマンティカ』
・マーラー:私はやわらかな香りをかいだ/私はこの世に忘れられ/浮き世の生活/真夜中に
 ジェニー・トゥーレル(メゾ・ソプラノ)
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1960年2月8日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

・ダイアモンド:交響曲第8番
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1961年10月9日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

 レナード・バーンスタイン(指揮)
 
 これは、若い時代のバーンスタインの活動の記録である。コロムビアにNYPの常任指揮者として多くのレコーディングをしてきて、それで指揮者バーンスタインの名が知られたのは事実だが、本当はもっと以前から演奏家として指揮者として、また作曲家として活動してきた人である。
 
 まずはレコード・デビューとしてダイアモンドのピアノ曲「前奏曲とフーガ第3番」を吹き込んでいる。ピアニストとして登場したわけである。その後、彼の師匠であるクーゼヴィツキーが音楽監督をしているボストン交響楽団を中心に録音をRCAに遺している。ここでは実演及びそのリハーサル風景が収められている。リハーサルのみで本番が収録されていない曲もあり、何だか残念の気はする。
 
 その後、NYPに移って実演たリハーサル風景が収録されているが、コロムビアのためのセッションと同じ演奏が二つだけ挿入されているが、これは通しのものではなく、セッション録音の過程の風景の収録であった。プロデューサーの指示の声が入る。
 
一番注目はクルト・ワイルの三文オペラの英語版のライヴ。作曲者の夫人であるロッテ・レーニャも出演しているたいへん貴重な録音かと思う。有名な「マック・ザ・ナイフ」はこのあたりからよく知られるようになったらしい。
 
 ともかくも、未知のバーンスタインの活動の一端が触れられるというありがたいBOXである。

報道の自由の敵

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 まあ順当なところであろう。中国や北朝鮮の首脳が入っているのは当然!

開城工業団地再開を巡って

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 ビジネスとして純粋に考えた場合、こんなところは危険この上なく、私が経営の立場だったら、絶対に進出はしないと思う。再開されたところで果たして何社が応じるであろうか。そこのところを北の当局者は理解できているのであろうか。
 
 立地としてもはや信用されていない。また労働の質としてどうなのか。命令一つで何事も動くと考える北朝鮮の幹部からすれば、想像の範疇を越えるものであるのかもしれない。

赤い陣羽織(歌舞伎座映画1958年)

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 山本監督としては初めてのカラー・スコープ作品ということになる。東宝争議以来、独立プロ中心に苦しい台所で映画製作してきたが、本作では松竹の資本下で製作されたものである。
 
 木下順二の同名戯曲を映画化したものだが、舞台でも当り役であった中村勘三郎を映画主演させて、歌舞伎流布を狙ったものかもしれない。内容が反権力的な内容であったので、山本監督の起用となったようである。女性が実は強いという面と権力のない庶民のしたたかさも描かれている。話の内容はアラルコンの「三角帽子」に似ている。権力の象徴を身につけているとその威光をきて、好き勝手する権力者が実力がないということも。
 
 主張がオブラートに包まれて楽しめる映画になっている。全ては最後の台詞に集約されている。
 
 なお、この戯曲は大栗裕によってオペラ化されていて、その録音も存在する。また「三角帽子」の方は、ファリャによってバレエになっている。

コヴェントガーデンでのケンペによる「指輪」

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1950年代、様々な歌劇場で毎年のように上演されていた『指環』の全曲演奏。このケンペ&コヴェントガーデンの1957年ライヴは、一連のクナ&バイロイトとともに最高の名演として高く評価されているものです。まず歌手たちの顔ぶれをご覧下さい!
 主役にはホッター、ニルソン、ヴィントガッセン、ヴィナイ・・・・など当時最高のワーグナー歌手を配し、ベーメ、ウーデ、クラウス、ミリンコヴィチなどの実力派がしっかりと脇を固めます。当時30歳のサザーランドのヴォークリンデも非常に魅力的です。
 そして、何と言っても素晴らしいのがケンペの指揮でしょう。1953年にコヴェント・ガーデンに登場、その後20年に渡り数々のオペラ上演を行いロンドンの聴衆、歌手、楽団員から絶大なる信頼を受けたケンペ、(とは言え、音楽監督の座は辞退)前年(1956年)は病気のために一時休養を取ったものの、この年、1957年はシーズン開始から精力的に活動し、『蝶々夫人』『エレクトラ』そして『指環』を立て続けに振ったのでした。もちろんこの『指環』は聴衆からも批評家からも大絶賛、溢れるような音の洪水と高らかな歌声に全ての人が歓喜したという伝説の公演記録です。後にケンペは1960年にバイロイトに登場、そこでの一連の『指環』でも素晴らしい演奏をおこなっていたのは言うまでもありません(廃盤)。
 なお、この復刻は、ヘアウッド卿(エリザベス女王のいとこで、イギリスを代表するオペラ専門家)の所蔵する高音質、高品質の原盤を使用したものです。(ユニバーサルIMS)

・ワーグナー:楽劇『ニーベルングの指環』全曲
・楽劇『ラインの黄金』(1957年9月25日)
 ヴォークリンデ・・・・ジョーン・サザーランド
 ヴェルグンデ・・・・ウネ・ハーレ
 フローシルデ・・・マージョリー・トーマス
 アルベリヒ・・・・オタカール・クラウス
 フリッカ・・・・ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ
 ヴォータン・・・ハンス・ホッター
 フライア・・・・エリザベート・リンダーマイアー
 ファーゾルト・・・・・クルト・ベーメ
 ファーフナー・・・・・フレデリック・ダルベルク
 フロー・・・・エドガー・エヴァンス
 ドンナー・・・・ローベルト・アルマン
 ローゲ・・・・エーリッヒ・ヴィッテ
 ミーメ・・・・ペーター・クライン
 エルダ・・・・・マリア・フォン・イロスヴァイ

・楽劇『ヴァルキューレ』(1957年9月27日)
 ジークムント・・・ラモン・ヴィナイ
 ジークリンデ・・・・ジルヴィア・フィッシャー
 フンディング・・・・フレデリック・ダルベルク
 ヴォータン・・・ハンス・ホッター
 ブリュンヒルデ・・・・ビルギット・ニルソン
 フリッカ・・・・・ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ

・楽劇『ジークフリート』(1957年10月1日)
 ミーメ・・・・ペーター・クライン
 ジークフリート・・・ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 さすらい人・・・・ハンス・ホッター
 アルベリヒ・・・オタカール・クラウス
 ファーフナー・・・・フレデリック・ダルベルク
 森の小鳥・・・ジャネット・サンクレール
 ブリュンヒルデ・・・・ビルギット・ニルソン

・楽劇『神々の黄昏』(1957年10月4日)
 第1のノルン・・・マリア・フォン・イロスヴァイ
 第2のノルン・・・コンスタンチェ・シャックロック
 第3のノルン・・・エイミー・シュアルド
 ブリュンヒルデ・・・ビルギット・ニルソン
 ジークフリート・・・ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 グンター・・・ヘルマン・ウーデ
 ハーゲン・・・クルト・ベーメ
 グートルーネ・・・エリザベート・リンダーマイアー
 ヴァルトラウテ・・・マリア・フォン・イロスヴァイ
 アルベリヒ・・・オタカール・クラウス
 ヴォークリンデ・・・ジョーン・サザーランド
 ヴェルグンデ・・・ウネ・ハーレ
 フローシルデ・・・マージョリー・トーマス

 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮:ルドルフ・ケンペ

 録音時期:1957年9,10月(モノラル)
 録音場所:コヴェントガーデン王立歌劇場(ライヴ)
 
 以上は、通販のページをコピーペーストしたものだが、バイロイトならぬロンドンのコヴェントガーデンでバイロイトに並ぶワーグナー歌手を揃えて、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」が全曲を上演されていることに驚く。だいたいブリュンヒルデなどは50年代はアストリット・ヴァルナイがやっていると思ったら、もうニルソンがちゃんと歌っている。ハンス・ホッターやラモン・ヴィナイそれにヘルマン・ウーデやヴォルフガング・ヴィットガッセンなどはバイロイトの常連歌手である。それに若き日のジョーン・サザーランドがラインの乙女ヴォークリンデをやっているのも面白い。
 
 さて、ドイツ東部で主に活動していたケンペが西に出てきて、活躍してようやくその仕事がうまくいってきた頃であろうか。イギリスではたいへん人気が高く、オーケストラ奏者からの信認も得てきた指揮者の一端に触れられるものである。発売者のコメントにもある通り、音源がいい状態なので、モノラルながら鑑賞条件は良好である。こうした往年の名演が手近に聴けるのは誠にありがたいことである。
 

白い崖(東映東京1960年)

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 今井正監督のフィルモグラフィーの中で、あまり目立たない作品ではある。名作「キクとイサム」と「あれが港の灯だ」の間の作品だが、この二つに挟まれて影が薄い。菊島隆三が外国のスリラー小説を翻案したものらしい。一応犯罪映画でそれなりに見せるのではあるが、何故今井監督は撮る気になったのだろうか、とふと思った。
 
 冒頭いきなり主人公の死刑執行の場面から始まり、その顛末が回想形式で展開する。主人公はしがない秘書課のサラリーマンでとても野心家である。貧しい家庭で育った男が上昇志向一辺倒で足元の穴に躓いてしまうというものだが、ここら辺りに意義を見出したのかもしれない。
 
 ただ、描写が通り一遍で今井作品としては物足らない。納得させられるものを持つことが多い、この監督にしては平凡なのである。テレビの2時間サスペンスとあまり変わりがない。

惑星ソラリス(アンドレイ・タルコフスキー)(1972年)

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 タルコフスキー監督のこの作品は一応SF映画の範疇に入れられているが、かなり哲学的な仕上がりになっている。キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」同様にとっつきにくい難解な映画の部類になっている。タルコフスキーはそのキューブリック作品を批判したそうだ。あれでもまだショー的要素があると映ったようだとは解説にあった。
 
 探査する惑星ソラリスが知性を有する海をもっていて、その軌道のステーションに詰める人間がノイローゼになるという設定がまずユニークだ。報告しても受ける地球側の本部は信じない。幻を見ているとか、考えられないことと変人扱いをしてしまう。体験した者たちは一様に傷つき苦しむ。潜在意識を具体化して人間たちを翻弄する惑星ソラリスは何かを象徴しているような感じだ。
 
 それは何か。第三者は自分たちの常識に束縛されているし、体験者はかつての経験での苦いものを思い起こさせてしまうようだ。人間が至極小さな存在に思えてくる。
 
 なお、前半に未来都市として東京が出てくる。1972年当時、ロシア人からすると東京は無機質で異質なものに映っていたのであろうか。地名とか走行する車の表示なんかが読めてしまうので、何となく居心地が悪い。

仁義なき戦い・総集編(深作欣二)(東映京都1973-74年)

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 この映画は社会人になったばかりの頃、新宿駅構内に大きな看板が掲げられていたのを思い出す。映画会社もあの手この手で観客を呼ぼうとしているのだなと思ったものだ。全5作の総集編かと思ったら、4作までのものだという。テレビ用に編集されたものだそうで、それを映画館でも上映するようにしたのが本作。
 
 総集編は古い映画作品で前後篇をまとめたものはよくあったが、70年代の作品でこのようなものが出てくるのはちょっとびっくりした。

殺人狂時代(チャールズ・チャプリン)(1947年)

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 邦題はチャプリン映画らしく、人をくったような感じだが、原題は Monsieur Verdoux という素っ気ないものである。主人公の名前がそのままのタイトルで冒頭いきなりその主人公の墓が出てきて、回想するというものだ。したがって、普段の彼の映画とは肌合いが全く異なる。彼のトレードマークも封印されている。
 
 要は裁判での台詞、「自分は数人殺しただけなのに、死刑か。戦争で大勢殺すと英雄なのに」という戦争に対する憎悪がテーマだ。だが、彼の行動は当時のアメリカの保守主義者たちが激しくバッシングする。友人の作曲家アイスラーが共産主義者であったことも更に事態が悪化、そしてこの反戦的姿勢はレッドパージの対象となったと私は理解している。
 
 チャプリンは社会主義者でもなく、リベラリストだったのだろう。言っていることは至極まっとうなことだ。戦争に対する矛盾を突いたものだ。アメリカで本作が受け入れられたのはベトナム戦争後であったという。映画が終わると何か重たいものを感じる。深刻なテーマを突きつけられたような気分にいつもなる。この後、「ライムライト」を撮ってアメリカを去ってしまう。その後、アメリカの姿を皮肉った「ニューヨークの王様」と繋がっていく。
 

ヴォルフ=フェラーリ:管弦楽曲集 サンティ&パリ音楽院管弦楽団

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【収録情報】
ヴォルフ=フェラーリ:
・歌劇『スザンナの秘密』序曲
・歌劇『町の広場』から間奏曲、リトルネッロ
・歌劇『愚かな女』序曲
・歌劇『4人の気むずかし屋』から前奏曲、間奏曲
・組曲『マドンナの宝石』
ネッロ・サンティ(指揮)パリ音楽院管弦楽団
 録音時期:1959年
 録音場所:パリ
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 
 ヴォルフ=フェラーリと言えば、「マドンナの宝石」間奏曲くらいしかすぐに思いつかない。それほど、あまり知られていない作曲家の一人である。しかし、本場では見直しが進んでいるようで、オペラの上演やその模様を収めた映像がリリースされたり、全曲盤が出回ったりしている。オペラ以外の作品のCDも出ているくらいである。
 
 ドイツ人の父とイタリア人の母を持つこの作曲家はそれぞれの国のエッセンスを自作に盛り込んでいるのが特徴である。リリカルな旋律は本場イタリアものほど暑苦しくなく、爽やかなものがある。またワーグナーの影響も見られが、イタリアのブッファの復興に力を入れた活動をしている。
 
 有名な「マドンナの宝石」はこの作曲家にとってはむしろ例外な悲劇的なオペラ。哀切な間奏曲が一番有名なのはむしろ皮肉な結果なのだが、劇の内容に必ずしも音楽の質が合致していないとの批評もある。上記の組曲でその間奏曲以外の舞曲などを聴くとシリアスな感じがないので、そういう指摘は当たっているのかなと思う。
 
 さて、このようなアルバムはASVというレーベルからも出ていたが、これは老舗のDECCAが制作、若き日のネッロ・サンティが指揮しているのが魅力に感じた。こういう録音があったとは知らなかった。LP時代には日本でも発売されたように解説にはあったが、長らく発売されなかったようである。

ブーレーズのドビュッシー曲集(CBS)

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ドビュッシー:管弦楽曲集
(曲目)
CD1①交響詩「海」
   ②夜想曲      ジョン・オールディス合唱団
   ③交響組曲「春」
   ④クラリネットと管弦楽のための狂詩曲第1番 ジェルヴェース・ド・ペイエ(クラリネット)
CD2①牧神の午後への前奏曲
   ②遊戯
   ③管弦楽のための映像
   ④神聖な舞曲と世俗的な舞曲           アリス・シャリフー(ハープ)
ピエール・ブーレーズ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(CD1、CD2①②) クリーヴランド管弦楽団(CD2③④)
 
 解説によるとLP3枚分を2枚のCDにしたものだという。ブーレーズがCBSに録音したドビュッシーの曲が全て網羅されていると思う。収録が1966年から68年にかけて行われた。クレンペラー晩年の時代のNPOとセル晩年の時代のクリーヴランドが相手である。両巨匠とは全く肌合いのことなる指揮ぶりで、細部までが明確にわかる演奏というのが特徴。したがって、今まで気にならなかった音型に気付くなんていう現象も多々ある。
 
 LP時代に葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の絵があしらってあったのを覚えている。初出当時は買っていないが、日本の浮世絵が何故ジャケットに載っていたかは後年知った。ドビュッシーも日本の絵に触発されていたとわかりうれしい気分になったのを思い出した。先日新聞の文化欄にこのアルバムの紹介があったのを見て、買ってしまった。同じが絵が4つ色調を変えてあるのは、ブーレーズの細部まで聴かせる姿勢の象徴なのであろう。

ワーグナー生誕200周年を巡って

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 ワーグナーということになると、必ず出てくるのは、ヒトラーとナチスである。無論ワーグナー自身は、ナチスのナの字も知らずに亡くなっているが、彼の反ユダヤ的な発言や姿勢がリンクされているし、ヒトラーがワーグナーの遺族たちと深く交わってもいる。
 
 しかし、そういうことよりも彼の偉業という側面と彼の人間性や彼の作品に込められているものには暗いマイナス面があるのも事実だ。1848年当時彼は官憲からはお尋ね者であり、債権者からは借金を踏み倒したとんでもない男だったのだ。他人の妻を強奪したりもしている。作品は他の誰よりもゲルマン的である。ベートーヴェンやモーツァルトの出身地はローマ帝国の町であったが、ワーグナーの出身地のライプツィヒは帝国の埒外にあって、ゲルマンの蛮族が跋扈していた地であると説明を受けたことがある。本源的な血のようなものは、ユダヤなどの他文化を拒絶する面があったのかもしれない。
 
 ワーグナー嫌いという人も周囲には多い。同じ年生まれのヴェルディとはかくも違うものかとつくづく思う。
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