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池野成の映画音楽~「牡丹燈籠」「妖怪大戦争」

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CD「池野成の映画音楽 牡丹燈籠 妖怪大戦争」収録楽曲
作曲家 池野成
CD「池野成の映画音楽 牡丹燈籠 妖怪大戦争」
 池野成(1931~2004)は、山内正、小杉太一郎らと同じ伊福部昭門下である。この人も師匠について映画音楽の現場を学生の頃からついていたという。師匠が担当した「足摺岬」(1954年・吉村公三郎)ではピアノも担当していたという。そして吉村公三郎監督の「夜の河」(大映京都1956年)あたりから、かなりの映画の音楽を担当している。川島雄三監督、山本薩夫監督、増村保造監督といった巨匠の作品の他、時代劇やアクションものなどかなり数に上る。しかし、純音楽はあまり多くないのが特徴で、今一つ掘り起こしが遅れているのが残念だ。 音楽の特徴は低音の金管楽器(トロンボーン)の重用で、重くてシリアスな音作りである。

 このアルバムはいずれも1968年に大映京都が製作した映画のための音楽で、池野がつけた音楽の全てを収録したもの。いずれも映画会社にマスターテープが確認されて、この度CDになったものだ。

 「牡丹燈籠」は社会派の山本薩夫監督作品。池野は1963年の「赤い水」で始まり、「傷だらけの山河」「にっぽん泥棒物語」「証人の椅子」「氷点」「白い巨塔」「座頭市牢破り」と音楽を担当、この作品に至る。この後の「天狗党」が最後となり、山本監督は「戦争と人間」以降は佐藤勝と主に組むことになる。山本監督は音楽のことは具体的な注文はしなかったという。監督自身、音楽はわからないと言っている。具体的な作曲家の作品を挙げて注文をつける黒澤明監督のような人は実は作曲家にとっては困るようで、それに忠実に従った早坂文雄は盗作騒動まで引き起こしている。ただ、この怪談映画ではここ一番驚かすような音楽が欲しいという要求はあったという。音楽はおどろおどろしいものばかりでなく、抒情的な音楽もあったりする。

 もう一つの「妖怪大戦争」は黒田義之監督作品。プログラム・ピクチャーを製作する職人監督だが、この作品は今も映画ファンでは人気があるのだという。ここでは本来の池野節の炸裂で、音楽的にもワクワクさせられる。上述のようにトロンボーンを活用した音楽作りになっている。殊に最後の方は、バス・トロンボーンにペダル・トーン(低音のB♭)を延々と吹かせたりしているのには驚く。

 数少ないとはいえ、やはりこの人が書いたコンサート用の作品を聴いてみたい気は高まる。今のところ管弦楽の作品「ダンス・コンセルタンテ」の音源は手許にある。打楽器とトロンボーンなどのアンサンブル作品(エヴォケイション(EVOCATION)、ティンパナータ(Timpanata)、古代的断章、ディヴェルティメント(Divertimento))や「RAPSODIA CONCERTANTE」は今発注したばかり。他に「序奏と交響的アレグロ」の録音はないかと待っている状態。



母と暮らせば

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 山田洋次監督の最新作を久しぶりに劇場で観た。原爆を素材にはしているが、戦後の日本人の姿の描写であり、直接の原爆糾弾の形にはなっていない。息子は亡霊となって現れるが、それは特別な意味があって現われたことがあとでわかる。

 苦難にじっと耐える戦後の日本人たちが誠実なタッチで描かれていて、そこに感心もし感動もするがどうもその感動が大きくならない。一つには作劇がやや作為的すぎるのであろうか。結末も途中からある程度予測出来てしまうのも大きなマイナス要因だと思った。

 小津監督への敬愛なのか、台詞に小津や山中の名前が出たり、息子の部屋には「淑女は何を忘れたか」のポスターが貼ってあったりする。そういうのを見るのはなかなか楽しい。

ピラミッド(ハワード・ホークス)(1955)

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 西部劇などで有名なハワード・ホークス監督による史劇。この監督には珍しいスコープ作品でもある。ファラオにはイギリスの名優ジャック・ホーキンスが扮し、欲望の醜さを描いた作品とでも言おうか。ピラミッドがどうやって密封されていくかの仕掛けも面白い。

 実はこの映画は子供の頃、NHKで放映されていて、ファラオの側近が最後に殉死するのだが、奸智たけた第二王妃も道連れにするところが強く印象に残っていた。むろんその当時は監督や出演俳優のことなど全く知らなかったのだが、そういったことで気にはなっていた。そして検索するうちに、それがこの映画ということを知った。やはり、ホークスともなると、無知な子供でも強烈な印象を残す映画を作るのだな感心した。仕掛けを作った職人が内部から聴こえる音が止んで、全て終わったなと言って家族らと故郷を出発するところで終わる。要領よく、104分にまとめていて、無闇な大作ではないところもいい。

日本人の勲章(ジョン・スタージェス)(1955)

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 「大脱走」や「荒野の七人」で有名なジョン・スタージェス監督が撮った社会派作品。西部の田舎町に片腕の男が列車を降り立つ。滅多に特急など停車しないのに、止まったと駅員はぼやく。目的は何かわからないので不気味に町人たちはいぶかる。やがて、この男とはヨーロッパ戦線で自分の命を助けてくれた日系二世の実家を訪ねてやってきたことが判明する....。

 戦時中、合衆国が行った国内の日本人の強制収容に絡む差別的な一面をさらけ出す問題作ではある。主人公はスペンサー・トレーシーでこれが老齢ながら結構強い。他にロバート・ライアン、リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、アン・フランシスといったクセ者の役者が共演していて見応え充分。映画の場面には日本人の登場はない。「ブラック・ロックの悪い日」というのが原題。

日本の管弦楽曲 100周年ライヴ

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 名古屋の方にあるプロ・オケ、セントラル愛知交響楽団の演奏会ライヴ。強面の現代音楽はなく、どれも聴きやすいものばかり。中にはテレビ・ラジオのテーマ音楽として馴染みのあるものも多い。

 中でも面白かったのは團伊玖磨の音楽で「ラジオ体操第二」だ。普段はピアノ演奏だけでしか聴かないが、今回はオーケストラ用にアレンジされたもの。形態が異なるとまた違った印象なのだ。バレエ音楽でも聴くかのようで、多彩な音楽に変容しているのには驚き、これだから音楽は楽しいとも思った。他に黛敏郎による日テレ系統のスポーツ番組のテーマ曲も管弦楽で聴くとほぼオリジナルに近い響きになるようだ。古関裕而の「ひるのいこい」はやや大仰に聴こえるし、「眠狂四郎女妖剣」の音楽も少し重たく聴こえる。編成が大きいからだろう。

 なお、狂四郎の映画音楽の作曲の斎藤一郎はこの指揮者と同姓同名だが、全くの別人物である。
 

池野成の音楽

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 これもまた池野成の音楽ではあるが、今度は映画のサウンドトラックではなく、2006年11月23日に作曲者を偲んで、開催されたコンサートのライヴ録音が中心で、映画「電送人間」の音楽のみがサウンドトラックから収録されている。

CD1
①映画「妖怪大戦争」の音楽(編曲:藤田崇文)
②映画的交響組曲第1番~「傷だらけの山河」「白い巨塔」「赤い水」より~(編曲:今井重幸)
永野裕之指揮 池野成メモリアル・オーケストラ
③映画「電送人間」(福田純・東宝1960年作品)~サウンド・トラック32曲
CD2
①ティンパナータ  
有賀誠門(ティンパニ)、東京音楽大学トロンボーン・アンサンブル、斎藤香(フルート)、松原有里、加治祐子、長岡正光(ホルン)、寺山香澄(テューバ)
②ディvルティメント  渡辺由美子&Discussion of Percussion"Q21"
③古代的断章  吉川武典指揮 東邦音楽大学トロンボーン・アンサンブル&パーカッション・アンサンブル
④エヴォケイション
高梨晃(マリンバ)、東京音楽大学トロンボーン・アンサンブル&有賀誠門パーカッション・アンサンブル
(1)③以外:2006.11.23 第一生命ホール、東京(ライヴ)

 前の記事にも記したように、伊福部昭門下の池野成は、その殆どは映画音楽が占めるのに比べ、純音楽は極めて少ない。これはそうした作品も含めた追悼コンサートの実況録音だ。アンサンブルといっても弦楽四重奏やソロ曲というものではなく、管楽器や打楽器中心のもので、オーケストラのセクションのためのものといった趣だ。管楽器もトロンボーンが中心になっているのが特徴で、それは映画音楽の重厚な響きもそのアンサンブルからなっていることを思うと、この人の響きの好みが窺い知ることができる。純音楽が少ないのは納得にいったものを厳選した結果と言われている。それはフランスのデッカスなどの姿勢にも似ている。2枚目の打楽器アンサンブルが活躍する4曲はリズミックで何か動物的なものを呼び覚ましてくれるような感じだ。






モートン・グールド/シカゴ交響楽団とのRCA録音全集

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モートン・グールド/シカゴ交響楽団とのRCA録音全集(6CD)
収録情報】
Disc1
● モートン・グールド:管弦楽のためのスピリチュアルズ
● コープランド:舞踏交響曲

 録音時期:1965年2月(原盤番号:LSC-2850)

Disc2
● アイヴズ:『アメリカ』の主題による変奏曲

● アイヴズ:交響曲第1番ニ短調
 録音時期:1966年1月、1965年11月(原盤番号:LSC-2893)

Disc3
チャイコフスキー:
● 『眠れる森の美女』~ワルツ
● 弦楽セレナード~ワルツ
● 『くるみ割り人形』~花のワルツ
● 『くるみ割り人形』~終幕のワルツとアポテオーズ』
● 『白鳥の湖』~ワルツ
● 『白鳥の湖』~小品円舞曲
● 『白鳥の湖』~白鳥のワルツ』
● 交響曲第5番ホ短調~第3楽章:ワルツ
● 歌劇『エフゲニ・オネーギン』~ワルツ

 録音時期:1965年11月、1966年1月(原盤番号:LSC-2890)

Disc4
● ニールセン:クラリネット協奏曲 Op.57
● ニールセン:交響曲第2番ロ短調 Op.16『4つの気質』

 録音時期:1966年6月(原盤番号:LSC-2920)

Disc5
● アイヴズ:オーケストラル・セット第2番
● アイヴズ:「三つのニュー・イングランドの場所」より コネチカット州レディングのパットナム将軍の野営
● アイヴズ:ロバート・ブラウニング序曲

 録音時期:1967年2月(原盤番号:LSC-2959)

Disc6
● リムスキー=コルサコフ:交響曲第2番嬰ヘ短調 Op.9『アンタール』
● ミャスコフスキー:交響曲第21番嬰ヘ短調 Op.51

 録音時期:1968年1月(原盤番号:LSC-3022)

 ベニー・グッドマン(クラリネット/Disc4:協奏曲)
 シカゴ交響楽団
 モートン・グールド(指揮)
 モートン・グールドはマルチな音楽家だった。作曲家、指揮者、アレンジャーとして子供の頃、何故か知っていた。クラシックばかりでなくポピュラーまで範囲が及んでいたように思う。これはシカゴ交響楽団と共演して、RCAビクターに入れた全録音をボックスにしたものという。一部は、レコード店の独自企画で出ていたものもあったが、これはCSOとの共演録音の全貌を収めている。
 
 さて、内容だが、なかなかマニアックな選曲だなと思う。自作が一つしかないのは意外だが、アイヴズ、コープランドなどのアメリカもの、ニールセンのクラリネット協奏曲や交響曲第2番、それに後はロシアものというはユニーク。チャイコフスキーはワルツに焦点を絞っているのが面白い。リムスキー=コルサコフも「アンタール」というのが渋い。ミャスコフスキーなど、この当時知っている人は限られていたのではなかろうか。ソリストとしてベニー・グッドマンが登場しているが、この当時はコロムビアの専属ではなかったのだろうか。この人のモーツァルトなんかは有名だったが、ニールセンも録音していたと知った時は驚いた。ジャズばかりでなく、こうしたレパートリーもあって、堂々の吹奏ぶりは流石である。

池野成:ラプソディア・コンチェルタンテ 石井眞木:アフロ・コンチェルト

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池野成:ラプソディア・コンチェルタンテ 石井眞木:アフロ・コンチェルト
①池野成:ラプソディア・コンチェルタンテ~ヴァイオリンと管弦楽のための~
②今井重幸:ゴジラのモティーフによる変容「ゴジラのフラメンコ」
③石井眞木:アフロ・コンチェルト 作品50 ヴァージョンB
オーケストラ・ニッポニカ  阿部加奈子(指揮) (①-②)  高木和弘(ヴァイオリン) (①)
野平一郎(指揮) (③)  菅原淳(パーカッション) (③)

 これは伊福部昭に師事した3人の作曲家の作品を集めたアルバムである。②が一番、伊福部のオマージュの傾向が強いが、このアルバムの目的は①にあった。池野成の純音楽作品は極めて少ないようで、これが最後の作品のようである。ヴァイオリン協奏曲とは呼ばずにこのような名称にしたのは、少しフォルムが異なると作曲者が判断したようだが、素人の身にはよくわからない。聴いていると池野成が付けた映画音楽のような独特な響きが聴ける。つまりホルンとトロンボーンを重ねた独特な響きだ。ここでは映画「雁の寺」(川島雄三監督・1962年)のタイトルバックの音楽に似ていた。同窓の松村禎三がもっと純音楽作品を書くべきだったとのコメントを残しているが、まさしくそう思う。

 最後の石井作品は既にビクターから出ていた2人の奏者のためのヴァージョンAは所持していたが、本来一人の奏者のためのこのヴァージョンは初めてだ。作曲者の父君が有名な舞踏家、石井漠であることが影響しているのか、どこか舞踏的な感じもする。アフリカのリズムみたいな要素が何度も繰り返し出てくるのだが、正直まだ馴染めない作品ではあった。

クーベリックの珍しいライヴ録音集

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【曲目】
(1)マーラー:嘆きの歌(第1稿)[ 録音:1979年6月8日/バイエルン放送(ライヴ)]
(2)ブラームス:アルト・ラプソディOp.53 [ 録音:1962年6月18日/バイエルン放送(ライヴ)]
(3)シェーンベルク:グレの歌(抜粋)[ 録音:1965年3月10-12日/ミュンヘン(ライヴ)]

【演奏】
ユリア・ハマリ(S)、ローゼ・ワーゲマン(Ms)、デイヴィッド・レンダル(Ten)(1)
グレース・ホフマン(コントラルト)(2)
インゲ・ボルフ(Sop)、ヘルベルト・シャハトシュナイダー(Ten)、キース・エンゲン(Br)(3)
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送交響楽団・合唱団

 3つの中で、メインは何と言ってもマーラーであろう。DGのマーラー全集にもAuditeの全集にも含まれていなかった「嘆きの歌」だからだ。しかも、オリジナル版で第1部の発端部分も演奏されているからたまらない。音質もよく聴きやすい。アプローチはブーレーズよりも穏当であるように感じる。しかし、模範的な演奏はこちらではなかろうか。

 表示はモノラルとステレオの表示はあるが、どれも立体的な音がするのは、自分の耳がよくないのだろうか。また、収録の曲がマーラーの「嘆きの歌」にネガティヴな評価を与えたブラームスの「アルト・ラプソディ」が続いているのは、何か皮肉なものを感じる。

グレツキ:交響曲第4番 Op.85『タンスマンのエピソード』

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交響曲第3番『悲歌のシンフォニー』でその名があまねく知られる作曲家、ヘンリク・グレツキ。彼の幻の遺作とされる交響曲第4番『タンスマンのエピソード』がようやくリリースされます。この録音は2014年、アンドレイ・ボレイコが指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による世界初演(ロイヤル・フェスティバル・ホール)の際に行われたもので、作品はグレツキと同郷の作曲家アレクサンダー・タンスマンへのオマージュとなっています。
 2010年にグレツキがこの世を去った時には完成されていなかったため、初演の機会を逸していたのですが、彼の息子で作曲家でもあるミコライが演奏可能なスコアとして完成させたというもので、ピアノ、オルガンを含む独奏楽器群が活躍するある意味「力強い音」は、交響曲第3番のみでグレツキに親しんでいた人には、予想を裏切るものかもしれません。しかしこれは新古典派風であり、またミニマル風であるという彼の第2期の作風に近いものです。途中で奏されるピアノのコラールのような断片が導くメロディーは、まさに「祈り」の音楽。生涯の終焉に向かって、若干迷走してしまった感のあるグレツキの音楽は、この交響曲第4番で集大成を見たのかもしれません。(NONESUCH)
 
アンドレイ・ボレイコ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2014年4月12日
録音場所:ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ロンドン
 
 第3番「悲歌のシンフォニー」で一躍有名になった人だが、亡くなってもう4年も経っていることをこの度知った。第3番はヒーリング音楽として、現代曲としてはCDもよく売れたと聞くが、その印象で接すると全く異なった印象を受ける。こちらの方が大きな編成のオーケストラを要する。またどこかポーランドの民族音楽みたいな要素もあって、聴く分には飽きない。大編成でも時には室内楽みたいな部分もあるので、演奏する方はかなりの難物ではなかろうか。タンスマンは確かACOの自主制作盤の中に作品があったように思うが、どんな音楽かとんと覚えていない。日本には馴染みのない作曲家ではある。
  
 

インベーダー(1967年)

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デビット・ビンセント(ロイ・シネス):露口茂
ナレーター:加藤和夫

 これは1967年にCBS系列で放映、日本ではテレビ朝日系で放映されたSFテレビ映画である。製作は「逃亡者」を製作したウィン・マーティンが当たっている。したがって、構成が「逃亡者」とほぼ同じで、今夜のエピソードは~と出て、Episode1~4 Epilogueとなる。

 今回は発端篇である第1話を観たが、同系列で放映された「X-File」の魁のような内容である。人間と同じ姿で乗り込んできた宇宙人と侵入を目撃してしいまった建築家との戦いであり、「逃亡者」と雰囲気もやや同じだ。訴えても誰も信用しない。いや、目の前の人物も宇宙人かもしれないという疑心暗鬼がこのシリーズの特徴だった。ちょっとした表面ではわからない不気味さが何ともいい。

クナ/ミュンヘン・フィルのライヴ

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収録情報】
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』op.35
・レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第2番
 録音時期:1958年1月6日

・プフィッツナー:オーケストラのためのスケルツォ
 録音時期:1957年1月6日

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

 いずれもドイツ博物館の大ホールでのライヴと言われている。プフィッツナーは他のレーベルでも出ていたが、他は少なくとも自分は初めて接するものである。クナがレスピーギを振ること自体が驚きでもある。3つとも録音状態は良好であった。レパートリーもこちらが思っているほど狭くはないという証拠だ。拍手が鳴りやまないうちに素っ気なく演奏を開始するのは相変わらずのようである。

 

『マクベス』全曲 ノーブル演出、ルイージ&メトロポリタン歌劇場

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『マクベス』全曲 ノーブル演出、ルイージ&メトロポリタン歌劇場、ネトレプコ、ルチッチ、他(2014 ステレオ)
● ヴェルディ:歌劇『マクベス』全曲

 アンナ・ネトレプコ(マクベス夫人)
 ジェリコ・ルチッチ(マクベス)
 ルネ・パーペ(バンクォー)
 ジョセフ・カレヤ(マクダフ)、他
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
 ファビオ・ルイージ(指揮)

 演出:エイドリアン・ノーブル

 収録時期:2014年10月11日
 収録場所:ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)

>ヴェルディが敬愛するシェイクスピアに初めて取り組んだ『マクベス』。メトロポリタン歌劇場2014-15シーズンのオープニング演目となった『マクベス』は、マクベス夫人にネトレプコが起用され、「夢遊の場」で素晴しい歌唱と演技を披露しました。世界のヴェルディ・バリトンのルチッチも、マクベスの心の葛藤を見事に演じています。人気と実力を兼ね備えたパーペの、ドラマティックで圧倒的な声の威力、そしてカレヤの美声など、共演者も豪華な布陣が組まれています。ルイージが圧倒的な緊迫感を保ちながら繊細さを欠かさない指揮で、この作品の本質に迫る名演。俳優のアニタ・ラチヴェリシュヴィリによる、バックステージ・インタビュー(約16分)も合わせてお楽しみください。(ユニバーサルIMS)

 このプロダクションはかつてレヴァイン指揮で映像になっているもののようだ。同じ演出家で同じタイトルロールに上演だったと記憶している。シェークスピアの戯曲だから、もっと格調の高いものというイメージだが、変に現代化しているために、やはり南米かアラブあたり紛争みたいなふうになってしまっている。ただ、前の舞台よりはいくぶんマシにはなっているようにも見える。今回はファビオ・ルイージの指揮に代わっていて、音楽の表現も鋭角的に感じられる。

『ペトルーシュカ』 グーセンス&ロンドン交響楽団

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『ペトルーシュカ』 グーセンス&ロンドン交響楽団
【収録情報】
● ストラヴィンスキー:バレエ組曲『ペトルーシュカ』(1911年版)
ユージン・グーゼンス指揮 ロンドン交響楽団
録音時期:1959年5月
録音場所:ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)

>SACDハイブリッド盤。意外にもグーセンスは、『ペトルーシュカ』を作曲者自身よりも早く世界初録音した指揮者でした。これはそれから四半世紀後にステレオ録音したものですが、作曲当時の雰囲気を知る演奏者による貴重な記録と申せましょう。1950年代にこれほど超大編成のオーケストラ曲を、驚くべき情報量の多さと分離、音場感の明快さで録音。それがSACD化により凄みを増しています。(キングインターナショナル)

 これは、我が家にあるソニーのBDプレーヤーがSACDプレーヤー機能を有しているので、SACDの方で聴いてみた。テレビ経由でイヤホーンからステレオコンポに接続して聴くという少しややこしい形なので、SACDの真価を発揮しているかは少々怪しい。ただ、どこか透明感のある音色で聴きやすい感じはした。

 何とも情けないスキャンダルで失脚したグーゼンスだが、20世紀前半のストラヴィンスキー解釈の粋に接したような感じがする。簡易版の1947年版ではなく、オリジナルの1911年版であるのもいい。アンセルメなども含めてこの世代はオリジナル版の採用する傾向があるのかなと思う。

 なお、帯にはバレエ組曲という表示があって、手にした折にアレレと思ったが、英語表示を見るとオリジナル完全版とあって安堵した。発売元の不手際のようである。

残菊物語(松竹京都1939年作品)

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 これは溝口監督が松竹に移って制作した作品で、京都撮影所で撮った「芸道三部作」の第1作にあたるものである。明治期の歌舞伎界が舞台で、菊五郎とそれを支える女性の物語。どちらかいうと主演の菊五郎よりもそれに寄り添う女性の描写に焦点をあてているような風がある。忍耐強いが男よりもはるかに大人という感じがする。いばっていても弱いの男という描写が戦前の日本映画からもうかがえるというのがとても面白いとも思った。

 映画はワンカットワンシーンの典型のような作品で、カメラが定位置で人物が画面の枠から出ていっても芝居が続行して声のみが聴こえたり、あるいはクレーンでずっと人物を追ったりして、役者に息の長い芝居を要求しているのがわかる。この作品の主な俳優は舞台出身者が多いのもそうした要求に応えられるからだろう。新藤兼人の「ある映画監督」でこの作品のことが触れられていて、冒頭の子守のシーンで当初演じていた撮影所所属の女優の演技が気に入らず、舞台俳優の森赫子に代わったと話が出ていたのを思い出した。

 なお、三部作で今観られるのは本作のみである。他は全て撮影所の火事で失われているというから、残念な話である。また新藤監督は花柳章太郎と森赫子のことを「女優」で扱っている。

愛すればこそ(独立映画1955年)

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 これは左翼系独立プロ活動に陰りが出た1950年代半ばに、近代映画協会の呼びかけで製作された3話オムニバス形式で作られた作品。吉村公三郎、今井正、山本薩夫の3監督が手分けして担当している。資金難などで行き詰まりつつあった中、少しでも観客を呼び込もうと企画されたもの。各話30分くらいだが、どれも貧しい人たちが懸命に生きる姿の描写である。華やいだ雰囲気はなく、生活に根差したような話ばかりで、日ごろの憂さ晴らしに観る映画とは少々違うところが、逆につらい感じがする。どれも一抹の希望めいたものを残して終わるが、それでもスカッとはいかない。だから、これで独立プロ作品が起死回生できたとは到底思えない。

第1話:吉村公三郎:花売り娘
花売り娘と銀座の雇われマダムの交流が描かれるが、冒頭から花を買ってという少女たちの姿が痛々しい。主人公の少女はマダムに花を全部買ってもらって家に帰ると姉の死に遭遇する。後日、そのマダムにお礼を言いに行くと、その彼女も悲しい身の上。しかし、気力を失っていたマダムは少女の来訪で再び活動しようと決心する。話的にはたったこれだけかという程度のものである。ただ、ライトのあて方が特徴があって下から照らすような感じでそれが印象に残る。夜の何となくとげとげしいシーンに使われているのは、吉村監督らしい心理描写なのかもしらないと思った。

第2話:今井正:とびこんだ花嫁
突然荷物のように送り込まれた若い女性が、工場労働者の青年の部屋に送り込まれてくる。薄給の彼は困るのだが、郷里で勝手に段取り付けて送り出したのだ。今なら人権問題になるだろう。台詞にもある。しかし、その内二人は次第に打ち解けていく。少々コミカルな感じがして、3つの話の中では一番楽しめる内容ではあった。もう少し続きを見たい感じはあった。

第3話:山本薩夫:愛すればこそ
映画全体と同名なので、便宜的に山本監督の項に入れた。息子が学生運動で検挙されたので一家は苦しい生活を強いられていた。伯父がやってきて、学生である息子に改心させるように迫る。母は息子に面会するも信念を曲げない。だが、恋人らしい女性の登場でなんとか希望を見出すというもの。評ではもっとも生硬で独立プロの悪い要素が出ているという酷評があるが、さほど酷いとは思えなかった。ただそうにもならない閉塞感はやはり観ていて辛いものがある。

 内容もかいつまんで書いてみたが、やはり当時の観客は社会の矛盾を訴えられるよりも時代劇スターの活躍や美男美女のロマンスでも観て日常を忘れるのを求めるだろう。その反省もあって、喜劇仕立てにしたりとの工夫なされた。そしてやがてこの3監督もメジャーでも仕事を得て、主義主張をオブラートに包んで表現するということで「進化」を遂げるのだが、そうした試行錯誤の時代の産物のような作品とも云える。


若き日のバーンスタイン~RCA録音全集1945~49

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若き日のバーンスタイン〜RCA録音全集1945〜49(4CD)
【収録情報】
Disc1
● コープランド:バレエ組曲『ビリー・ザ・キッド』
(1949年6月21,23日)
RCAビクター交響楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)

● コープランド:ピアノ・ソナタ(1947年1月22日)
● バーンスタイン:7つの記念(1947年9月17日)
レナード・バーンスタイン(ピアノ)

● バーンスタイン:交響曲第1番『エレミア』(1945年2月14日 セントルイス、キール・オペラ・ハウス)
ナン・メリマン(メゾ・ソプラノ)
セントルイス交響楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)

Disc2
● ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 (1946年7月1日 ロンドン)
レナード・バーンスタイン(ピアノ、指揮)
フィルハーモニア管弦楽団

● バーンスタイン:オン・ザ・タウン(1945年2月3日)
「オン・ザ・タウン」オーケストラ
レナード・バーンスタイン(指揮)

● バーンスタイン:バレエ音楽『ファクシミリ』(1947年1月24日、ニューヨーク)
● コープランド:ジンゴ(オーケストラのためのステイトメンツより)(1949年1月23日、ニューヨーク)
● ガーシュウィン:パリのアメリカ人(1947年12月6日、ニューヨーク)
RCAビクター交響楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)

Disc3
● ストラヴィンスキー:組曲『兵士の物語』(1947年8月11日、タングルウッド)
● ストラヴィンスキー:管楽八重奏曲(1947年8月11日、タングルウッド)
ボストン交響楽団のメンバー
レナード・バーンスタイン(指揮)

● ミヨー:世界の創造(1945年11月21日、ニューヨーク、ロートス・クラブ)
RCAビクター室内管弦楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)

● バーンスタイン:『ファクシミリ』のための習作(1947年12月24日、ニューヨーク、RCAスタジオ2&6)
● バーンスタイン:私は音楽が嫌い(5つの子供の歌)(1949年6月15日、ニューヨーク、RCAスタジオ2&6)
ブランシェ・シーボム(メゾ・ソプラノ)
レナード・バーンスタイン(ピアノ)

Disc4
● ブリッツシュタイン:『空輸』交響曲(1946年10月30日、ニューヨーク、ロートス・クラブ)
チャールズ・ホランド(テノール)
ウォルター・シェフ(バリトン)
RCAビクター・コラール
ニューヨーク・シティ交響楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)

● ブリッツシュタイン:埃まみれの太陽(1946年11月27日、ニューヨーク、RCAスタジオ2)
ウォルター・シェフ(バリトン)
レナード・バーンスタイン(ピアノ)

録音方式:モノラル
 
>レナード・バーンスタイン[1918-1990]は、アメリカが生んだ20世紀を代表する指揮者、作曲家、ピアニスト、そして教育者など多方面にわたって生涯を音楽に捧げた偉大な音楽家。当アルバムは、彼が1940年代後半にRCAに残した全録音を集大成したもので、1943年にニューヨーク・フィルの定期演奏会で急病のワルターの代役として劇的なデビューを飾る一方、自作の『エレミア交響曲』『ファンシー・フリー』『オン・ザ・タウン』の初演など、指揮・作曲の両面で認められ、人生で最初の成功を手にした時期にあたっていました。
RCAには、自作をはじめコープランドやブリッツスタインといったアメリカの現代作曲家を中心に、ミヨー、ストラヴィンスキー、ラヴェルなどの意欲的なレパートリーが録音されました。また彼の多彩な才能を象徴するように、指揮者としてだけでなく、協奏曲・歌曲の伴奏・ソナタをこなすことの出来るピアニストとしても八面六臂の活躍ぶりが記録されています。いわば世界に飛躍しはじめた若き音楽家の多彩な才能が、当アルバムに凝縮されていると言えるでしょう。日本独自企画盤。(RCA)
 これはバーンスタインが本格的な商業録音した初期のもの。これより以前にマイナーレーベルへの録音があるようだが、メジャーレーベルへの録音はこれらから始まったようである。この人はコロムビアからDGへ移ったということが印象に強いが、最初はRCAだったのである。それは文献では知っていたが、こうしてまとめてもらうとありがたい。指揮したりピアノを弾いたりと早くもその多才ぶりを発揮している。日本にも若い作曲家だが、指揮もしたりピアノも達者であるという触れ込みだったという。また、ドイツの古典ではなく、アメリカを中心とした同時代の作品や自作が録音されているのも注目したい。これらは一部例外を除けば、CBSやEMIにも再録音しているものが多い。
 
 モノラルで多分初出時はSP盤だったろうこれらの録音ではあるが、意外と状態がよく鑑賞できる。30歳前後の才気溢れるバーンスタインが堪能できる。1950年からはコロムビア中心に録音をし、NYPのシェフとなってからは周知の通りだ。
 

 

スカラ座の新演出の『アイーダ』

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● ヴェルディ:歌劇『アイーダ』全曲

クリスティン・ルイス(アイーダ:ソプラノ)
ファビオ・サルトーリ(ラダメス:テノール)
アニタ・ラチヴェリシュヴィリ(アムネリス:メゾ・ソプラノ)
マッティ・サルミネン(ラムフィス:バス)
ゲオルグ・ガグニーゼ(アモナズロ:バリトン)
カルロ・コロンバーラ(王:バス)
アゼル・ルザ=ザダ(使者:テノール)
キアラ・イゾットン(巫女の長:ソプラノ)
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ズービン・メータ(指揮)

演出:ペーター・シュタイン
装置:フェルディナント・フォーゲルバウアー
衣装:ネーナ・チェッキ

収録時期:2015年2月
収録場所:ミラノ、スカラ座(ライヴ)

 メータが指揮するスカラ座の「アイーダ」ということで取り上げてみた。ゼッフェッリの演出とは違うドイツの演出家による舞台で、至極シンプルなものであった。変な現代化もないのはいい。スカラ座のアンサンブルの手慣れた演奏は安心できる。アイーダも黒人である設定はリアルな感じだ。ただ、アレレと思ったの有名な凱旋行進の後のバレエがすっぽりカットされていることだ。普通の演奏会のようにマーチから締めの合唱にそのまま移っているのは、演出がそのバレエは不要と判断したのだろう。その凱旋の場ではバンダのブラスバンドが衣裳を着て表舞台で演奏している。アイーダトランペットはマーチングしながらの吹奏。ここでチンバッソという楽器を立って演奏しているのは初めて観たし、ピストンのあるトランペットはこの当時はないのだが、とちょっといじわるな視線を投げかけrざるを得なかった。

人形佐七捕物帖めくら狼(マキノ雅弘・滝村プロ1955年)

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真昼の円舞曲(松竹大船1949年)

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