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ウェーバー&ハイドンのミサ曲(映像)

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【曲目】
ウェーバー:魔弾の射手ミサ/ハイドン:聖チェチーリア・ミサ
(1)ウェーバー:聖なるミサ 第1番 変ホ長調「魔弾の射手ミサ」
(2)ハイドン:聖チェチーリアのミサ

【演奏】
(1)クリスティアーナ・ラキ(ソプラノ)
マルガ・シュキームル(アルト)
ヨゼフ・プロチュカ(テノール)
ヤン=ヘンドリック・ローテリング(バス)
バンベルク交響楽団・合唱団
ホルスト・シュタイン(指揮)

(2)ルチア・ポップ(ソプラノ)
ドリス・ゾッフェル(アルト)
ホルスト・ラウベンタール(テノール)
クルト・モル(バス)
バイエルン放送交響楽団・合唱団
ラファエル・クーベリック(指揮)

【収録】
(1)1986年 ヴァルトザッセン大聖堂 ライヴ収録, (2)1982年 オットーボイレン大聖堂 ライヴ収録

 どちらも教会の聖堂での演奏である。普通のコンサートではなく、式典に組み込まれたものなのか、観客もおとなしい。ハイドンのソロを務めたルチア・ポップは逝去する11年前の姿で、クライバーの「ばらの騎士」あたりで観たようなふっくらした様子とはことなり、ややほっそりとしたふうに見える。扮装しているのを割り引かないといけないとは思う。

 どちらも円熟した指揮者による演奏なので、安心して聴ける。殊にウェーバーの方は珍しい演目で、ホルスト・シュタインによるこの演奏は素晴らしい蘇演との評価は高いという。副題のオペラの題名はあるも、全く関係の作品。作曲者の名前から、知名度を広げようと誰かが付けたものという。1818年にドレスデンで作曲者自身の指揮で初演されたらしいが、このBDに出会うまでは全く知らなかった作品である。

ロッシーニ:歌劇「パルミラのアウレリアーノ」

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【曲目】
ロッシーニ:歌劇「パルミラのアウレリアーノ」2幕
ジュゼッペ・フェリーチェ・ドマーニ 台本 ウィル・クラッチフィールド比較校訂版

【演奏】
アウレリアーノ…マイケル・スパイレス(テノール)
ツェノービア…ジェシカ・プラット(ソプラノ)
アルサーチェ…レーナ・ベルキナ(メゾ・ソプラノ)
プブリア…ラファエッラ・ルピナッチ(メゾ・ソプラノ)
オラスペ…デムプセイ・リヴェラ(テノール)
リチーニョ…セルジオ・ヴィターレ(バス)
大祭司…ディミトリ・プカラーゼ(バス)
ボローニャ歌劇場合唱団(合唱指揮…アンドレア・ファイドゥッティ)
ロッシーニ交響楽団
ウィル・クラッチフィールド(指揮)
マリオ・マルトーネ(演出)
セルジオ・トラモンティ(装置デザイン)
ウルスラ・パツァーク(衣装デザイン)
パスカール・マリ(照明デザイン)

【収録】
2014年 ペーザロ ロッシーニ音楽祭 ライヴ収録

 ロッシーニは発掘される作品が多いが、これも初演直後は人気はあったものの、その後忘却の彼方に追いやられたいたようだ。この時代は同じ素材を使い回すことが多いようで、「セヴィリアの理髪師」と同じものが使われている。まず、序曲はそっくりそのまま同一の音楽。これは「イギリスの女王エリザベス」がオリジンなのだそうだが、この作品にも使われるとは驚いた。劇中にも「セヴィリアの理髪師」の序曲と同じ素材が、顔を出す。

 アルサーチェは今は女性が男装して演じるのだが、ロッシーニが唯一カストラートを念頭に音楽を付けたという。「フィガロの結婚」や「カプレーティ家とモンテッキ家」、「ばらの騎士」など男装が登場すると、どことなく中性的であり、また同性愛風にも見えて、少し観る方も斜に構えてしまいそうである。史実とは異なる結末でハッピーエンドで終わっているみたいだが、これが舞台上に提示されるという極めて変わった演出もある。面白いのは通奏低音を担当するチャンバロとチェロの奏者が舞台に上がって、演技までしている点。これも意図がよくわからないのだが、チェンバロ担当の女性はなかなかの演技者だった。

 オケは音楽祭専用のものだろうか。実体はコーラスと同じ劇場のオケかもしれない。

プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」(グライドボーン音楽祭)

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【収録情報】
・プッチーニ:歌劇『ジャンニ・スキッキ』全曲

 アレッサンドロ・コルベッリ
 フェリシティー・パーマー
 マッシモ・ジョルダーノ
 サリー・マシューズ、他
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴラディーミル・ユロフスキー(指揮)

 演出:アナベル・アーデン

 収録時期:2004年7月11日
 収録場所:イギリス、グラインドボーン歌劇場(ライヴ)
 
 グライドボーン音楽祭の映像は数多くリリースされている。これはラフマニノフの歌劇「けちな騎士」と同日に舞台にかかった演目のようだ。時間的にはこちらが短く、こちらを先にやったと推量する。
 
 ご存知のようにプッチーニが唯一手掛けた喜劇のオペラである。ただ、ブッファというにはややヴェリズモ風なので、当然ロッシーニあたりの作品とは趣が異なる。オリジナルでは1299年頃という時代設定。三部作中一番昔ということになるが、この舞台では19世紀末あたりの雰囲気ではある。だが、あまり奇抜な現代化は図られてないので、違和感はあまりない。ユロフスキーの解釈はエッジをきかせて、金管などを適宜鋭く鳴らせていて、メリハリがある。全体流して観るとすんなりと最後まで行く。有名な「私のお父様」も粘らず、あっさりと処理しているという感じであはある。全般的に芝居もうまいので楽しめる舞台にはなっている。こうしたコミカルな演目は所作も一緒に鑑賞すべきかと思う。
 
 なお、亡くなった当主は普通人形が置いてあったり、見えないようにしてあったりだが、ちゃんと役者が寝ていた。パントマイム専門の女優のようで、ラフマニノフにも名前がクレジットされていた。

『ファルスタッフ』全曲 トスカニーニ&VPO(1937 モノラル)

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・ヴェルディ:歌劇『ファルスタッフ』全曲
 マリアーノ・スタビレ(Br:ファルスタッフ)
 ピエトロ・ビアシーニ(Br:フォード)
 ディノ・ボルジョーリ(T:フェントン)
 アルフレード・テデスキ(T:カイウス)
 ジュゼッペ・ネッシ(T:バルドルフォ)
 ヴィルジーリオ・ラッツァーリ(B:ピストーラ)
 フランカ・ソミーリ(S:フォード夫人)
 アウグスタ・オルトラベッラ(S:ナネッタ)
 ミタ・ヴァサーリ(Ms:ページ夫人)
 アンゲリカ・クラヴチェンコ(Ms:クィックリー夫人)
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮)

 録音時期:1937年8月9日
 録音場所:ザルツブルク祝祭劇場
 録音方式:モノラル(ライヴ)
 トスカニーニは1937年のザルツブルク音楽祭に出演して、ワーグナーの「ニュールンベルクのマイスタージンガー」とヴェルディの「ファルスタッフ」を指揮している。これはその時のライヴである。ワーグナーの方は以前から録音の存在を知っていて、リリーズされるや即入手したが、こちらは知らず、先日入手したようなしだである。
 
 80年近くも前のものだから、劣化は当然生じているのだが、意外とこの種の録音の中では聴きやすい部類かもしれない。本当は舞台の映像があればと思うが仕方がない。音から想像するだけだが、その想像が容易いというのは、この演奏がかなり出来であったと思われる。トスカニーニはどちらかというとあまり響かせないように指揮しているようにも聴こえるが、録音の特性なのかもしれない。VPOもワーグナーと違ってどこか優美さをかなぐり捨てたような熱演ぶりである。歌手は往年の名手揃ってとあるが、歌手事情には疎いので、知らない人ばかりであった。

ヴェルディ:歌劇「オテロ」(全曲)~デル・モナコ1954年版

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【演奏】
マリオ・デル・モナコ(T:オテロ)
レナータ・テバルディ(Sp:デズデモナ)
アルド・プロッティ(Br:イアーゴ)
フェルナンド・コレナ(Br:ロドヴィーコ)
ピエロ・デ・パルマ(T:カッシオ)
ピエル・ルイジ・ラティヌッチ(Br:モンターノ)
ルイザ・リバッキ(Ms:エミーリア),アンジェロ・メルクリアーリ(T:ロデリーゴ)
ダリオ・カセッリ(Bs:伝令)
アルベルト・エレーデ(指揮) ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団&合唱団

【録音】
1954年7~8月、ローマ
 
 マリオ・デル・モナコは「オテロ」のタイトル・ロールを十八番にしていて、日本でも披露してくれた。そのNHKイタリア・オペラで歌った折も、この録音と同じアルベルト・エレーデが指揮していた。そして、主要キャストは後年同じデッカがウィーンでカラヤンを起用して録音した時とほぼ同じ陣容であることも注目したい。
 
 VPOとこの音楽院のオケを比較するのは酷だが、自分としては妙な擬音が使われていないこちらの方がいいと思う。また、イタリアのオペラらしいのもこちらではないのかと思ったりする。ウィーン盤がやや国際的なのに比べて、こちらはローカル的な良さと言ったらよかろうか。

ロッシーニ:歌劇「イタリアのトルコ人」

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マリア・カラス(ソプラノ:フィオリッラ)
ニコラ・ロッシ=レメーニ(バス:セリム)
ニコライ・ゲッタ(テノール:ドン・ナルチーソ)
フランコ・カラブレーゼ(バス:ドン・ジェローニオ)
ヨランダ・ガルデx-ノ(メゾソプラノ:ザイーダ)
ピエロ・デ・パルマ(テノール:アルバザール)
マリアーノ・スタービレ(バリトン:詩人)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
1954.8.31~9.8 スカラ座でのセッション録音

 珍しい作品なので、手を出してしまった。しかも、当初は「アルジェのイタリア女」と現物を間近に見るまで思いこんでいた。調べてみるとこの作品はその二番煎じということで、初演当時叩かれていることがわかった。それでも当初は人気作だったようだが、何故か忘れられた作品になってしまった。結局、見直しが本格化したのは1970年代からということだが、この録音は見直しがまだ進んでいない時代の実験的なものであるようだ。ガヴァッツェーニの主導によるもので、今上演されるアリアがなかったりすることはあるようだが、手探り状態での蘇演という意味で貴重なのかもしれない。

 中味はイタリアの有閑未亡人の他愛ないお遊びといった趣で、あまりレチタティーヴォのないオペラではある。例によってながら鑑賞だったので、あまり集中して聴いたわけではないが、楽しげなオペラには感じた。そして通販サイトを見ると本作の映像ソフトも存在していることがわかった。ヴェルディなどと違って、埋もれた作品の多いロッシーニでややきりがなさそうにも感じた。

ラフマニノフ:歌劇「けちな騎士」(グライドボーン)

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アルバート(男爵の息子):リチャード・バークリー=スティール
召使:マキシム・ミハイロフ
ユダヤ人金貸し:ヴィアチェスラフ・ヴォイナロフスキー
伯爵:アルベルト・シャギドゥリン
男爵(けちな騎士):セルゲイ・レイフェルクス
死神:マティルダ・レイザー

管弦楽:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ウラディミール・ユロフスキー
演出:アナベル・アーデン

2004.7.11 グライドボーン祝祭劇場(ライヴ)

 先に記事にした「ジャンニ・スキッキ」と同日にかけられた演目である。これも1幕3場からなる1時間程度の作品。DVDの時間表示が95分とあったが、これはインタビューなどの特典映像も含めたもの。オペラの時間は65分となっていたが、後のカーテンコールのシーンも含めてものなので、約1時間のものである。したがって、どちらが先だったかはわからない。

 プッチーニの方がコミカルなのに対して、こちらひどく陰惨なオペラである。男爵は本当に守銭奴のような人物で、息子や公爵が彼の財産を狙っている。最後は精神的に崩壊してしまい窒息死してしまう。女性は一切登場しない。今回の演出ではパントマイムを使って空中アクロバットをやらせているが、どうもこれは男爵にとりついている死神のようである。音だけのCDではなかなかわからない部分だが、いつもこういう演出が取られるかはわからない。演じているのは若い女性のダンサーのようで、彼女は「ジャンニ・スキッキ」では亡くなった当主の遺体に扮していたので、唯一のダブル出演といったところか。ずっと寝ていた役から一転アクロバットの演技はこの人の真骨頂かもしれない。

 ユロフスキーの指揮は安定している。これは彼の故国の作品でもあって、今まで接したロッシーニやプッチーニよりも共感は強かったのではなかろうか。

 あとで通販リストを眺めていたら、何のことはない「ジャンニ・スキッキ」とカップリングとなったBDも発売されていることに気付いた。日本語字幕はないものの、スペースの節約になったのに、と思った。

私はシベリヤの捕虜だった(阿部豊、志村敏夫)(東宝1952年)

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siveria.blog1.jpgsiveria.blog2.jpg これはアメリカのCIAが資金を拠出して製作された映画という。東宝が製作して1952年の4月に公開されたが、最近まで現存しないとされた幻の作品だった。戦後作品でもこのような体たらくだ。ところが米国の公文書館から、タイ向けに字幕が施されたプリントが発見されて、自主上映の形でリバイバルされたものだ。

 会社クレジットとスタッフ・出演者のクレジットの代わりにタイ語の説明に差し替えられたもので、しかも一部音声も欠落という不完全な形ながら、何とか筋はわかるものである。こういう内容は意外と少ない。この後、小林正樹監督の「人間の条件」(第5・6部)や山本薩夫監督の「不毛地帯」の前半部分があるくらいである。

 自分のような戦争未体験者でも辛い内容である。しかも、当時のソ連の扱いはとても人間の所業ではないことはわかる。国際法にも反する行為であり、平和にする罪が普遍的にあるとしたら、スターリンもヒトラー同様に裁かれるべき存在だと思っている。


ラーメン大使(島耕二・大映東京1967年)

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ラーメン大使

 1967年2月11日に公開されたフランキー堺主演のコメディ。大映作品というのが彼の主演作では珍しい部類に入るのかもしれない。映画自体は以前から浅草あたりの映画館でリバイバル上映されていて、知っていたが、観るのは最近になってからだ。

 共演は「ブーちゃん」の愛称で知られた市村俊幸や、テレビ・ドラマの「図々しい奴」で人気のあった丸井太郎など懐かしい人たちが共演していた。まず、日本兵に助けてもらって無事にこの世に生まれた青年が、その兵隊を訪ねて来日するというもの。しかし、麻薬密輸が絡むドトバタ喜劇である。主人公が台湾からやってくると言うのも当時の世相の一つ。ただどこか、民生っぽい青年団なんかも登場して、風刺も入れた意図があったのだろうか、あまり効果はないような印象だった。原作が花登筐というのは少々意外だった。

アントルモンによるチャイコフスキー&ラフマニノフの協奏曲

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①チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23  1961.10.9
②ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18       1960.2.2
フィリップ・アントルモン(Pf)
レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
 
 ブロ友の方が取り上げておられたので、久々に取り出してみる。アントルモンは1934年の生まれのフランスのピアニスト。日本の有名人では石原裕次郎らと同い年である。もう81歳になるのだが、録音当時は26~7歳の青年期である。
 
 若々しい演奏ぶりで、それが録音の良さも効果を発揮して、聴きやすい。バーンスタインも元気溌剌としていたころだから、余計に気持ちのいい演奏になっている。カップリングはLP時代から、よくあるものだが、驚くことに今はこの形のものは現役盤になっていない。先日、カーステレオでかけたら、ラフマニノフの第3楽章の最後のあたりで急にトレースしなくなってしまった。盤にはこれといって傷がないのにである。一応埃を除去して何回も試みるも結果は同じ。帰って、他のプレーヤーで試聴したが、今度問題なくトレースして、いい音で鳴ってくれた。一時期経年劣化かと、あわてたが、どうもカーステレオの方に問題があったのかもしれなかった。
 
 

ロッシーニ:歌劇「イタリアのトルコ人」(カルロ・フェリーチェ)

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【曲目】
ロッシーニ:歌劇「イタリアのトルコ人」
【演奏】
太守セリム … シモーネ・アライモ(バス)
ドンナ・フィオリッラ … ミルト・パパタナシウ(ソプラノ)
ドン・ジェローニオ … ブルーノ・デ・シモーネ(バス)
ドン・ナルチーゾ … アントニーノ・シラグーサ(テノール)
詩人プロズドーチモ … ヴィンツェンツォ・タオルミーナ(バリトン)
ザイダ … アントネッラ・ナッパ(ソプラノ)
アルバザール … フェデリコ・レプレ(テノール)
カルロ・フェリーチェ劇場管弦楽団&合唱団
ジョナサン・ウェブ(指揮)
演出:エギスト・マルクッキ
再演出:エリザベッタ・クーリル
舞台装置:エマヌエレ・ルツァティ
衣装:サントゥッツァ・カリ
照明:ルチアーノ・ノヴェッリ
【収録】
2009年 ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場

 カラスのCDを聴いて、今度はステレオでしかも校訂が完成された新しいものに接したいと思って、検索したら結構映像ソフトが出ていた。ロッシーニの見直しがずいぶん進行していることをうかがわせる現象ではある。

 この映像ソフトは海外盤ながら、日本語字幕があってありがたい。映像によってだいたいの筋も明らかになったし、カラス盤ではなかった第2幕のソプラノのヒロインの後悔のアリアもちゃんと演奏されていた。ジェノヴァの劇場のアンサンブルなので、こうしたイタリア・オペラは手慣れた感じがした。よく聴くとトランペットあたりがやや荒い感じはするが、さほどの不満はなかった。オペラはやはり芝居ごと鑑賞すべきものであると改めて悟った。

決戦攻撃命令(メルヴィン・フランク、ノーマン・パナマ)(MGM1952年)

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決戦攻撃命令 [DVD]
 
 本作は1952年の大晦日に本国で公開されたもの。日本公開は1961年1月10日とある。すぐに公開されなかったのは、原爆が関係していると思われる。1953年当時はまだそうした題材が憚れるという雰囲気があったろう。もっとも「長崎の鐘」「長崎の歌は忘れじ」「原爆の子」「ヒロシマ」と結構日本側は映画を製作されているが、落とした方のアメリカの映画はアメリカ自体が許さなかったのかもしれない。
 
 これは広島に原爆を投下したエノラ・ゲイの機長、ティベッツ大佐が主人公。最初は北アフリカ戦線でドイツ軍に空襲を行っていたB-17の機長。実績を買われて新型のB-29のテストパイロットとして本国へ戻るところから話は展開する。物語は妻の回想という形式。1945年のワシントンの空港に夫を出迎える折の思い出として語られる。戦争映画ではあるが、あまり戦闘シーンはない。ドイツ兵も日本兵も画面には出てこない。激しい訓練と原爆攻撃に関して厳重な秘密保持の様子が描かれる。家族にも秘匿しなければならない。妻が罪もない子供たちが爆撃などで殺されているというと主人公は色をなして怒る。爆弾投下で人が大勢死んでいると思うと気が重いと上官には心情を吐露するも気にしないことにしていると言う。その痛いところを突かれるので忸怩たる思いがあるのだろう。戦争を早く終結するためのもので、50万人のアメリカ兵の命を助けるのだ。しかし、市民10万人が死ぬことになるという台詞はやはり日本人としては納得がゆかないものを感じる。
 
 映画では本国の訓練からいきなり原爆投下になるが、模擬爆弾を使って空襲で実地訓練していたということは抜けている。「エノラ・ゲイ」も東京や大阪の空襲に参加していたのではと思ったが、この映画は違っていた。
 
 さて、原爆投下は50万人の命を救うなんていう目的ではない。これは壮大な人体実験である。しかも、自分らと同じ白人のドイツ人ではなく、黄色人種の日本人だから気が楽であったこと。それに戦後対立が予想されるソ連への隠し玉として有効という冷徹な政治的思惑もある。しかし、映画はそういうことは当然触れていない。また「マンハッタン計画」には多くのソ連のスパイやシンパがいて、スターリンには筒抜けだったようだ。

ヴィトルト・ロヴィツキ 生誕100年BOX

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『ヴィトルト・ロヴィツキ 生誕100年』

【曲目】
カロル・シマノフスキ(1882-1937):
演奏会用序曲ホ長調 Op.12(1904-1905)(*)
交響曲第3番「夜の歌」Op.27(1914)(+)
バレエ「ハルナシェ」Op.55(#)

ステファニャ・ヴォイトヴィチ(ソプラノ(+))
カジミェシュ・プステラク(テノール(#))
ワルシャワ国立フィルハーモニー合唱団(+)
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
録音:1980年(*)、1962年(+)、1975年(#)、ワルシャワ、ポーランド


ミチェスワフ・カルウォヴィチ(1876-1909):
交響詩「永遠の歌」Op.10(1906)(*)
交響詩「オシヴィエンチモフ夫妻、スタニスワフとアンナ」Op.12(1907)(*)
ヴァイオリン協奏曲イ長調 Op.8(1902)(+)

ヴァンダ・ヴィウコミルスカ(ヴァイオリン(+))
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年(*)、1962年(+)、ワルシャワ、ポーランド


アンジェイ・パヌフニク(1914-1991):悲劇的序曲(1942)(*)
グラジナ・バツェヴィチ(1909-1969):
管弦楽のための協奏曲(1962)(+)/三楽章の交響的音楽(1965)(+)
ヴォイチェフ・キラル(1932-2013):
交響詩「コスチェレツ山 1909年」(1976)(#)/交響詩「クシェサニ」(1974)(**)

ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年(*)、1965年(+)、1977年(#)、1976年(**)、ワルシャワ、ポーランド


リャードフ(1855-1914):魔法にかけられた湖(1909)
ムソルグスキー(1839-1881):
オペラ「ソロチンスキの定期市」(1874-1880)から ゴパーク
ムソルグスキー/
リムスキー=コルサコフ(1844-1908)編曲:交響詩「禿山の一夜」(1860-1886)
チャイコフスキー(1840-1893):交響曲第5番ホ短調 Op.64(1888)

カトヴィツェ・ポーランド国立放送交響楽団
録音:1956年、カトヴィツェ、ポーランド


シューマン(1810-1856):ピアノ協奏曲イ短調 Op.54(1841-1845)(*)
ブラームス(1833-1897):ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83(1881)(+)

アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ(ピアノ(*))
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ(+))
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
録音:1955年(*)、1960年(+)、ライヴ、ワルシャワ、ポーランド

 ヴィトルト・ロヴィツキというポーランドの指揮者の生誕100周年を記念したBOX。主に母国での活動状況を記録したものである。よせばいいのに、ついでにLSOを振ったドヴォルザークの交響曲全集も一緒にGet。こりらはメジャーのデッカへの録音で、後日また取り上げたいと思っている。

 これは放送音源やライヴも含まれているようで、モノラルもあれば、ステレオでも少しこころもとない状態の録音もあるが、この指揮者の活動の一端を知るには、格好のものである。何しろいろいろな作曲家の作品があり、有名な曲もさることながらマニアックな作品もあって面白い。有名な曲でもチャイコフスキーの交響曲第5番も他の演奏にはないアーティキュレーションがあったりする。指揮者の解釈のあり方なのだろう。また、どの曲も早めのテンポで推進力があって、心地よい。

ロヴィツキ/ドヴォルザーク:交響曲全集

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【曲目】
CD1
交響曲 第1番 ハ短調 B.9《ズロニツェの鐘》
序曲《謝肉祭》Op.92
同《わが家》Op.62
CD2
交響曲 第6番 ニ長調 Op.60、B.112
同 第2番 変ロ長調 Op.4、B.12
CD3
同 第2番 変ロ長調 Op.4、B.12
同 第4番 ニ短調 Op.13、B.41
CD4
同 第3番 変ホ長調 Op.13、B.41
同 第5番 ヘ長調 Op.76、B.54
CD5
同 第7番 ニ短調 Op.70、B.141
同 第8番 ト長調 Op.88、B.163
CD6
同 第9番 ホ短調 Op.95、B.178《新世界より》
序曲《オセロ》Op.93
同《フス教徒》Op.67
【演奏】
ロンドン交響楽団
ヴィトルド・ロヴィツキ(指揮)
【録音】
1965年-1971年
 
 引き続きロヴィツキで、今度はドヴォルザークの交響曲全集。上記のように6年の幅のある期間で完成された。これは元々フィリップスの製作だった。ほぼ同時期に同じオーケストラを使って、イシュトヴァン・ケルテスがデッカに全集を入れている。対抗していた構図ではある。
 
 これも先に書いた地元のアンサンブルを使った録音同様に早めのテンポである。殊に有名な「新世界より」はそれが目立つ。そして第1楽章のリピートは楽譜通り、リピートしている。ケルテスが交響詩や序曲といった管弦楽曲も多く、入れているのに、こちらは序曲が4曲のみ。そういえばケルテスのBOXを選んだのもそうした小品が多かったからだったのを思い出した。やや劣化した感じはあるが、鑑賞に支障はない。やはり6番までと7番以降とは構成といい、メロディといい格段の差があるようにも感じる。

望楼の決死隊(東宝1943年)

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 1943年4月に公開された今井正監督の作品。北鮮地方の国境を警備する警官隊の話である。冒頭に昭和10年(1935年)頃と出る。したがって、本格的な戦争状態ではないものの、満州で討伐されたパルチザンがこの地帯の山岳に入り込み、警備隊と局地的に摩擦を起こしていた時代である。興味あるのは、警備隊にも朝鮮出身者が日本人に交じっていることと、まだ日本名にはなっていないことである。そして、酒宴が始まると半島出身の警官が、朝鮮民族の歌や踊りをするシーンがあることだ。内鮮一体を掲げていた朝鮮への施策の反映した映画である。出演者も、朝鮮映画で活躍していたスタッフや俳優が起用されている。そういう背景でこの映画を見ないとこれはとんでもない映画ということになってしまう。

 内容はパルチザンたちが、警察の施設も含む集落を襲い、もう少しで全滅するところへ応援隊がやってきて、事なきを得るというものだ。製作にあたり、今井正監督は評論家の双葉十三郎に相談したという。アメリカ映画に詳しい双葉は「ベンガル騎兵隊」や「ボージェスト」などを挙げて、あの呼吸でやってみろとアドバイスしたそうだ。戦後、あまりアクションの多い作品を撮らなかった今井作品には珍しい活劇になったのは、そういう背景がある。宣伝映画ながら、あまりそういうことが前面に出ず観客を喜ばせたようである。

 もう一つ、おまけの話がある。戦後、今井監督は日本共産党員となるが、北朝鮮は入国を最後まで拒んだという。それはこの映画に起因がある。本作の舞台は北朝鮮の領土。国境はこの当時は満州とのそれだが、今は脱北者のニュースで有名になった中朝国境地帯である。親日的な朝鮮の人たちが出てくるのと、襲いかかるのは彼らの国を建てた人たちに繋がるからだ。まさに映画は時代の鏡であると思う。

 


歌劇 『サトコ』全曲 ゲルギエフ&キーロフ歌劇場

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ウラディミール・ガルーシン(T:サトコ)
ワレンチーナ・ツィディボワ(S:ヴォルコヴァ)
マリアンナ・タラッソヴァ(MSリュバヴァ)
ブラド・ミンジルギエフ(B:ワリャーグの商人)
アレクサンドル・ゲルガロフ(Br:ヴェネツィアの商人)
ゲガム・グリゴリアン(T:インドの商人)
セルゲイ・アレクサーシン(B:海の王)
ラリーサ・ディアドコヴァ(A:ネジャータ)
ニコライ・プティリン(B:老巡礼)

ワレリー・ゲルギエフ指揮サンクト・ペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団・合唱団・バレエ団


 珍しい演目の映像ソフト。フィリップスが商品化したものの、国内盤はなく、英語字幕の鑑賞でやや骨が折れる。これはどこかファンタジックな内容で、サトコというノヴゴロドの商人がすがりつく妻を放り出して、夢みたいなものに取りつかれるも、かつての騎士の亡霊である巡礼によって、現実に戻るという話である。オペラは7つの情景からなるもので、やや冗長な感じはするが、リムスキー=コルサコフの巧みなオーケストレーションを堪能できるし、有名な「インドの歌」を含まれていることも魅力だ。「インドの歌」はいろいろな形態に編曲されていて、メロディを聴くとわかる人も多いと思う。それがどういうところで歌われるかもわかって、更に理解が深まる。


ニールセン:協奏曲集/アラン・ギルバート&NYP

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【収録情報】
ニールセン:
1. ヴァイオリン協奏曲 Op.33 (1911-1912)    
ニコライ・ズナイダー(ヴァイオリン)
2. フルート協奏曲 (1926)               ロベール・ランジュヴァン(フルート)
3. クラリネット協奏曲 (1928)             アンソニー・マックギル(クラリネット)

アラン・ギルバート指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
録音時期:2012年10月10-13日(1,2)、2015年1月7-10,13日(3)
録音場所:ニューヨーク、リンカーン・センター、エイヴリー・フィッシャー・ホール
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)

 ニールセンの生誕150周年を記念して、開始されたプロジェクトの締めは3つの協奏曲のアルバムである。レーベルは作曲家の母国の「DACAPO」。

 ニューヨ^ク・フィルは、バーンスタインの時代にも、これらのうち、ヴァイオリン協奏曲以外を録音しているし、交響曲も半分は録音しているので、馴染みのある作曲家なのかもしれない。シベリウスでないところが、面白いし、心憎い感じもする。少しマニアックなところがいいと思う。

バイロイトのクリュイタンス

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【収録情報】
Disc1-3
● ワーグナー:『ローエングリン』全曲(録音時期:1958年)

 シャンドール・コーンヤ(ローエングリン)
 レオニー・リザネク(エルザ)
 アストリッド・ヴァルナイ(オルトルート)
 エルネスト・ブランク(テルラムント)
 キート・エンゲン(ハインリヒ)
 エーベルハルト・ヴェヒター(軍令使)、他


Disc4-6
● ワーグナー:『タンホイザー』全曲(録音時期:1955年)


 ヴォルフガング・ヴィントガッセン(タンホイザー)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ヴォルフラム)
 グレ・ブロウェンスティーン(エリーザベト)
 ヘルタ・ヴィルヘルト(ヴェーヌス)
 ヨゼフ・グラインドル(ヘルマン)、他


Disc7-10
● ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』全曲(録音時期:1957年)


 グスタフ・ナイトリンガー(ザックス)
 ヨゼフ・グラインドル(ポーグナー)
 エリーザベト・グリュンマー(エーファ)
 ヴァルター・ガイスラー(ヴァルター)
 カール・シュミット・ヴァルター(ベックメッサー)、他

アンドレ・クリュイタンス指揮 バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団
 
 クリュイタンスは、フランスものだけでなく、ドイツものもよく指揮したということを聞かされていた。ベートーヴェンはBPOとのEMIのセッション録音があるが、バイロイトにも登場したというのは文献のみ知識だった。それがこうして録音として聴けるのはありがたい。モノラルながら、「ローエングリン」の第1幕を聴いている限りはたいへん聴きやすい状態のものである。放送音源としてバイエルンの放送局が所蔵していたものだろうか。とにかく、鮮明な音質である。オーケストラも透明な音のように聴こえるのは気のせいか。トスカニーニが登場した時のように、新鮮な印象を与えたのではなかろうか。

北海道時代のC11364

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 このC11364は米子機関区に長らく所属し、境線の運行や米子駅構内の入換に従事していた。松江駅でもD51の後について出雲市の方まで行く姿も見たことこがある。木次線や大社線の運行も担ったのかもしれない。その後、北海道へ転属してその地で廃車になったというが、その晩年の北海道での写真を見つけた。士別線の貨物列車ということだが、子供のころから馴染んだ機関車が遠隔地で稼働している姿を確認できてよかったと思っている。

アレクサンドル・モソロフ:鉄工場&ピアノ協奏曲 他

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アレクサンドル・モソロフ:鉄工場&ピアノ協奏曲 他
1..鉄工場 Op.19
2..ピアノ協奏曲 第1番 Op.14
3..コルホーズにトラクターが到着
4..チェロとピアノのための「伝説」Op.5
5..ピアノ・ソナタ 第1番 Op.3
6.4つの新聞記事 Op.21
演奏: シュテッフェン・シュライエルマッハー(ピアノ・・・・2,4,5,6)
リンゲラ・リームケ(チェロ…4)/ナターリヤ・プシェニチニコワ(ソプラノ…6)
ベルリン放送交響楽団/ヨハネス・カリツケ(指揮)(1~3)

録音 2014年2月 ベルリン ベルリン放送局
 
 全曲を通じて力強い音の応酬に終始し、いかにも「社会主義リアリズム」を具現化したような力強い音楽です。作曲家のアレクサンドル・モソロフ(1900-1973)は現代音楽協会の室内楽部長を経て、放送局の音楽編成を務めた人ですが、様々な理由をつけてロシア音楽界から追放され、最終的には「反ソビエトのプロバガンダ」を理由に逮捕され、強制労働に送り込まれてしまい、生還後も厳しい生活を強いられました。彼の名誉が復権するのは、死後まもなくでした。また彼の作品の一部は破棄を強いられたとも言われ、現存する作品はあまり多くありません。そんなモソロフの作品を演奏するのは、奇才ピアニスト、シュライエルマッハー。また当時の新聞記事をそのまま歌にしたという「4つの新聞記事」も含め、実に興味深いアルバムとなっています。(発売元コメント)
 
 モロソフの作品は巻頭の「鉄工場」は聴いたことはあるものの、他は初体験。きっと体制御用作曲家だろうと思っていたら、その逆だったこともこの度知ったような始末である。それでも、彼はソヴィエト政権に忠実なつもりだったのではないか。何も悪いことをしていないのに、ならず者にされてしまった、と嘆いていたそうだが、そういうことを平気でやったのがスターリンとその時代のソヴィエト・ロシアなんだろうと思う。彼らはナチス政権同様に犯罪的な集団であり、かつ非人間的な権力者だったとつくづく思う。
 
 カプリッチオならではの企画で、以前ブゾーニなどの作品群も出していた。今回演奏しているのはハインツ・レーグナーなどが指揮していた、旧東側の放送局のオケである。壁崩壊後、メンバーもかなり入れ替わったりしているだろうが、それでもまだその当時の楽員も残っているのではなかろうか。そういう人たちはどういう思いで、演奏したのだろうか。
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