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ヤンソンス&コンセルトヘボウ管弦楽団ライヴ録音集1990~2014①

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ヤンソンス&コンセルトヘボウ管弦楽団ライヴ録音集1990〜2014(13CD+DVD)

Disc10 [77:02]
● ロッシーニ:『どろぼうかささぎ』序曲 [10:10]
 録音:2014年9月21日/アムステルダム、コンセルトヘボウ(AVRO)

● ベリオ:管弦楽のための4つの奉献曲 (1978-1989) [11:41]
 録音:2010年9月5日/ベルリン、フィルハーモニー(RBB)

● プーランク:オルガン協奏曲 [24:39]
 レオ・ファン・ドゥセラール(オルガン)
 録音:2008年8月28日/アムステルダム、コンセルトヘボウ(AVRO)

● ルイ・アンドリーセン:ミステリエン(Version No.1) (2013) [30:32]
 録音:2013年11月3日/アムステルダム、コンセルトヘボウ(AVRO) 世界初演


 先日、ヤンソンスのACO告別演奏会の様子が放映されていたが、今回1990年から2014年まで、彼が指揮した演奏会の録音が14枚組で出た。以前よりもかなり価格を下げての発売ではある。また、14枚の内、1枚はDVDで映像での収録である。

 さて、最初に取り上げるのは10枚目の上記の曲目。最後のアンドリーセンは昨日記事にした「ホライズン」で映像になっていたものと同一の演奏でここでは、音だけのものである。ロッシーニ以外は全てバリバリの現代曲である。また、ベリオはベルリンでのライヴで収録も同地の放送局である。そして、ベリオにしろアンドリーセンにしろ音響を重視したような作品であるし、プーランクは協奏曲とはなっているが、管楽器の代わりにオルガンを当てはめたようなユニークな試みである。

 

マリス・ヤンソンス&ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団/ライヴ放送録音集1990-2014②

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[CD 7] (72'52)
・バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽Sz. 106, BB 114 29'58
録音:2010 年9月5日/ベルリン、フィルハーモニー(RBB)
・ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」op. 84~序曲 8'59
録音:2006 年9月11日/ベルリン、フィルハーモニー(Deutschlandradio Kultur)
・ベートーヴェン:交響曲第5 番ハ短調op. 67  33'55
録音:2008 年5月29日/アムステルダム、コンセルトヘボウ(AVRO)

 ヤンソンスBOXの次は、一転有名な古典的レパートリーから成っている。このBOXは放送音源ながら、音がよく取れていて、内声まで聴き取れる。ベートーヴェンの第5番の終楽章の1stトロンボーンの高音などしっかりとわかるから凄いと思った。やや遅めのテンポながら、あまり感情移入のない指揮ぶりと言ったらよいだろうか。既にバオエルン放送交響楽団との演奏で経験済みだが、そんなに変った様子はないかと思う。バルトークの方も他の演奏では気づかなかったところが聴こえたりするのだが、あるいはヤンソンスが強調したのかもしれない。

戦争と平和 再見

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  阿佐ヶ谷ラピュタで、池部良特集をやっていて、その中の1本として上映していた。スクリーンで観るのは、32年ぶりである。

 時間まで池部良のこの映画に対する評価がよくないことを示す文章を読んだが、山本薩夫監督や宮島義勇カメラマンへの反発は相当なものだった。ことに後者の役者をものみたいに思っている態度には頭にきたと言ってから、現場の雰囲気も窺えて、興味を持った。彼の指摘は山本薩夫監督の欠点を的確についていた。

バシュメット/ウォルトン:ヴィオラ協奏曲、シュニトケ:パッサカリア

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ウォルトン:ヴィオラ協奏曲、シュニトケ:パッサカリア バシュメット、キタエンコ&モスクワ・フィル
【収録情報】
① ウォルトン:ヴィオラ協奏曲               ユーリ・バシュメット(ヴィオラ)
② シュニトケ:管弦楽のためのパッサカリア
ドミトリ・キタエンコ指揮 モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1982年4月6日  録音場所:モスクワ音楽院  録音方式:ステレオ(ライヴ)

 これも通販では見逃していたもの。昨年の秋に出たCDではあるが、全く知らなかった盤である。既にバシュメットによるウォルトンはプレヴィンとのRCA盤があって、それで満足していたが、ライヴ録音であるのと、シュニトケの管弦楽曲があったのが目を惹いた。

 ステレオ録音ではあるが、やや平板な感じの録音でドライな響きであって、状態は万全ではないが、実演ならではの熱は感じられた。ウォルトンの協奏曲ではチェロ協奏曲が有名だが、こちらはやや影が薄く地味な感じのする作品。どちらも何かブツブツと小言を言っているような音楽で明るくはない。よくも同じ傾向の曲を並べたものだと感心する。


INA(フランス国立視聴覚研究所)シリーズコンドラシン&フランス国立放送管弦楽団①

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【収録情報】
①シベリウス:交響曲第2番ニ長調Op.43
② ラヴェル:マ・メール・ロワ
 
キリル・コンドラシン指揮 フランス国立放送管弦楽団
 
録音時期:1974年11月6日
録音場所:シャンゼリゼ劇場
録音方式:ステレオ(アナログ/ライヴ)
 
 コンドラシンというと、旧ソ連のオケとの録音が多く、しかも殆どがロシア音楽というイメージがあったが、何とソビエト国内ではマーラーの大家だったし、西側に出てきて、チャイコフスキーやショスタコーヴィチなどの他にシベリウスやフランスものなどをこなすマルティな指揮者と知って、興味が湧いた指揮者だった。亡命などする人ではないと思ったが、晩年はソ連から本当に逃げてきて驚いたものだ。
 
 シベリウスはACOとのものもあるが、これはもっと前の時代のもので、どこかショスタコーヴィチあたりを指揮するような感じなのが面白い。北欧の暗さよりも前進的な演奏といったらよいか。残念ながらオーケストラの方が付いて行けたないようで、時折合奏が揃わずズレたりするところがある。これはライヴならではスリリングなところでもある。

ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデン 1974年3月ライヴ

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R.シュトラウス『英雄の生涯』、ドビュッシー『牧神』、シューマン:ピアノ協奏曲 ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデン(1974 ステレオ)(シングルレイヤー)
【収録情報】
① ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
② シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54
③ R.シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』 op.40

 マルコム・フレイジャー(ピアノ:シューマン)
 ペーター・ミリング(独奏ヴァイオリン:シュトラウス)
 シュターツカペレ・ドレスデン
 ルドルフ・ケンぺ(指揮)

 録音時期:1974年3月15日
 録音場所:ドレスデン、クルトゥーアパラスト
 
 本当はSACDではなく、普通のCDで良かったのではあるが、その通常仕様のものは入手困難とのことで、このシングルレイヤーのやや高めのものにした。これしたおかげで、日本語の解説に接することができたし、この巨匠とドレスデンの国立歌劇場のオケとの関係が少しわかってありがたかった。
 
 さて、R.シュトラウスに関してはEMIへのセッション録音があるが、こちらの方が何か活き活きとした感じの演奏のように思えた。数テイクを重ねあわすのではなく、一気の真剣勝負のような感じだろうか。マイクのせいか、コンマスが弾くソロの音がやや遠く聴こえてしまっているのは少し残念だが、それでも百戦錬磨の連中の演奏だから、素晴らしい演奏ではあった。メインで最後にある拍手も熱狂的だった。ドビュッシーやシューマンはおとなしい拍手だったのが、最後だけは熱を帯びていた。
 
 EMIにR.シュトラウス全集を録音したのを見た時、よく当時の東独当局が許可したなと思っていた。というのも、当局との軋轢から西へ早い段階で移っていたので、謂わば東ドイツからすれば「裏切り者」のような人物である。だが、様々な経済的情勢から外貨を必要としたのだから、そこは目をつぶってドレスデンのオケの指揮台に上るのを許可せざるを得なかったということがわかったのだ。ケンペにしてみれば、生地なのだが、政治的なものに翻弄された人の「歴史」を垣間見る思いではある。

1976年NHKイタリア・オペラ~チレア:「アドリアーナ・ルクヴルール」

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 アドリアーナ:モンセラート・カパリエ
 ブイヨン公妃:フィオレンツァ・コッソット
 マウリツィオ:ホセ・カレーラス
 ブイヨン公爵:イヴォ・ヴィンコ、他
 日本プロ合唱団連合
 NHK交響楽団
 ジャン・フランコ・マジーニ(指揮)
 演出:ジュゼッペ・デ・トマージ

 収録時期:1976年9月20日
 収録場所:東京、NHKホール(ライヴ)

 これは、この作品の日本初演の実況である。当時から未知の作品への関心も高まっていたように思う。大学に入学した頃で、学生オケにも入れてもらって多少なりとも、当時の東京でのクラシック事情の一端に触れさせてもらった雰囲気である。オペラ好きの学生の中には、ロンドン(デッカ)から出た全曲盤を買って予習していた者もいた。貧乏書生としては、こういうオペラ公演など高嶺の花で、行くことはなかったが、NHKの招聘だけに、テレビ中継を見入ったものだ。しかし、歌手の名前など全く知らず、カバリエもカレーラスも出ていたという記憶が残っていない。何でもカバリエは体調を崩して、他の歌手が代わりに出ていたらしいが、これは本来の配役で上演された初日の模様のようである。

 残念ながら、テープの劣化で解像度は今一つで褪色気味の映像だが、ステレオで聴けるのはありがたい。国内のDVDではカタログに載らなかったのは、この画像の劣化が原因なのかもしれないし、オペラが今一つ知られていないこともあったかもしれない。

クリュイタンス/BPO ベートーヴェン序曲集

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ベートーヴェン
①「レオノーレ」序曲第3番
②「コリオラン」序曲
③バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
④「エグモント」序曲
⑤「アテネの廃墟」序曲
⑥歌劇「フィデリオ」序曲
アンドレ・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 
 タワー独自企画の一つ。かつては交響曲のフィルアップとして収録したものを、一括収録したアルバム。交響曲全集は交響曲のみの収録として独立してリリースされている。
 
 さて、かつて1999年頃出たCDを聴いて、せっかくの演奏が風呂場の中で鳴るような感じで、聴きづらく売却処分した苦い思い出があった。今回、音質改善を期待して再び手に取ってみた。幸い、我が家のBDプレーヤーはSACDプレーヤーの機能があったので、①だけDSDで聴いてみた。かなりいい感じで、まず聴きやすかったのには驚いた。風呂場ではなく、相応な音響をもった場所での演奏だった。同じ音源なのにこうも違うのかと不思議でならない。後は機会をみて、通常のCDプレーヤーで聴いてみたが、やはり聴きやすい音質で安心した。
 
 カラヤンが赴任したばかりの頃のベルリン・フィルで、フルトヴェングラーを知る楽員はかなりいた時代だ。朝比奈隆が1955年に振った頃とほぼ同じ頃。フルトヴェングラーどころかその前からのメンバーもいたと氏は証言していたから、カラヤンなどなんぼのものだという雰囲気が強かったろうと思う。レコード会社がそのカラヤンではなく、フランス系のクリュイタンスの指揮でベートーヴェンの全集に着手したというのが興味あるところだ。クリュイタンスはドイツものでも、コンサートやオペラで実績を上げていたからだろうが、それにしても当時としては冒険だったのではなかろうか。

映画「霧の旗」~2つの作品の比較

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霧の旗霧の旗 [レンタル落ち]
 
 松本清張の同名小説を映画化した作品は2つある。ここではテレビ・ドラマは除外しておきたい。まずは1965年の松竹大船で制作された山田洋次監督作品。山田作品としては唯一シリアスなサスペンスものである。脚本は橋本忍でカッチリとした構成で、時折ヒロインの回想を交えるという手法を使いながら、物語は進行してゆく。次はその12年後の1977年の暮れに公開された西河克己監督によるもの。こちらは服部佳によるシナリオで、過去の回想はヒロインが上京する折、兄妹の幼い頃の思い出が車窓に映るくらいで、専ら現在の話に集中している。
 
 高名な弁護士に紹介状もなしに事務所まで出掛けて身内の弁護を依頼するが、弁護士の方は多忙を理由に断る。ヒロインはそれを恨み、その弁護士に復讐するというもの。弁護士も心の底に罪意識があったのか、何故か事件の全貌を後で追ったりする。復讐の機会は弁護士の愛人が殺人容疑をかけられることで訪れる。二つの事件は同じ人物の犯行だったことを匂わせて、未解決のまま話は終わってしまう。
 
 ヒロインはかなり強情で、思いつめると直情径行なところがある。復讐としても理が合わない。しかし、自分の身に火の粉が降らないと無関心を決め込んでしまう人間の性みたいなものを清張は突いて、問題を投げかけているような感じだ。
 
 映画としてはやはり山田版の方が質はいい。西河版もまとまっているが、本来は脇役であまり登場しない若い雑誌記者を無理にでも引き立たせようとして、話が少し矮小化してしまっているのが残念である。前者は本当に手一杯で有力な依頼まで断っているところが出るが、後者は政治汚職が関連しているような風でしかもそれはあまり本筋に関係ないような話だ。何か胡乱な存在設定なのも少し作為的に思えた。

将軍と参謀と兵(田口哲・日活多摩川1942年)

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悪魔のように細心に
 
 本作は、1942年3月の公開とあるから、日活が統合されて大映になってしまう直前の作品ということになる。当時の映画雑誌に目を通すと、将軍役未定のままクランクインされていたようだ。そして、未定だった将軍役に時代劇スターの阪東妻三郎に決まった時に、今までのドキュメンタリー的群像劇が阻害されるのではと心配する向きがあったようだ。しかし、それは杞憂に終わり、妻三郎の抑制のきいた演技で、この作品に風格が出たように思われる。1975年の「阪妻映画祭」で上映された折に、初めて観たが、他の作品とは異なりある種の違和感を覚えたことを思い出す。妻三郎のための映画ではないからだ。ずっと登場する訳でもないからでもある。映画はやや平板な感じではあった。日活は映画祭の2巡目からは、これを取り下げて「忠臣蔵」に差し替えていた。

 なお、本作の現存プリントだが、オリジナルのものではなく、冒頭と終わりに戦後に付け加えた部分がある。そして、約20分は削除されたようである。淡々と進行するので、その戦後の追加部分の反戦的な内容ともあまり齟齬を感じられない。その削除された部分はそうした矛盾があったので破棄されたのかもしれない。

 この作品のデビュー直後の小林桂樹が中田弘二扮する参謀の当番兵役として出演していることを付記しておきたい。

新吾番外勝負(松田定次・東映京都1964年)

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 十番勝負4作、二十番勝負3作で一応、話は終わったが、これはファンの要望に応えてのものなのか、後日譚のような一篇。今回の敵役は内田良平扮する浪人。「十三人の刺客」で鮮烈な敵役を演じた人だから、どこか凄みのある浪人になっている。次第に舞踊みたいな時代劇からリアルな志向になった時代劇映画の中で、この作品はややそうした流れを感じる。斬る時も黒澤映画同様の擬音が入ったりする。音楽が木下忠司に代わっていて、「水戸黄門」風というか、木下恵介作品風の音楽になっているのが、気を惹いた。

 初見は小学生の頃、二番館の公開においてであった。

『ナブッコ』全曲 D.アバド演出、ルイゾッティ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場

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『ナブッコ』全曲 D.アバド演出、ルイゾッティ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ドミンゴ、モナスティルスカ、他(2013 ステレオ)
【収録情報】
● ヴェルディ:歌劇『ナブッコ』全曲

 プラシド・ドミンゴ(Br:ナブッコ)
 リュドミラ・モナスティルスカ(Sp:アビガイッレ)
 アンドレア・カレ(T:イズマエーレ)
 マリアンナ・ピッツォラート(Sp:フェネーナ)
 ヴィタリー・コワリョフ(Bs:ザッカリーア)、他
 ニコラ・ルイゾッティ指揮 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団・合唱団
 演出:ダニエレ・アバド
 収録時期:2013年4月15日
 収録場所:ロンドン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ライヴ)

 ロンドンのコヴェントガーデンの最近の公演ライヴ。再びバリトンに戻ったドミンゴがここではタイトルロールを歌う。バリトンと言っても少し高めのテノールに近いような声ではある。先頃亡くなったクラウディオ・アバドの子息であるダニエレ・アバドの現代化した舞台は至極シンプルな作り。ベルリンにあるユダヤ人の慰霊の場を意識したような墓標みたいなものが立ててある。ユダヤ人の男の中にはユダヤ教徒独特のキャップを付けているものも登場する。ただ、あまり奇抜な感じでないのが救いではある。


お吟さま(田中絹代・にんじんくらぶ1962年)

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 日本を代表する女優・田中絹代は6本の監督作品を遺しているが、本作はその最後を飾るものであり、唯一の時代劇でもある。秀吉に死を賜った千利休にまつわる悲劇の一つだが、ここでは歴史に翻弄される利休の養女・吟に焦点をあてている。女性の悲しさというのがテーマだろうか。

 溝口健二監督の薫陶を受けた成沢昌茂が脚本を書き、やはり溝口監督作品の常連役者として指導を受けた田中絹代が演出するのだから、女の悲しさに焦点を当たるのは当然ではある。しかし、もう少し欲を言わせてもらえば、政治の非情さを出しても良かったのではないかと思うのだが、如何だろうか。

 撮影監督が宮島義勇が担当しているのに注目したい。「宮島天皇」と言れるくらいの人で、映画監督をきちんと監督するのも仕事の一つと豪語するくらいの人だった。また、東宝争議の闘士としても有名で、監督の田中絹代もさぞややりにくかったのではないかと推察する。

 有馬稲子を中心に、仲代達矢、中村鴈治郎、高峰三枝子、滝沢修、岸恵子などが顔を揃えているのも、豪華な顔触れではある。

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クリュイタンス&BPO/ン・ベートーヴェン:交響曲全集

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<DISC1>
1. 交響曲第1番 ハ長調 作品21
2. 交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
<DISC2>
3. 交響曲第2番 ニ長調 作品36
4. 交響曲第4番 変ロ長調 作品60
<DISC3>
5. 交響曲第5番 ハ短調 作品67 「運命」
6. 交響曲第7番 イ長調 作品92
<DISC4>
7. 交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」
8. 交響曲第8番 ヘ長調 作品93
<DISC5>
9. 交響曲第9番 ニ短調 作品125 「合唱」

【演奏】
グレ・ブラウエンステイン(ソプラノ)、 ケルスティン・メイエル(コントラルト)、 ニコライ・ゲッダ(テノール)、フレデリック・ガスリー(バス)
聖ヘドヴィヒ教会合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アンドレ・クリュイタンス(指揮)

【録音】
1957年12月(8,9)、 1958年3月(5)、 1958年12月(1,2)、1959年4月(3)、 1959年5月(4)、 1960年3月(6,7)
グリューネヴァルト教会、ベルリン
 
 当初は序曲も入っていると思っていたら、そうではなくここでは9曲の交響曲だけの収録。一部は廉価盤で聴いたことがあって、演奏はともかく風呂場で音楽が鳴っているようで聴きづらくて、すぐに売却した苦い思い出のある録音だった。今回、改善されているということで、思い切って手にいれた。謳い文句にある通り、以前のような聴きづらさはなかったので安心した。これはハイブリットSACDではあるが、まだDSDでは聴いておらず、通常のCDの部分での鑑賞だったが、それでもかなり改善されたように聴こえた。オーディオに詳しい方の中には不満という方もおられるのかもしれないが、個人的には満足した。
 
 クリュイタンスはほぼ一定のテンポで淡々と指揮している感じで、曲によっては幾分は遅めの解釈である。BPOのかつての主のような解釈とは違う方向性のようにも思えた。以前、どこかのクイズでベルリン・フィルが初めてベートーヴェンの交響曲全集を録音したのはどの指揮者とのものか、といったものが出されていた。正解はこの録音群なのだが、カラヤンではなく、ベルギー系の指揮者をBPOが受け入れたというのはどういうことであろうか。一番古いものは1957年12月のもので、このオケはカラヤンと初来日を果たしている。まだ、カラヤンの色には染まっていない頃で、楽員の方も様子見の姿勢だったのかもしれない。実績的にクリュイタンスの方を高く買ったのかもしれない。そういうことを示した資料にも接したことはないので、あくまで推量の域の話ではある。

カラヤンのベートーヴェン(映像)

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【曲目】
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
・リハーサル風景(特典映像)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
1966年製作

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125「合唱」
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ) アグネス・バルツァ(アルト)
ルネ・コロ(テノール) ジョゼ・ヴァン・ダム(バス)
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団(合唱指揮:ヴァルター・ハーゲン=グロール)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
監督:ハンフリー・バートン

[ボーナス]指揮の芸術~アンリ= ジョルジュ・クルーゾー

【収録】
1977年12月31日、ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
 
 同じBPOでもこちらはカラヤン指揮のベートーヴェンの交響曲が2つ収録されている。そのうち、第5番の本番とリハーサルはアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によるもの。映画「恐怖の報酬」などを撮った名匠である。他にもあるようだが、今回はベートーヴェンの第5番だけ。映像と演奏は別テイクかもしれない。一方第9番の方は1977年のジルベスターコンサートの実況。
 
 まだ、わざとらしいカットはなくすんなり鑑賞できる構成ではある。リハーサルは若い副指揮者にどう音楽を作るか指導するところが出てくる。同じ個所でもマエストロが振ると違った音になるのが面白かった。

訃報:クリストファー・リー

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 サー・クリストファー・リーが亡くなった。享年93歳。天寿を全うしたと言ったほうがよいかもしれない。

 有名なのはドラキュラ役で、ピーター・カッシングと共にイギリスのハマー・フィルムのスターだった。そして、二人とも「スター・ウォーズ」にも出ている。この人の一番古い作品は「南極のスコット」で隊員の一人だった。ローレンス・オリヴィエが主演・監督した「ハムレット」にも出ていたらしいが、クレジット表示はなかった。(因みにピーター・カッシングも出演して、こちらはしっかりと役がついていた。)

 謹んで哀悼の意を捧げたい。

天使を誘惑(藤田敏八・ホリ企画制作1979年)

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 高橋三千綱の同名小説を藤田敏八監督が山口百恵を主演にして撮った作品。それまでの文芸もののリメイク作品とは少し肌合いが異なるのが特色。藤田作品はそう多くは観てはいないが、どこか気だるい感じの作品が多いという印象。配給は東宝ではあるが、スタッフや俳優(脇役)はほぼ日活のそれである。後年、刑事もののテレビドラマで活躍している岡本麗などはまだロマン・ポルノに出ていた頃で、そうした雰囲気の役柄で出てきているし、「女教師」などに出ていた古尾谷雅人も最後の方に不良のリーダーで登場したりしている。撮影、照明、録音及び編集は全て当時の日活にいた人たちだった。

 当時のどこでもいそうな若者の少し挫折感の漂うような雰囲気がこの監督作品らしい。少し上の世代の連中もあまり若い者の手本にはならないような人たちに見えたりする。三浦友和扮する青年の父親はかつて時代劇のスターでならした大友柳太朗。相変わらず台詞廻しは滑らかではないが、几帳面だがどこか抜けたところのある老人を演じていて、それがいい味を出していた。

 山口百恵の歌声は一切流れない。その代わり、ブラームスの交響曲第3番の第3楽章のテーマをポップス調にアレンジした音楽が延々と流れている。ヨーロッパ映画にも使われた名曲だが、雰囲気に合わせて編曲されていて、画面に合っていた。単なるアイドル映画ではなく、かなり正統な構成になっている。それまでシネマスコープ仕様だったのが、本作ではアメリカン・ヴィスタのサイズになっている。1979年あたりから主流になっていったサイズで多分にテレビ放映を意識したものであろう。

影武者(黒澤プロ・東宝映画1980年)

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 黒澤明監督が5年の沈黙を破って発表した時代劇。前作の「デルス・ウザーラ」はソ連での製作だったから、日本映画としては「どですかでん」以来10年ぶりの黒澤作品となる。そして、実在する武将を扱った唯一の作品でもある。学生時代最後の年に、新聞にオーディション応募の広告が大きく掲載されていたのを思い出す。我こそと思う人は向かったに違いない。また、当初主演予定の勝新太郎は監督との確執で降板、仲代達矢に代わった。しかし、明らかに勝のキャラクターを想定したようなところもあって、当初の配役だったらどうなっていたろうと思ったものだ。他に大滝秀治と黒澤作品常連の志村喬と藤原釜足がオーディションではない人たち。殊に後者の二人は最後の黒澤作品への出演となった。

 さて、アメリカ映画「トラ・トラ・トラ!」での挫折から、黒澤監督の作風は変化があったように感じる。どこか抽象的な描写があり、当初のギラギラしたものや心地よいテンポ感は影を潜めてしまっているような感じだ。「赤ひげ」までの場面転換にワイプを使用したりして、テンポを上げるようなところはない。「どですかでん」あたりはそう違和感がなかったが、本作は黒澤作品独特の緊張感がやや弛んでいるように感じてしまった。配役も素人も含むオーディション中心のものになっていて、台詞廻しもやや不満を感じてしまうのだ。晩年の黒澤作品は買わないという人も少なくないのはここらあたりが起因しているのかもしれない。

 今手許には、通常の国内盤のDVDと米国産のBDがある。後者には配給元の20世紀フォックスのロゴが出てくる。しかし、海外版ではなく、ノーカットの版であった。

配達されない三通の手紙(松竹1979年)

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 エラリー・クインの「災厄の街」(Calamity Town)を日本に翻案して制作された野村芳太郎監督作品。松本清張ではなく、アメリカの作家の作品の映画化というのが、本作の特徴。脚本は新藤兼人監督が担当している。ミステリーとして面白さもあろうが、人間の性格からくる悲劇といったらよかろうか。
 
 地方銀行のオーナー頭取はその地の名家の主で、傲慢な権力保持者だ。それを佐分利信が扮しているから、この5年前の山本薩夫監督の「華麗なる一族」の路線である。ただし、銀行家よりもこちらは一家の長の部分のところが殆どである。原作は架空の街だが、映画では山口県の萩市となっている。そうしたところに地銀の大きなところがあるのは、ちょっと違和感はある。何故、県庁所在地にしなかったのか、と思ったりもする。
 
 さて、映画の物語の中で結婚する若い夫婦だが、男の方は何を考えているのか、わからない少しはっきりしない人物。女は世間知らずでこれもはっきり意思表示をしないタイプ。しかし、根は頑固なところのある人物である。そうしたところへ、訳ありの男の妹と称する女性が出現して、パーティの場で毒殺されてしまう。そんなような筋である。謎を解くといってもそうトリッキーな感じはせず、登場人物の心象の描写が中心となる。ただ、「砂の器」のような魅力はあまり感じられないのは、どうしたことか。

マルタ・アルゲリッチの芸術/バルトーク:2台のピアノと打楽器のための協奏曲

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【収録情報】
● バルトーク:2台のピアノ、打楽器と管弦楽のための協奏曲 Sz.118
● コダーイ:ガランタ舞曲

 マルタ・アルゲリッチ(ピアノ:協奏曲)
 ネルソン・フレイレ(ピアノ:協奏曲)
 ヤン・ラボルダス(パーカッション:協奏曲)
 ヤン・パストヤンス(パーカッション:協奏曲)
 ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団
 デイヴィッド・ジンマン(指揮)

 録音時期:1985年8月
 録音場所:アムステルダム、コンセルトヘボウ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
 原盤:PHILIPS

  これはかつてフィリップス盤を所持していたが、興味を失って売却してしまい、長らくそのままになっていた。今回再び興味を覚えて再び手にしたもの。以前持っていたものの方が状態が良かったのではなんて思っても、後の祭りではある。さほどの違いは自分の耳ではわからない。
 
 これはアルゲリッチをフューチャーしたものだが、中味はジンマン&ACOのアルバムである。この指揮者がハンガリーの20世紀の作品をどう解釈したかみたいなものである。バルトークの方はオリジナルのソナタの方が有名だが、協奏曲に直したものもあったのだと教えてくれた演奏でもある。今ではこの協奏曲の録音は結構出回っているみたいだ。もちろん、これが世界初録音ではなく、バーンスタイン&NYPの録音もあったりしたのは、曲自体の存在を知っていたからである。アルゲリッチとフレイレはよくデュオを組んでいたようで、息のあったところを聴かせてくれる。打楽器はオーケストラがついた分だけ、オケの一部のような感じがしてしまい、ソロではあるのだが、際立たなくなっているような気がないでもない。もちろん演奏が悪いということではなく、作品の性質上そうなってしまうのではないか。打楽器の奏者は多分、コンセルトヘボウのオケのメンバーだと思う。もう一つのコダーイはもう一つ荒ぶるところがあっても良いと思った。少し上品すぎる。
 
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