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Walter/The Viena Farewell Concert(1960)

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マーラー:交響曲第4番、歌曲集、シューベルト:未完成 ワルター&ウィーン・フィル、シュヴァルツコップ(1960)(2CD)Sym.4 / .8: Walter / Vpo, Schwarzkopf(S)+mahler: Lieder (Farewell Concert)
【収録情報】
Disc1
シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』
② マーラー:子供の魔法の角笛~第9番『トランペットが美しく鳴り響くところ』
③ マーラー:リュッケルト歌曲集より~第4番『私は仄かな香りを吸い込んだ』
Disc2
● マーラー:交響曲第4番ト長調

ブルーノ・ワルター指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
エリザベート・シュワルツコップ(ソプラノ)
 録音時期:1960年5月29日
 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
 録音方式:モノラル(ライヴ)
 音源提供:INA(フランス国立視聴覚研究所)

 これは、ブルーノ・ワルターがVPOと最後に共演した記録である。今回はフランスで発見された良質のテープによるものということで、アルトゥスから出たものを入手した。上の写真の左側のものだ。因みにアメリカのMusic & Artsからもライヴ録音が出ているが、これで聴いたことはない。ただ、「私はこの世から忘れられ」がこの盤には収録されていない。探したが、フランスにはなかったと言われている。また、予告から1年も経過したのは、それを探していたからだとも言われている。

 1960年といえば、ワルターの師であるマーラーの生誕100周年にあたる。所縁のあるウィーンの藝術週間で、そのマーラーの作品を取り上げるというので、病身に鞭をうってワルターはウィーンにはせ参じたという。そしてこれが最後のウィーンでの出演となったというわけである。どういう思いで、指揮台に立ったかはもう推察するしかないが、万感の思いを込めて、ワルターもVPOのメンバーも演奏に没頭したに違いない。モノラルで必ずしも状態はベストではないが、そういう思いはくみ取れる。また、それだから聴いている方も胸を打たれるのである。やや遅めのテンポは、少しでも長く留まっていたいという思いがあったのではないか、考えてしまう。購入したCDのリーフレットにはその時の有名な写真は権利の関係か掲載されていないが、Music & Artsのものを見ると、コンサートマスターはヴィリー・ボスコフスキーがいる。また、やや上手側にはシュワルツコップが立っていて、ワルターが客席側を向いて挨拶しているようなポーズのものだ。観客も見納めだということは自覚していたろうと思う。出会いと別れのドラマを内包した感慨深い演奏だと思う。彼らが残してくれたかけがえのない遺産と思って、大事にしてゆきたいと思うのである。

オーマンディのロンドン・ライヴ(1963)

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ベートーヴェン:皇帝、シベリウス:交響曲第2番、プロコフィエフ:古典交響曲 ルービンシュタイン、オーマンディ&フィルハーモニア管(2CD)
【収録情報】
Disc1
① プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調 op.25『古典』
② ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 op.73『皇帝』

Disc2
● シベリウス:交響曲第2番ニ長調 op.43

ユージン・オーマンディ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)

録音時期:1963年6月14日
録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
録音方式:モノラル(ライヴ)

 オーマンディはフィラデルフィア管弦楽団しか指揮していないとかつては思っていたが、結構単独でヨーロッパへ行って、その地のオーケストラに客演していることが、わかった。その中にはウィーン・フィルやバイエルン放送交響楽団なども含まれている。そして、これはイギリスへ赴き、クレンペラー時代のフィルハーモニア管弦楽団の指揮台に登場した時のもの。しかも、ルービンシュタインとの共演は、ファンにとってはまたとない機会だったろう。商業録音ではこの二人は当時専属会社が違っていたので、共演はなかった。

 セッションと違うライヴ独特の緊張感があって、演奏は立派なものだ。しかし、BBCが収録したと思われる録音はやや割れ気味なのが残念だった。ことにメインのシベリウスがそういう傾向が強い。楽器編成も3曲中一番大きいせいもあるかとは思う。

ワルターによるシューマン:交響曲第3番「ライン」

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ライン*交響曲第3番変ホ長調
 
 今、シューマンの交響曲第3番「ライン」の譜面を渡されていて、何回か練習にも参加したので、興味を持っている作品である。その譜面というのが普段よく使われていると思われるブライトコプフ社のではユニヴァーサル出版というウィーンの会社のもの、すなわちマーラー版である。既に録音でもシャイーがわざわざ「マーラー版」と銘打って出しているが、既存の古い指揮者はどうなのかと思って聴いてみた。そのまず手始めがブルーノ・ワルターである。
 
 1941年にニューヨーク・フィルを振って、米コロムビアに録音したものである。この曲についてはこれ一つしかない。ナチスの迫害から逃れ、回り道した結果やっと大西洋を渡って、米国に定住しようと決めた頃のもの。年代的にはアメリカ合衆国が参戦する直前の緊迫した時代でもある。
 
 LP時代にもまた今手許にあるCD(上の写真のもの)にも特に版についての断り書きはない。しかし、マーラーの弟子を任じるこの巨匠はどういうもので演奏しているか、今まであまり気にしていなかったのだが、耳をそばだていた。そうするとやはりマーラー版にかなり近いとわかった。殊に自分のやる楽器の動きでマーラー版の特徴の部分ははっきり聴き取れた。やはり師匠のものを採用していたのかと妙に納得したが、さらに詳しい方の解析によるとこのマエストロ独自の箇所もあるようだ。この曲は殊に金管奏者にとってはかなり難しい曲ではある。むやみに音が高かったりする。第4楽章のホルンや1stトロンボーンなどはかなり苦しそうだし、一部で音を外しているのが聴こえたりする。大学時代、プロでもしくじる大変な曲ということでかなり脅された曲でもあった。概ね、弦楽器と同じ動きをしているのだが、音量拡大装置として金管はあるのだという面もあって、いささか面白くない部分もあるのは事実だ。

METによりプッチーニ:歌劇「トゥーランドット」

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『トゥーランドット』全曲 ゼッフィレッリ演出、ネルソンス&メトロポリタン歌劇場、グレギーナ、M.ジョルダーニ、他(2009 ステレオ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 マリア・グレギーナ(ソプラノ:トゥーランドット)
 マルチェロ・ジョルダーニ(テノール:カラフ)
 マリーナ・ポプフラスカヤ(ソプラノ:リュー)
 サミュエル・レイミー(バス:ティムール)、他
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
 アンドリス・ネルソンス(指揮)

 演出・装置・衣装:フランコ・ゼッフィレッリ

 収録時期:2009年11月7日
 収録場所:ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場
 以前、ジェイムズ・レヴァインが指揮をし、エヴァ・マルトン、プラシド・ドモンゴ、レオナ・ミッチェルそれにポール・プリュシカなどが出た舞台が映像ソフトになっているが、今回は同じプロダクションながらキャストや指揮などが一新された舞台である。BDになった分、映像解像度も上がり、きれいな画像で楽しめる。多分これは「Live Viewing」として世界の映画館で公開配信されたものの転用と思われる。幕間にはナビゲーターがちょっとした解説をしたり、出演者にインタビューしたりする場面もある。
 
 このオペラに接して思うのは、ヒロインの身勝手さやカラフの軽率さがたいへん浮彫になっていて、後味があまりいいものではない。自己犠牲をするリューなど最後はその存在する無視されたような形となって、哀れである。主人公二人の身勝手さにいつも呆れてしまうのだが、そう思うのは私だけだろうか。初演初日にトスカニーニが作曲者はここで筆を置きましたと言って止めたのは、もちろんプッチーニへの敬意もあったろうが、まとまりの悪さに気づいていたのかなと思ったりする。つまりリューの死で幕となると、主人公二人の不行状が余計に強調されるのではと思う。アルファーノの補筆部分は本当はもっと長いというが、どうやっても最後の大団円は何か納得がゆかないものがあるのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 

男ありて(丸山誠治監督・東宝1955年)

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「男ありて」スチール①
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 これは1955年5月に公開された作品。志村喬が主演した数少ない作品の1本だが、黒澤明監督の「生きる」や「七人の侍」ほど、上映される機会もなく、やや地味な存在の作品。弱小のプロ野球を率いる監督が主人公だが、家庭を顧みない昔気質の男の話だから、まるっきりの野球映画ではない。一般にも通じる人間ドラマに仕上がっている。今観るとその指導の仕方など、必ずしも理にかなったやり方ではなく、むしろ問題ある行動を主人公は取ったりする。また、最後にかつての守備位置だったであろう捕手をやるのだが、当時でも選手登録していたとは思われないのに、プレイしているといったちょっと信じられないエピソードがあったりはする。
 
 しかし、そういうことよりも仕事一途で不器用な男の姿というのは、かつてはどこにもあったのではないかと思われる。最後に支えであった夫人に先立たれて、ようやく一人墓前で初めて泣く主人公の姿に何か胸打たれるものを感じてしまう。そういう味のある佳作である。丸山誠治監督は戦争映画しか観ていなかったが、これを観るとなかなか演出力のある監督さんだったのだなと思った。

新吾二十番勝負第二部(松田定次監督・東映京都1961年)

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 大川橋蔵の人気シリーズの1本。「十番勝負」に続き、1961年には第1部と第2部が続けて制作されている。しかし、この後の第3部の完結編は1年間が空いて1963年に公開されている。1961年と言えば、東宝で黒澤明監督が「用心棒」を発表して、俗にいう「三十郎ショック」を起こして、東映の時代劇の牙城が崩れかかった年であることを考えれば、この空白は関連があるのかもしれない。
 
 橋蔵の殺陣は三船のような豪快なそれとは違う。同じ東映の錦之助とも違う。どこか危うそうで崩れそうな感じである。またどこかまだ舞踊的な感じもするから、スピーディで多少リアルな東宝あたりものとはずいぶん印象が違う。話は「剣の修行」であって、そのためには他のものは全て犠牲にしても構わないという姿勢は余裕がない。そこらあたりは中村錦之助主演の内田吐夢監督の「宮本武蔵」とも肌合いが異なる。この第2部では葵新吾の師匠である庄三郎先生が殺されてしまい、話が一つ終わったような段階である。敵役の平幹二朗はニヒルで憎々しいが、これは後の「三匹の侍」で生かされてくるような感じである。新吾は剣の大先生(大河内伝次郎)にもう少し余裕を持てと諭されるのだが、まさに未熟さそのものの剣士であることが描かれていて、面白い。

裏切者は地獄だぜ(小沢茂弘監督・東映京都1962年)

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 1962年12月23日の封切りの作品。同日では大映の川島雄三監督作品「しとやかな獣」が封切られている。本作のように旧態依然として娯楽作と実験精神旺盛な作品が隣り合わせに上映されているという状況はなかなか面白いと思った。
 
 さて、内容は実にマンガ的なものである。そして洗練とは程遠い映画ではあるが、ある種開き直りみたいなところがあって、それはそれでたいしたものだと逆に感心してしまう。主題歌「海千、山千、一騎当千....」といったちょっと人をからかうような歌が面白い。千恵蔵扮する二挺拳銃の男の「偽名」が海山千吉というのも面白い。鶴田浩二扮する男の「偽名」も「キューバのジョー」。同年起きた「キューバ危機」のもじりであろう。扮装は現代劇だが、京都の撮影所の時代劇と何ら変わらない。主人公たちは実は官憲だったりするのは、このシリーズでよくあるパターンである。タイトルに「地獄」の言葉のつく千恵蔵主演のシリーズもこれがどうやら最後の作品らしい。巷間、黒澤明監督のリアリズム時代劇や山本薩夫監督のこれまたリアルで社会性のある「忍びの者」などが出てきているにつけ、こういう内容のものは観客が観なくなったということだろう。むしろ、こうしたものはテレビの方へ継承されていったのではなかろうか。
 
 1962年から64年という時代は過渡期なのかもしれない。戦前からスターは亡くなったり、第一線を退き始めた頃と重なる。

シノーポリ、ポリーニ/シェーンベルク:室内交響曲第1番、マンツォーニ:質量

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【収録情報】
1. マンツォーニ:質量(エドガー・ヴァレーズ賛)   マウリツィオ・ポリーニ(Pf)
2. シェーンベルク:室内交響曲第1番 op.9
ジュゼッペ・シノーポリ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1980年9月(1)、1981年6月(2)
録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
 
 「ベルリン・フィル&ドイツ・グラモフォン録音開始100年記念特別企画」として、その名盤100というのがあって、その中の一枚として出たもの。このシリーズには、すごく古いものでまだアコースティック録音の時代のニキシュやワルターのものがあったり、最新のデジタルのものがあったりと多彩である。100年の歴史を感じさせるには十分な企画だが、これは新しい部類のものになる。
 
 最近は店頭ではなく、通販による購入が多いが、そうなると見落としも多い。これもその一つでこんな録音があったのかと店頭で見つけたもの。マンツォーニというイタリアの作曲家など知らなかった。1932年生まれのようで、多分ポリーニとは同世代で懇意にしていたのだろう。ポリーニがベルリンで初演した作品だそうだが、これが如何にも現代曲というものだ。まあヴァレーズのオマージュというから想像はついたが、ちょっとすぐには受け入れが難しい作品ではある。一方のシェーンベルクも初演当時はやはり受け入れがたい作品だったろう。そういう強面の作品を録音しているのがシノーポリの真骨頂かもしれない。
 
 ともわれ、関心があるうちにと購入してみたもの。この次というと店頭から消えて、入手困難になりそうな盤ではある。



ベルリオーズ:『ベンヴェヌート・チェッリーニ』全曲

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【収録情報】
・ベルリオーズ:歌劇『ベンヴェヌート・チェッリーニ』全曲
 チェッリーニ:ブルクハルト・フリッツ(テノール)
 チェッリーニの恋人テレサ:マイヤ・コヴァレヴスカ(ソプラノ)
 チェッリーニの恋敵フィエラモスカ:ローラン・ナウリ(バリトン)
 テレサの父バルドッチ:ブリンドリー・シャラット(バス)
 教皇クレメンス七世:ミハイル・ペトレンコ(バス)
 アスカーニオ:ケイト・オルドリッチ(メゾ・ソプラノ)
 フランチェスコ:グザヴィエ・マス(テノール)
 ベルナルディーノ:ロベルト・タリアヴィーニ(バス)
 ポンペオ:アダム・プラチェトカ(バス・バリトン)
 宿の亭主:パク・スンクエン
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ワレリー・ゲルギエフ(指揮)

 フィリップ・シュテルツル(演出・美術)
 カティ・マウラー(衣装)
 ドゥアーネ・シュラー(照明)
 マーラ・クロチュカ(振付)
 制作:UNITEL

 収録時期 2007年8月
 収録場所:ザルツブルグ祝祭大劇場(ライヴ)
 
 ベルリオーズの珍しい演目が映像になっている。発売されたのが2010年だからかなり経過して、その存在を知ったことになっている。このオペラはパリ版とワイマール版があるとのことで、ゲルギエフは前者を使っているようである。多分、改訂される前のオリジナルに拘りがあるのかもしれない。逆にワイマール版も聴いてみたいと思う反面、そんな厄介な作品なのかと引いてしまうところもある。版について追うとブルックナーの交響曲みたいに際限がなくなってしまうからだ。
 
 さて、このオペラはコンサートピースとして有名な「ローマの謝肉祭」序曲とも関連がある。この序曲はこのオペラに組み込まれるべく作曲されたとは解説にあったが、実際木管が提示するメロディはチェッリーニとテレサのデュエットから取られているし、第2幕の合唱曲から転用されたクライマックス部分の素材もある。ゲルギエフはこの序曲を演奏はしていないが、しっかり関連はわかった。
 
 このオペラは中世イタリアが舞台のはずだが、この舞台は近未来都市(ニューヨークあたり)で、ロボットまで登場する。ここまで読み替えると言葉を失ってしまうのだが、作品の香気が失われたような感じがしてしまうのだが、どうだろうか。ただベルリオーズ自体やりたい放題しているようなので、案外違和感はないと言われる向きもあるかもしれない。この作曲家のオペラとしては珍しく喜劇であり、狂乱的なところは交響曲「イタリアのハロルド」みたいだと思っていたら、その交響曲とレクイエムの狭間で作曲された作品だそうで、同じテンションで書き上げたのだなと納得した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ヴェルディ:『シチリア島の晩祷』フランス語版

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『シチリア島の夕べの祈り』全曲(フランス語) ヘアハイム演出、パッパーノ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ハロウトゥニアン、イーメル、他(2013 ステレオ)
【収録情報】
● ヴェルディ:歌劇『シチリア島の晩祷』全曲(フランス語歌唱)

 アンナ・ハロウトゥニアン(ソプラノ:エレーヌ)
 ブライアン・イーメル(テノール:アンリ)
 アーウィン・シュロット(バリトン:プロシダ)
 ミヒャエル・フォッレ(バリトン:モンフォール)
 ミッチェル・デイリー(メゾ・ソプラノ:ニネッタ)
 ニール・クーパー(テノール:ディボー)
 ニコ・ダルマニン(テノール:ダニエリ)
 チョン・スユン(テノール:マンフロワ)
 キム・ジフン(バリトン:ロベール)、他
 コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
 アントニオ・パッパーノ(指揮)

 収録時期:2013年11月
 収録場所:ロンドン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ライヴ)

 演出:ステファン・ヘアハイム(シュテファン・ヘアハイム)
 装置:フィリップ・フュルホファー
 衣装:ゲジーネ・フェルム
 照明:アンダース・ポル
 振付:アンドレ・デ・ヨング
 制作:アレクサンダー・マイアー=デルツェンバッハ
 ヴェルディのオペラの中にはオリジナル言語がフランス語というものが時折あるが、本作品もその一つ。カットなしでと期待したが、「四季」と題されるバレエは全てカットされていた。また序曲が演奏されている時、それまでの経緯がパントマイムで演じられていて、鑑賞者にわかりやすいように工夫もされていた。しかし、あまりに直截的な演出でいただけない部分もあった。また、現代への読み替えではないが、13世紀頃のシシリアではなく、時代がナポレオン時代くらいに下っていた。
 
 この作品はムーティ&スカラ座のものも持っているが、やはりヴェルディらしさはムーティ盤とは差があった。切ればイタリアの血が吹き出そうなムーティの指揮に対してパッパーノは割と淡々とこなしているような感じだった。ムーティの方はイタリア語歌唱だったが、バレエも組み込まれていたという特色もあった。時代設定はどちらも似たようなもの。あまり演奏されないのは、少し長大だからかもしれない。

ケンペ/シューベルト:グレート、R.シュトラウス:メタモルフォーゼン

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【収録情報】
・シューベルト:交響曲第9番ハ長調D944『グレート』
・リヒャルト・シュトラウス:メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための習作)
 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
 ルドルフ・ケンペ(指揮)

 録音:1968年、ミュンヘン(ステレオ)
>メーカーのコメント
高品質CD、ブルースペックCDのクラシック編第2期です。1976年に惜しくもこの世を去ったドイツの名匠ルドルフ・ケンペ。その味わい深い演奏は、生前は必ずしも正当に評価されていたとはいいがたいものの、ここのところ急速に再評価されはじめており、その没後25年にあたる2001年には、日本でも伝記が発売され、CDも相次いでリリースされるなどの賑わいを見せました。ケンペは主にEMIに録音が多く残されていますが、60年代終わりにドイツCBSにLP4枚分の録音をミュンヘン・フィルとともに残していました。
 本作には、以前からCD化の要望が多く寄せられながらも、なぜか世界のどこでもCD化されなかった「グレイト」と、日本ではLP時代にも発売されなかったケンペ得意のリヒャルト・シュトラウス「メタモルフォーゼン」の2曲をカップリングし、日本で世界初CD化して話題になったものです。1967年に音楽監督に就任したケンペが、手兵ミュンヘン・フィルといよいよ本格的に創造的な時代に入ったことを示す名演奏と言えましょう。
(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
 
 ケンペがミュンヘン・フィルを振って、ブラームスやブルックナーを録音したBASFへの録音がたいへん生々しく記憶に残っていたが、これらはその少し前にドイツのCBSに入れたものだった。同時期かと思ったら、そうではなく、ミュンヘン・フィルの常任の就任した直後のものだったことを今になった知ったという体たらくである。上のメーカーのコメントにもあるように、なかなかCDにならなかったものらしく、今もようやく再発売されたものの、入手が難しくなりつつある録音のようではある。
 
 どちらもドイツ的な響きでありながら、色彩感もある名演だと思った。ドイツ的というと堅苦しいというイメージもあるが、バスの音をしっかりきかせて安定感のある演奏。その上、しっかり歌うところは歌うという感じだ。R.シュトラウスは弦楽器のみのアンサンブルながら単調にならずにこれもカラフルな感じなのは驚く。
 
 残念ながら同時期の3つのピアノ協奏曲(グリーグ、シューマン、チャイコフスキー)などは入手困難なようだ。これも再発売を希望したいものだ。
 

網走番外地北海篇(石井輝男監督・東映東京1965年)

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 高倉健主演の人気シリーズの第4作にあたるもの。第1作と同じ1965年の作品だから、最初の年に4本が続けて作られたというのは凄い制作量ではある。
 
 この映画では高倉健もさることながら、鬼虎の嵐寛寿郎がいい。最初はただの老いぼれかと思うが、凄いニラミを利かすところはやはり往年のスターの貫録というものだ。本作はトラックの運転手を橘が引き受けるの話の中心でロードムーヴィーのような構成である。キャストは半ば固定化されているとはいえ、小沢栄太郎といった大物俳優も出ていたりするし、若き日の大原麗子、千葉真一や小林稔侍なども出ていて、多彩に思えた。
 
 
 

米子駅構内のDE10

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 かつては米子鉄道管理局というのがあり、米子機関区があった米子駅。D51やC57,C58,C11それに8620型といったいろいろな蒸気機関車がたむろしていた。今はターンテーブルと車庫がその往年の名残をとどめるだけである。DE10もかつてのように山陰でも活躍の場は縮小した。C11や8620に代わって、貨物や客車の入換や境線での運用があったが、もう殆どが消滅している。米子にあった貨物の集積は隣の伯耆大山にシフトする。

ロリン・マゼール~DG初期録音全集

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[CD1]
ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」Op.17より抜粋~ベルリン・フィル(1957年2月録音)

[CD2]
①チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
②プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」より5曲~ベルリン・フィル(1957年6月録音)

[CD3]
ストラヴィンスキー
①バレエ「火の鳥」組曲
②交響詩「ナイチンゲールの歌」~ベルリン放送交響楽団(1957年11月録音)

[CD4]
ベートーヴェン
①交響曲第5番ハ短調Op.67

②献堂式序曲Op.124~ベルリン・フィル(1958年5月録音)

[CD5]
①ブラームス:交響曲第3番ヘ長調Op.90

②悲劇的序曲Op.81~ベルリン・フィル(1959年1月録音)

[CD6]
①レスピーギ:交響詩「ローマの松」

②ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」
③R=コルサコフ:スペイン奇想曲Op.34~ベルリン・フィル(1958年2月録音)

[CD7]
シューベルト
①交響曲第4番ハ短調D.417「悲劇的」
②交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」~ベルリン・フィル(1959年11月録音)

[CD8]
モーツァル
①:交響曲 第1番変ホ長調K.16

②交響曲第28番ハ長調K.200

③交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」~フランス国立放送管弦楽団(1960年1月録音)

[CD9]
ベートーヴェン

①交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
②12のコントルダンスWoO.14~ベルリン・フィル(1959~1960年録音)

[CD10]
ラヴェル:歌劇「子供と魔法」~フランス国立放送管弦楽団(1960年11月録音)

[CD11]
メンデルスゾーン
①交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア」

②交響曲第5番ニ短調Op.107「宗教改革」~ベルリン・フィル(1961年1月録音)

[CD12]
シューベルト

①交響曲第5番変ロ長調D.485
②交響曲第6番ハ長調D.589~ベルリン・フィル(1961年1月録音)

[CD13]
フランク:交響曲ニ短調~ベルリン放送交響楽団(1961年1月録音)

[CD14]
①ブリテン:青少年のための管弦楽入門
②プロコフィエフ:ピーターと狼~フランス国立管弦楽団(1962年1~2月録音)

[CD15]
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調Op.36~ベルリン・フィル(1960年6月録音)

[CD16]
シューベルト
①交響曲第2番変ロ長調D.125
②交響曲第3番ニ長調D.200~ベルリン・フィル(1962年3月録音)

[CD17]
ラヴェル:歌劇「スペインの時」~フランス国立放送管弦楽団(1965年2月録音)

[CD18]
ファリャ
①バレエ組曲「恋は魔術師」

②バレエ音楽「三角帽子」より~ベルリン放送交響楽団(1965年6月録音)


 ロリン・マゼールの若い頃にDGに入れた録音全集。最初の2枚のみがモノラルで後は全てステレオになっている。ベルリン放送交響楽団というのは今のベルリン・ドイツ交響楽団のことである。

 こうしてみるとカラヤン時代のBPOとの共演が多いのが、目につく。シューベルトやベートーヴェンなどは彼らの演奏と相まって、充実な内容のように思える。中には結構レアなレパートリーもある。モーツァルトの交響曲第1番とかシューベルトの「未完成」以外の交響曲などがそうだし、ラヴェルのオペラは2つとも入っていたりする。LP時代のジャケットを復刻した紙ジャケットだが、これはあまりありがたくない。CDを収納する場合、傷付ける恐れがあるからだ。他の不織布ケースに入れ替えることにした。

 最初の2枚(モノラル)は全て「ロミオとジュリエット」を題材にしたもので、LPは2枚組で発売したのだろうか。しかし、録音は必ずしも良くなく、どこか冴えない音がする。殊にチャイコフスキーのものがそう感じた。やはりモノラルだからだろうか。ステレオ録音になったシューベルトは立派な音だ。ただし、第5番はどうしてもワルターあたりとの比較になってしまう。少し締りがないように感じたがどうだろうか。

点と線(小林恒夫監督・東映東京1958年作品)

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 この映画は割と名画座で上映された作品であった。そして、観客もよく入っていたように思う。以前から映画としては人気作だったようである。そしてDVDになるのも比較的早かった。
 
 上司役には堀雄二がやっていて、同年代の「警視庁シリーズ」のようでもあり、テレビの「7人の刑事」の雰囲気でもあった。刑事役には老練と中堅の俳優が配され、ビックなスターはいなかったが、地道な捜査の様子が描かれるには良かったように思う。その中で主演格の南広だが、元来は有名なドラマーだった。他の東映の東京撮影所で制作されたギャング映画なんかには酒場のバンドでドラムを叩くところが出ているのだが、こちらが本職だったように思う。その後は時代劇にも出演、中村錦之助主演の「宮本武蔵」では祇園藤次役などがあったが、あまり役者としては目立った活躍はなかったように記憶する。年代的には1967年の「殺しの烙印」に出演しているのが最も新しい彼の映画出演の姿だった。他は志村喬を始め、河野秋武、加藤嘉などが刑事役だったし、犯罪者側は山形勲、三島雅夫、増田順二といった面々。本作の一番のスターは主犯格の山形勲の妻役の高峰三枝子だろう。病床にあって、時刻表で旅した気分を味わうという女性で、題名はここらが由来だと思う。
 
 なお、列車の駅頭は国鉄という設定だが、東京撮影所近くの西武大泉駅を利用したという。犯行現場の海も横須賀あたりらしい。徹底して予算をかけない映画だったのかもしれない。映画ではC58も登場するが、八高線あたりものだったのかもしれない。

音楽の享受の方法の変化

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 4月16日付の日本経済新聞の3面掲載で「音楽配信の世界売上高、昨年CD上回る」との見出しの記事があった。
 
 デジタル販売=68億5千万ドル(前年比7%増)  CD & レコード:68億2千万ドル(同8%減)
 
 以上のような結果だったらしい。定額聴き放題サービスの普及が寄与しているが、まだダウンロード方式が半分以上占めているが、こちらは8%減の結果だったという。
 
 音楽ソフト全体では149億7千万ドル(同0.4%減) 前年では4%減だったので、マイナス幅は縮小だが、我が国では6%減だという。定額サービスが遅れている上に、まだCDやレコードが8割近くを占めているのが原因のようだ。
 
 どうしてもパッケージになるとかさばるので、好きな時に必要な分聴けるデジタル配信は時流に乗っているのであろう。

訃報:三條美紀

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「静かなる決闘」 三条美紀.jpg












 最近は本当に訃報が多い。この女優さんも1928年の生まれだから、昭和一桁生まれの人の一人。こういう同世代の方の訃報に接すると時代が一区切りついた印象を持つ。

 初期の代表作は黒澤明監督が大映で撮った「静かなる決闘」のヒロインだろう。フィアンセの三船敏郎が何故か結婚してくれなくて悩む若い女性を演じた。他に阪東妻三郎扮する坂田三吉の娘を演じた「王将」も忘れられないし、山本薩夫監督の「暴力の街」では新聞記者の妹役など印象ある作品に出ていた。その後、あまり作品を観ていないのだが、晩年は市川崑監督作品の常連だった。金田一シリーズを始め、「古都」「細雪」「映画女優」といった作品にさりげなく出ていた。

 ご冥福を祈る。

鄭京和のパリ・ライヴ

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(1)シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
ズデニェク・マーツァル(指揮)、フランス国立放送管弦楽団
ライヴ録音:1973年5月16日/シャンゼリゼ劇場(パリ)

(2)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
シャルル・デュトワ(指揮)、フランス国立放送管弦楽団
ライヴ録音:1978年10月18日/シャンゼリゼ劇場(パリ)


 曲目と共演者上掲したが、シャンゼリゼ劇場の場所とオケがフランス国立放送管弦楽団であるのが共通である。年代的にはデッカ専属の時代でかなりの録音が出ていたように思う。当然、この2つの作品もカタログにあった。しかし、あまりこうしたソリストには興味はなく、購入もしなかったし、熱心にも聴かなかった。しかし、チャイコフスキーの方を生で80年代になって聴いて、その憑かれたような演奏ぶりに圧倒されたものだ。そしてそうした熱演ぶりが人気を呼んでいたことを実感したものだ。まさに一番勢いのあった頃の演奏で、そうした熱気はこうした録音からも感じられる。

 最近は指揮者である弟の方が活発な感じがして、この人は引退説まで出ていたように思う。ようやく最近になって、来日してリサイタルも開いて、健在ぶりを見せているようだが、少し落ち着いての活動ぶりなのかもしれない。息長くやって欲しいと思う。

チェリビダッケ/パリ・ライヴ~シューベルト&J.シュトラウス

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シューベルト : 6つのドイツ舞曲, 交響曲 第5番 | ヨハン・シュトラウス II世 : 皇帝円舞曲 他 (Schubert : Sechs Deutsche Tanze, Symphony No.5 | J. Strauss : Works / Sergiu Celibidache | Orchestre National de l'ORTF) (2CD)
①シューベルト:6つの舞曲(編曲:ヴェーベルン)
②シューベルト:交響曲第5番変ロ長調D.485
③J.シュトラウスⅡ世:喜歌劇「こうもり」序曲
④J.シュトラウスⅡ世:ウィーンの森の物語
⑤J.シュトラウスⅡ世:フィガロ・ポルカ
⑥J.シュトラウスⅡ世:ピツィカート・ポルカ
⑦J.シュトラウスⅡ世:トリッチ・トラッチ・ポルカ
⑧J.シュトラウスⅡ世:皇帝円舞曲
セルジュ・チェリビダッケ指揮 フランス国立放送局管弦楽団
1973.12.30 シャンゼリゼ劇場、パリ(L)

 アルトゥスからフランス時代のチェリのライヴがいくつか、リリーズされた内の1つ。

 日付からすると、ガラ・コンサートみたいなものかもしれない。全てオーストリアの曲だが、突き放したような客観的解釈というユニークな演奏になっている。②のシューベルトの交響曲のこれほど冷たい感じの演奏は他にない。先日聴いたマゼールのものもここまで徹底はしていない。後半のシュトラウスのワルツやポルカも極めて分析的で、独特の湧きたったような楽しさなどは感じられない。拍手はたいへん熱狂的ではあるが、演奏は極めて冷静なものであった。「ウィーンの森の物語」は16分も要していて、しかも普段は聴かれない和音などが聴こえる。「こうもり」序曲も交響詩に近く、これからオペレッタが始まるというワクワク感はない。

 好みは分かれるだろうが、ここまで徹底されると脱帽である。これだから、音楽は面白い。

チェリビダッケ・パリ・ライヴ~ドヴォルザーク:チェロ協奏曲他

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【曲目】
シューベルト:『ロザムンデ』序曲
ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104*
デュティユー: メタボール

【演奏】
ピエール・フルニエ(Vc)*
セルジュ・チェリビダッケ(指揮) フランス国立放送管弦楽団

【録音】
1974年10月2日、シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
フランス国立視聴覚研究所音源提供

 
 チェリビダッケによるドヴォルザークのチェロ協奏曲はこれで2種目になる。少し前にジャクリーヌ・デュ・プレをソリストに迎えたスウェーデン放送交響楽団の録音を持っていたからだ。協奏曲は結構、一癖も二癖もある奏者と共演している。ここでもフルニエという超一流の奏者との共演だ。マイクはソロに照準を合わせていて、管弦楽の音がやや奥に引っ込んだように聴こえるのは残念だが、奏者と指揮者率いるオーケストラとのガップリ四つの演奏は聴き応えがある。さぞかし生で聴いた人は圧倒されたのではなかろうか。その割には拍手は3曲とも共通におとなしいように感じる。これも録音の特性なのかもしれない。
 
 解説にもあったが、指揮者は練習量を要求し、ひたすら精緻な音楽を目指すが、規制に縛られるのを嫌うフランスの楽員とはソリが合わない。結局、短期間で関係は絶たれれてしまうのだが、これだけの量の録音が遺されていたのは、愛好家には喜ばしいことと思う。その音楽に賛同するか否かは別にして、ユニークな解釈が聴けるのはありがたいと思うのだ。
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