思い切って、この公演に行ってきた。もう時間の余裕もできて、好きなことができる手始めのようなもの。彼らが来るのは半年も前から情報を得ていた。そして演目と場所も勘案して、5月12日の西宮公演を選んだ。
演目
①ウォルトン:ヨハネスバーグ祝典序曲
②ヴォーン=ウィリアムズ:揚げひばり 三浦文影(ヴァイオリン)
③グリーク:ピアノ協奏曲イ短調作品16 辻井伸行(ピアノ)
辻井氏のアンコール ショパン:練習曲作品10-12「革命」
④ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調作品47
アンコール
ラフマニノフ:ここは素晴らしい場所(管弦楽版)
ヴァシリー・ペトレンコ指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
まず、このオケはディーリアスの録音でお世話になった。チャールズ・グローヴズの指揮でその魅力を教えてくれた団体だった。だから、ここのオケでイギリス音楽を聴いてみたいものというものがあって、このプログラムには2曲組まれていた。どちらも未知のものではないが、ウォルトンの方の本国初演はこのオケがしたとのことで、たいへん所縁の深い作品という。RVWは少し寂しい感じのする曲だが、生では初めて。終わって中年女性たちが日本の曲みたいと喋っていたが、それはそうだろう。学校で習った唱歌はイギリス由来のものが多いし、四七抜き音楽もあって、我々が親しんでいる演歌とも関連は深いのである。馴染みやすい割には知っている人が少ないのは残念である。
中プロは辻井伸行独奏によるグリークの協奏曲。盲目というハンディを跳ね除けて立派な演奏をするこの若い奏者は日本の誇りである。ピアニッシモの表現は凄く、耳がかなり敏感なのだろう。後は体でオケの音を感じとって出る場所を捉えている姿を目の当たりできた。ただ、少し粗めの演奏スタイルは馴染めないところもある。ヴァイオリンの三浦氏ともども小柄で長身のペトレンコが手を引いて舞台に登場、アンコールの時などは引き摺られるように出てくるのは、少し気の毒に思えた。
メインはショスタコーヴィチ。ペトレンコとこのオケでNAXOSの全集を持っている関係で生でも聴けるというので楽しみにしていた。わずかだがピアノとコントラバスのリズムがずれるところがあって、ライヴのスリルはあるなと思った。だが、このオケもロイヤルの称号が許されるだけあって、百戦錬磨の団体だなと改めて感心した。特に最後の打楽器の殴打は生ならでは迫力。アンコールは、未知のもので、ラフマニノフの曲かなと思ったら、ロビーに曲名があって、勘は的中した。ロマンスという歌曲集の中のもので、管弦楽に編曲したもの。アレンジャーはわからない。