木下恵介監督の実弟で作曲家の木下忠司氏が老衰で亡くなった。102歳だった。長生きで天寿を全うされたのだろう。木下恵介監督作品については戦後作品の殆どを担当していたし、小林正樹監督の「人間の条件」とか、東映のやくざ映画に至るまで幅広い作品に音楽を提供していた。テレビでは長寿の「水戸黄門」シリーズの音楽が今はよく知られている。
1949年製作の実兄の作品の「破れ太鼓」には、売れない作曲家の次男役で出演も果たしている。そのタイトルバックのピアノの手は氏のものかもしれない。阪東妻三郎が珍しく背広姿で主演、当主役で生活力のない次男を結構粗末に扱う。しかし、最後まで父親のそばにいるという重要な役柄だった。そこで自作のワルツなんかを披露、ピアノを弾きながら歌ってもいた。そのシーンの写真を掲載して偲びたい。