戦前の大女優、ジョーン・クロフォードが主演する西部劇。しかし、これは異色な作品なのである。このジャンルは殆ど男性主流なのに、これは二人の女性の確執が中心なのである。地主の娘で主人公を目の敵にするのはマーセデス・マッケンブリッジが扮している。これが極めて強気で、辟易する人物。こちらは、後年の「ジャイアンツ」にも登場しているが、あの「エクソシスト」で少女に憑りついた悪魔の声も担当している。周囲の男性は傍観するばかりで、他の作品とは趣が違う。
当初はスターリング・ヘイドン扮するギターを抱えた流れ者が主人公だったのが、クロフォードが役に不満だったのと監督に無視されたので降板すると抗議、それで役柄が変更されて、映画で見られる形になったらしい。ギャングたちもあっけなく始末されてしまい、最後は女同士の戦いになるというスタイルは他にはない。主題歌の方が有名になりすぎて、映画の印象が薄まった感じだ。
ジョーン・クロフォードは1932年の「グランド・ホテル」が有名。しかし、共演したグレタ・ガルボとは確執があって、1シーンも同時に二人は登場していないというのは有名。一方のマッケンブリッジも「エクソジスト」で悪魔の声はノン・クレジットだった。しかし、抗議して訴訟にまで及んだと云われている。今、延々とエンドロールで細かいところまでクレジットされるのはこうしたことがきっかけだったように推測している。