ロームという京都の会社からリリースされたSP盤復刻のBOXの中に収まっている近衛によるマーラーの第4番があった。オケは新交響楽団(現・NHK交響楽団)で独唱は北澤栄というソプラノ歌手という陣容。1930年の録音。解説にはオスカー・フリードによる第2番「復活」に続く、マーラーの交響曲全曲を収録した録音とあった。マーラーが注目を浴びたのは60年代になってからで、長時間でかつ音響のいい録音が可能になってからのことである。
前から存在は知っていたものの、日本でこういう録音が行われたこと自体驚きだし、どこか誇らしい思いもある。ナチスによってユダヤ系の音楽家が日本にも来て、結構マーラーが入ってきていたらしい。近衛はレパートリーを貪欲に留学中吸収したいうから、凄い。
さて、演奏だが、思ったほどひどい演奏ではなく、オケは指揮者の指示に必死についていっている感じだ。時折木管あたりが音程のない音を出すが許容できる範囲。それなりの水準が保たれていることもまた嬉しい。