(収録曲)
①モーツァルト:交響曲第40番ト短調K.550
②マーラー:亡き子を偲ぶ歌 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
③R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1962年8月19日祝祭大劇場、ザツルブルク(ライヴ)
これはオーストリア放送協会のラジオ放送用音源のようである。残念ながらモノラルではあるが、たいへん聴きやすい音質であるのは感謝したいと思う。
BPOがカラヤンではなく、ベームの指揮というのが注目であるし、この指揮者には珍しいマーラーの歌曲がプログラムに入っているのが、目を惹く。K.550は同じ時期にDGからレコードが出ているようだが、この当時BPOのシェフはこの曲を録音していなかったというから意外ではある。
プログラムを見るとオーストリア・ドイツの音楽の歴史的流れの一端に触れることができるなかなか心憎いバランスで組まれたもののように思われる。フィッシャー=ディースカウはこのマーラーの歌曲は十八番にしていたのではないか。幸いにも来日した際に、この人のこの作品の歌唱を生で聴けたのだが、これはそれよりも更に20年近く若い頃のものだ。ベームがマーラーに共感していたか気になるところだが、聴く分には歌唱に添ってオーケストラを歌わせているようである。
最後の交響詩は巨匠の十八番。セッション録音の冒頭部分は映画「2001年宇宙の旅」に使われていたのはよく知られるところ。R.シュトラウス演奏の使徒を任じていたわけだが、ベーム自身作曲者の間近で修業した人であったのを思い出した。 冒頭はやはりモノラルなので迫力は今一つで音の広がり感がない。また、BPOには珍しく縦の線が揃っていないところもある。また多少録音の劣化がわかるのは残念ではある。