石原裕次郎が登場する前の「新生」日活も、まだ方針が定まらず、いろいろな作品を生み出している。この作品もそんな一つだと思う。この会社は無国籍のアクションものや、ロマンポルノといった作品を作った会社のイメージが強いが、1956年の前半まではこのような古風な時代劇も作っていたのである。
マキノ雅弘にしてみれば、どこの会社であれ、自分流を貫いたというところか。ただ、新に船出した会社の悲哀で、これといった大スターがおらず、そういう大物は大手がしっかりと囲っていた。そんな苦肉の策で製作されたもので、連続活劇風で興味を惹くような構成にはなっているが、印象は弱い。