(収録内容)
ブリテン:戦争レクイエム
ヘーザー・ハーパー(ソプラノ)、ピーター・ピアーズ(テノール)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
コヴェントリー祝祭合唱団、トリニティ少年合唱団 ジョン・クーパー(オルガン)
メレディス・デイヴィス指揮 バーミンガム市交響楽団
ベンジャミン・ブリテン指揮 メロス・アンサンブル
1962年5月30日、コヴェントリー大聖堂での世界初演ライヴ。
ブリテン畢生の大作「戦争レクイエム」の初演の実況ライヴである。この演奏については、デッカから出ている作曲者の自作自演盤の中にも出てくる。ソプラノは元来ロストロポーヴィチ夫人であるガリーナ・ヴィシュネスカヤを念頭に書かれたものだというが、この時はソ連の政権が夫妻の亡命を恐れたとかで、出国許可がおりず、初演参加は叶わなかったという。その代役を引き受けたのがイギリスのソプラノ、ヘーザー・ハーパーだった。
翌年にはヴィシュネスカヤを迎え、テノールとバリトン独唱は同一のソリストでセッション録音をデッカは行ったわけだが、では初演はどうだったのか、興味をもっていた。時代的にライヴ録音はあるのではなかろうかと思っていたが、やはり存在していたのだ。残念ながらモノラル録音ではあるが、鑑賞には差し障りはない。今は一人の指揮者が二つのオーケストラの指揮をするようだが、ここでは指揮は二人が分担しているのが注目点。合わせるのが、なかなか難しいようで、時折アクシデントもあるようだが、こういう歴史的な瞬間を耳にできることを感謝したいと思う。