題名だけは知っていたものの、60年代後半から70年代の東映作品は敬遠する傾向にあった。やくざ映画が好みではなかったからである。しかし、最近この時代の東映作品を見直す機会を得て、観てみると、つっこみ所はあるものの、面白いものもある。これも題名だけは知っていたが、中味は全く知らなかった1本。しかも迂闊なことにこれが「緋牡丹博徒」シリーズのスピンアウト作品と知ったのはつい先日のことだった。シリーズに無学の親分が出ていたことは知っていたが、それがシルクハットの大親分に結び付かなかった。お竜さんもしっかり登場する。話は東映の任侠映画の典型だが、若山富三郎のユーモアかつ破天荒な演技を楽しむ作品であると思う。二作あって、二本目は「ちょび髯の熊」という副題がついている。そろそろ任侠ものが限界にきていて、ポルノ路線に行くのか、実録ものに行こうかという岐路に東映はあった頃だ。2年後には藤純子が引退して、実録ものへの傾斜に拍車がかかる。そういう視点で観るのもまた一興だ。
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