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Channel: 趣味の部屋
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女は夜化粧する(井上梅次監督・大映東京1961年)

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 日活を離れて、他の4社で活動した井上梅次監督が大映で撮った風俗メロドラマ。山本富士子がヒロインでクラブの雇われマダムに扮しているのは吉村公三郎監督の「夜の蝶」の二匹目の泥鰌を狙ったような内容だ。そして相手役の川口浩は新進作曲家の役で、どこか日活時代の井上監督自身の「嵐を呼ぶ男」を彷彿させる。

 話自体はややご都合主義的なところはあるのだが、大映の誇る演技陣のおかげで、薄っぺらい作品にはならずに済んだという感じだ。脇役には森雅之、上原謙、清水将夫といった人たちが顔をそろえ、川口のライバルの同門の作曲家は田宮二郎が扮していた。音楽でオーケストラの編成はどうも妙な感じなのは「嵐を呼ぶ男」と同じであった。考証があまり精密には行われていない感じもする。クレジットには特殊撮影で築地米三郎が参加している。後年、ガメラシリーズで活躍したスタッフだが、どこに出てくるかと思ったら、どうもヒロインの弟が山で遭難したということで、乗り込んだ列車のシーンが特撮のようだった。少しもったいない感じはした。

 資料によると封切り日は1月14日ということで、同時公開は吉村公三郎監督の「婚期」とのカップリングだったようだ。

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