ラピュタ阿佐ヶ谷で「ザ・ピーナッツ」が出演した映画の特集をやっていて、その中の1本として朝一回の上映をやっていた。多分、二人とも完全に鬼籍入りしたのでその追悼の意味合いがあったようである。プリントはやや傷んでいたが、褪色はそんなにひどくはなかった。
観ていて意外とヒューマンなテーマを扱っていた。モスラの卵を商売のネタにしようとする輩が登場して、件の小美人の卵返還の要請を断るあたり。小美人やインファント島の住人は文明国に対する不信をあらわにする。ゴジラの出現でモスラの力を借りたいと頼みにくる人たちにも頑な態度を取る。島は核実験で荒廃している。ただそうした社会不信をなんとか克服するからという約束で、ゴジラ撃退に力を貸してくれる経緯はこの映画の根幹かもしれない。ただ、怪獣対決を目当てに来た当時の子供たちがどれだけそういったメッセージを受け取ったかは、わからない。話はご都合主義の面はあるのだが、発信力は持っているように思えた。
出演者では後年「ウルトラQ」などでも活躍する佐原健二が珍しく敵役で登場する。これはご本人の弁では本多監督から芸域を広げるためのミッションがあったそうな。島の住人の酋長は小杉義男で、戦前からの実績のある人だが、こういう映画だとこんな役が多かったように記憶する。その横にいたのは榊田敬二だったろうか。そして伊福部昭の音楽が土俗的でどこかもの悲しい。「モスラ」では古関裕而が担当していたので、モスラの出る映画は初めてだが、島民が躍る音楽の歌は東南アジアの言葉だという。