これもフランク・キャプラ監督の代表作の一つ。1939年の作品であるから、「風と共に去りぬ」と同時期の作品。日本の公開は1941年10月9日という。日米開戦の直前の公開でアメリカ映画が戦争により途絶する寸前に公開された1本でもある。
少年警備隊長である青年が前任議員の急死で祭り上げられる。素人の青年が次第に政界の腐敗に気付き暴いていくというもの。これもまたややお伽噺のような内容だが、自国の民主主義への信頼が前面に出ている。昨今の自国さえ良ければそれでよいというような人物が大統領になるアメリカ社会とは全く違う雰囲気である。陰で政治を操る人物に扮したエドワード・アーノルドの憎々しい顔は何だか次期大統領の顔つきに似ているような感じがした。手段を選ばないやり方は映画を初めて観た時はあまり真実味を感じなかったが、この頃は迫真に思えるようになった。妙な気分である。