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Channel: 趣味の部屋
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伯林~大都会交響楽(ヴァルター・ルットマン・ドイツ1927年)

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 これは劇映画ではなく、ベルリンのある一日を描写した作品である。今から90年も前のベルリンの一日。冒頭に蒸気機関車が牽引する列車が出てくる。郊外を走るその列車の車窓はベルリンに向う列車。早朝の中央駅に到着して、そこから一日の様子が展開する。5幕仕立ての約1時間の映画だが、このところベルリンという都市に興味があって、これはいいものを観たと思った。まだ平和な頃の戦前のこの大都市の姿が観られる。戦争でやがて破壊されてしまうのだが、その前の姿なのだ。まだ、ナチスの闊歩も出てこない。。

 戦後は東西に分断されて冷戦の象徴となるも、今やまたヨーロッパを代表する大都市として復活したのだが、今では観られないこの都市の情景自体に惹かれる。ベルリンというとブランデンブルク門なんかがすぐ思い浮かぶが、出てこない。そこに生活する人たちの様子や交通や工場の様子が中心。割と鉄道が登場するのは鉄道ファンとして感激である。地下鉄なんかは今もあまりかわらないが、地上の鉄道は蒸気機関車が中心だ。

 ヴァルター・ルットマンは晩年はナチスの宣伝映画に従事したという。1941年に東部戦線に出向き映画撮影中に負傷して、それがもとでベルリンで没した。彼は終戦の惨状だけは目にしなかったのはせめてもの慰めなのかもしれない。

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