Quantcast
Channel: 趣味の部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

密告者(田中重雄・大映京都1965年)

$
0
0
e0178641_22513836.jpg
 
 高木彬光の原作による「産業スパイ」ものの映画化。殺人事件が絡んだミステリー仕立ての作品である。上映時間は81分でコンパクトにまとめられている。技術を盗むこともさることながら、遺産相続の醜さも描いたもので、極めて今日的な内容ではある。ただし、新味はない。
 
 田中重雄監督は新興東京から企業統合でそのまま大映の東京撮影所でメロドラマを製作してきた職人監督である。しかし、今回は何故か京都撮影所に遠征しての作品となっている。脇役やスタッフの名前をみると京都撮影所の面々である。しかし、映画の舞台は東京のようで、純粋なスケジュールの関係だけだったかもしれない。話は割と速い展開なので面白く感じた。田宮二郎のキャラクターをうまく利用している。職人技とでもいうのか、ソツのないところはさすがである。田中重雄監督は翌年には「ガメラ対バルゴン」という特撮ものに挑戦しているし、「鯨神」のような力作もある。今時点では阪東妻三郎主演の「犯罪者は誰か」というこの監督の作品を観てみたいと希望している。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

Trending Articles