ショスタコーヴィチ
交響曲 第15番 イ長調 作品141
クルト・ザンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団
これもまだドイツが東西に分断されていた時代の録音である。オケは現在、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と改称されている団体である。ザンデルリンクはこの第15番を十八番にしていたという。冒頭いきなりロッシーニの歌劇「ウィリアム・テル」序曲の有名なマーチの断片が出てきて、パロディと辛辣な風刺の精神が入り混じった奇妙な味わいの曲ではある。壁崩壊後、ザンデルリンクはしたたかに活動続けて、1999年には壁の向こうにあったBPOに乗り込んで、この曲を指揮している。その時の録音が同楽団の自主製作盤として出回っていて、これもなかなかの快演なのである。これは既に所持していて、時々聴いているが、手兵だった楽団の演奏は如何にだが、むしろBPOよりは手馴れている感じはする。この当時の楽員は引退している人も多いだろうが、少なくとも体制に準じた活動の一旦でソ連作品の演奏機会は多かったのであろう。写真をみても少しくすんだような渋い感じだが、音も似たような雰囲気であって、やはり状況しだいで演奏は変わるものかもしれない。
先のシノーポリの録音は統一後のもので雰囲気は一変しているような印象である。