ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調作品112「1917年」
上田仁指揮 東京交響楽団
1962.4.12 日比谷公会堂でのライヴ
つい先日、日本経済新聞の文化欄に「OTTAVA」というTBSの音楽部が収録したクラシックの録音が同社の倉庫に眠っていて、それをCDに世に問うたという記事があった。企画した方の手記だった。
その中にはバックハウス、ハイフェッツの貴重なものもあり、上記のような日本のオーケストラ史の一端に触れるものもある。これはこの曲の日本初演の実況でもある。こういうものをTBSが収録していたということが、まず驚きだった。
東京交響楽団は元来は東宝交響楽団の名称で設立された楽団だ。名前の通り、東宝映画の劇伴を演奏するためのオーケストラだった。早坂文雄が黒澤明監督作品に初めて参加した「酔いどれ天使」にはしっかりとクレジットされている。一方で既に上田仁が指揮者として盛んに現代曲や日本人の作品を取り上げていた。それが1962年まで続行されていたことを確認できた。一方で東宝から援助を断たれたオーケストラは東京交響楽団として、TBSや毎日放送の専属として活動、これはその時のものだ。
演奏自体は、必ずしもベストではなく、弾ききれてない部分もあるが、ひどい演奏ではない。むしろ熱気を感じられて、それが何か感動するのである。こういう録音が発掘されて、聴けることを感謝したいと思う。