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Channel: 趣味の部屋
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心の日月(吉村廉・木村恵吾:大映東京1954年)

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 これは田坂具隆監督が1931年に製作したものの再映画化作品である。田坂作品は入江たか子が主演していて、烈日篇と月光篇の前後篇に分けて作られている。まだ無声作品で、その現存はまずないと思われる。同じ菊池寛の原作を撮影当時に時代を移してのリメイクのようである。

 地元で親が決めた結婚を嫌がって状況する若い娘が東京に住む幼馴染みの学生を頼って、上京するも、ちょっとした偶然でスレ違い、苦労するというメロドラマだ。結婚観などは1931年当時ならちょっと新しさもあったろうが、1954年ともなるとややどうなのかと思ってしまう。そして、菅原謙二扮する学生は至極間抜けのデクノボウに見えてしまう。主演の若尾文子もまだ演技的に未熟な時代である。この人は「赤線地帯」で溝口健二監督に徹底的しごかれて演技的にものになっていくのだが、この時点ではその2年前になる。他愛ないメロドラマなのだが、やはり煮え切らない菅原謙二の学生には腹立たしささえ感じてしまう。

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