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シモーネ・ヤングのブルックナー③

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【交響曲第3番】
近年人気上昇中の第1稿を使用。この第1稿は「詩と音の芸術の前人未到の世界的に顕著な優れた大家であるリヒャルト・ワーグナー閣下に、深甚の敬意をもって」献呈されたといういわゆる初稿。
トリスタンやワルキューレなど、ワーグナーからの引用がいくつか見られるもので、ワーグナーは気に入ったといわれており、1982年録音のインバル盤以降、確実に人気を高め、現在では、インバル(2種)、ナガノ、ノリントン(2種)、ノット、ティントナー、ロジェストヴェンスキー、ヴィルトナー、ブロムシュテット、ボッシュ、バロー、飯森、ネゼ=セガンなど、すでに数多くのCDがリリースされています。
第1楽章:第2稿、第3稿に較べて100小節近く長い第1稿の第1楽章には、この曲の渾名『ワーグナー』の由来となるワーグナー作品からの明確な引用が含まれているのが特徴。
展開部終わりの『ワルキューレ』の“眠りの動機”が一番目立つもので、この音楽のあとに冒頭部分が再現される箇所にはなんとも言えない魅力があります。
第2楽章:第1楽章同様、第1稿では、ワーグナーからの引用が削除されずに残っているため、はじめて聴くとけっこう驚かされる部分があります。
具体的には、第1主題変奏ブロックに『タンホイザー』序曲の巡礼主題のイメージが投影されているという部分と、コーダに、第1楽章と同じワルキューレの動機が用いられている部分の2箇所ということになります。
第2稿第3稿との大きな違いでもある構成上の相違点、つまり、ベートーヴェンの第9にならったと思われる並列的な変奏スタイルもブルックナー好きにはたまらないところで、第1主題の美しい変奏がたっぷり聴けるのはやはり快感です。 第3楽章:第1稿スケルツォ楽章の大きな特徴である主部主題の構成単位の不規則性は、後の版では規則的なものに改められ、流れが良くなるぶん、野卑なまでの荒々しさという要素が減退していたのはよく知られているところです。
第4楽章:第1稿とほかの稿との差異が特に目立つ楽章。ソナタ形式の構造概念に比較的忠実な第1稿は、3つのヴァージョンの中で最も規模が大きく、主題の再現や回想などもきちんとおこなわれ、なおかつ休止が頻繁なために、独特の激しく闘争的な雰囲気が漂うのが特徴。
未整理な混乱という見方もありますが、ベートーヴェンの第9よろしく、素材回顧を入念におこないながら、古典的な様式セオリーに取り組む姿は、やはり魅力的といえると思います。

【交響曲第5番】
ブルックナー中期の傑作、交響曲第5番は、強弱と表現上のコントラストの非常にはっきりした音楽に特徴があります。迫力満点のトゥッティから静かで抒情的な美しい旋律、楽しげな舞曲のリズムから荘厳なコラールと、それら諸要素を聴き手の脳裏に強烈に刻印する対位法の効果的な使用により、実演はもとより、レコーディングでも圧倒的な感銘を受けることの多い作品として近年ますます人気が高まっています。

【交響曲第7番】
ブルックナー作品の中でも旋律の美しさでは第2番と共に際立った存在でもある第7番は、第2番で素晴らしい演奏を聴かせていたシモーネ・ヤングにはぴったりの作品と思われるだけに演奏内容も期待できます。(HMV)

 残りの3曲の内、第3番は初稿採用である。ワーグナーのオペラからの引用などがあるが、やはり少々くどい感じはする。といってノヴァーク版や改訂版はやや物足らない。エーザー版がちょうどよく自分には好みだ。これはクーベリックがよく取り上げて、それで聴ける。ただ、このヤングの演奏はティントナーのそれよりも自然体のような印象があって、それが良かったと思う。

 他の2曲はあまり版の違いはないが、第7番の第2楽章のシンバルとトライアングルといった打楽器はどうするかと思ったが、これはノヴァーク版の使用する版であった。


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