(収録内容)
ヴェルディ
①レクイエム ②テ・デウム
ジンカ・ミラノフ(ソプラノ)、ブルーナ・カスターニャ(メゾ・ソプラノ)、ユッシ・ビョルリンク(テノール)、ニコラ・モスコーナ(バス) ウェストミンスター合唱団
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団
1940年11月23日 カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ)
トスカニーニが指揮したヴェルディのレクイエムはRCAから出ているセッション録音を含めると、5種類以上は録音が出回っているようだ。ヴェルディを敬愛するマエストロだから、当然なのかもしれない。
これはアメリカ合衆国が第二次大戦に参戦する約1年前の時期に演奏されたもの。新たに復刻されたものらしく、年代にしては凄く明瞭で聴きやすい。
例によってややドライな音質で「怒りの日」の大太鼓などはもっと響いたものが好みなのだが、それはないものねだりかもしれない。
それにしてもこんな音楽で死者は安らかにあの世へとやらに行けるのだろうか、と思うくらい、けばけばしい音楽のように思う。先に「怒りの日」などは、かなりドラマティックであり、ソリストたちは時に権力者のようであったり、哀れな民であったりで、オペラを聴いているような錯覚である。ソリストは「アイーダ」の主要4役とほぼ同じような書き方がしてあるとは専門家に聞いたことがある。
この曲の初体験は東京都交響楽団の特別演奏会であった。自分としては珍しく生体験から入ったもので、聴いてすぐに好きになった曲であった。