>エサ=ペッカ・サロネンは当時音楽監督を務めていたロサンゼルス・フィルとマーラーの第3番、第4番とこの≪大地の歌≫を、その後フィルハーモニア管と第6番と第9番を録音し、高い評価を獲得している。ワルターやバーンスタインに代表される濃厚なマーラー像とは正反対の、いわばスタイリッシュな演奏は新鮮な驚きを与え、マーラーのスコアが持つ懐の深さをも証明することとなった。意外性のある起用だったドミンゴ、スコウフスの歌唱も万全。(販売元コメント)
マーラーの「大地の歌」はテノールとアルト又はバリトンと管弦楽だの為の交響曲という副題がある。初演者であるブルーノ・ワルターの判断でアルトが採用されて、以後男声と女声が交互に歌唱することが多くなったが、たまにバリトンの起用がある。これは自分にとっては3つめの例になる。パウル・クレツキとレナード・バーンスタイン(デッカ)を所持、それらはいずれもディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの歌唱だった。そしてこれ彼以外のバリトンの最初の体験になる。販売元のコメントの通り、あっさりと早目に進行するのは当世風である。余分なケレン味がない分、細部の状況がよくわかる。こうしたマーラーもありではないかと納得したものだ。
ただし、二人のソリストだがドミンゴはイタリア・オペラみたいな歌い方だし、ボウ・スコウフスはもう少し朗々とバリトンらしい深みのある声で歌って欲しかった。やや軽く聴こえるのだ。
エサ=ペッカ・サロベン指揮 ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
プラシド・ドミンゴ(テノール)、ボウ・スコウフス(バリトン)